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『立体視』と『遠近感覚』には違いがあります。
では、その違いは何でしょうか。
例えば、以下のような『3つのお団子が串に刺さっている絵』は、『立体視』と『遠近感覚』のどちらでしょうか。
上図の、3つのお団子の位置は『遠近感覚』となります。
但し、実際に今『お団子の絵』を見ている画面までの距離は『立体視』となります。
深径覚とは
第3次元である奥行きを認識する『立体視』や『遠近感覚』は、『深径覚(Depth perception)』と呼ばれています。
- 立体視
- 両眼視差のある両眼の、それぞれの像が融像されて生じる『相対的奥行き知覚』です。
- 遠近感覚
- 融像されず複視の状態でも、単眼の状態でも生じます。
両眼視差とは
両眼視差とは、『視物がそれぞれの眼に異なる像として映る状態』と定義されます。
この両眼視差が、両眼非対応を生じさせます。
水平方向で、両眼非対応の関係にある網膜点が同時に刺激され、異なる像が1つに融像される時に立体視が知覚されます。
非対応の網膜像がパーヌムエリア内にある限り、立体視を伴う感覚性融像が可能となります。
しかし、視物がホロプター上に位置している場合には、非対応の関係は出来ませんので立体視は生じません。
- パーヌムエリア
- 融像される視物は、ホロプター上またはパーヌム融像感覚圏内にある必要があります。
- それ以外の視物は複視となります。
- ホロプター上の視物のみが両眼単一視されるものではなく、ホロプターに接近した一定範囲にある視物でも両眼単一視されます。
- このような外界の一定範囲をパーヌムの融像感覚圏といいます。
- この一定範囲に対応する網膜域をパーヌム圏といいます。
上図の、ホロプターの円周上にある点は、固視点に対して両眼視差を与えない事を意味します。
しかし、実際の眼は、歪みがあり完全な球形ではありませんし、網膜対応点が網膜上に均等に分布している訳でもなく、理論上となります。
パーヌムエリアは以下の様なものとなります。
『立体視』は、水平方向の両眼非対応のみが誘発させます。
垂直方向では生じないという特色があります。
一般的に、感覚性融像は、『立体視』を可能にするための必要条件となりますが、絶対的ではありません。
複視状態でも、精密度は低くなりますが深径覚は生じます。
パーヌムエリアを超えた複視の部分でも、ある一定の範囲では相対的奥行きは感じることができます。
遠近感覚
立体視の正確度は、~(125m)200m位までの限られた距離となります。
『立体視』は、非常に精密な遠近識別能力とはなりますが、限られた距離となる為、『立体視』以外の、経験的に基づく『遠近感覚』というものが必要となります。
『非立体視の手掛かり』をいくつか挙げていきます。
重なり合い
近くの物が遠くの物を覆い隠します。
輪郭線が中断された対象物よりも、輪郭線が連続した物体は手前にあると知覚される傾向があります。
大気遠近法
遠方視物は、大気の影響により、明暗のコントラストや色合いが減少します。
スモッグなどにより、光が空気中の微粒子などで散乱や吸収されますので遠くに感じます。
相対位置
地平線により近いものは、遠くにあるように視覚されます。
つまり、高い位置にあるものは遠くに感じます。
網膜像のサイズ
網膜像のサイズは、幾何学的に視物のサイズと距離に関連します。
つまり、近い視物の方が、網膜像のサイズが大きくなります。
但し、網膜像のサイズと見かけの距離の関係には『サイズの不変(Size constancy)』という視覚現象が影響を与えます。
例えば、遠くにある『丸いお皿』が実際には『楕円』に見えている筈が、経験的に『円形』とであると視覚してしまいます。
実際には、網膜像のサイズが変化したにも関わらず、帳尻を合わせてしまいます。
線遠近法
縦線や横線の奥行きを縮めて描かれた絵は二次元が三次元に知覚されます。
表面のきめ
遠方にあるほど、『表面のきめ』の密度が高くなります。
陰影
光と影により奥行きが生じます。物体形状の奥行きの違いが少ないほど有効になります。
明るさ
上側が明るいと突出し、下部が明るいと凹んで知覚する傾向があります。
単眼運動視差
同じ速さで動く物体でも、近くにある物体の方が早く動いているようにちかくします。
例えば、電車の窓からの景色が、遠くにあるほど動きが少なく知覚します。
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