仮枠(試験枠、トライアルフレーム)でのテクニック

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

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仮枠のレンズ枚数

屈折測定が終わり、仮枠にて『見え方の確認』をする際のレンズ枚数は少ない方が良いです。

通常は、『球面レンズ』と『円柱レンズ』は別になっております。

更に、『球面レンズ』は強度数になると、0.25D刻みではなくなりますので、球面レンズだけで2枚必要になり、乱視レンズが加わると更に1枚増えます。

遠近両用レンズでの見え方確認では、更に1枚増えてしまいます。

結果、4枚のレンズが必要となります。

枚数が少ない方が良い理由

『反射』や『重さ』の影響があるからです。

コートなしのレンズ面での『反射』は以下のようになります。

n2=1.5として計算しますと、レンズ面での反射は4%となります。両面では8%となります。

このように、枚数が多い程、反射により視界が暗くなります。

更には、レンズが重くなると当然仮枠が下がりやすくなります。

仮枠が下がると、一時的とはいえ装用感が悪くなります。

頂点間距離も離れる為に、度数もプラス寄りに変化します。

枚数を少なくする方法

『度数変換』や『度数分解』をして、組み合わせのレンズを変えることです。

全てに使えるテクニックではありませんが、知っておくと便利です。

例えば、『S-6.75D C-1.25』を試したい場合には、通常『S-6.50』と『S-0.25』と『C-1.25』の3枚で見え方確認します。

『S-8.00』と『S+1.25』の2枚で試す事が出来ます。

他の例では、『S-7.50』のテストレンズが無い場合には、『S−7.50 C−0.50 Ax180』を 『S−8.00 C+0.50 Ax90』とする事も出来ます。

他にも、混合性乱視『S+1.25 C-3.75 AX180』を『S+1.25』と『C-3.00』と『C−0.75』の3枚を、『C-2.50 AX180』と『C+1.25 AX90』の2枚で試すことも出来ます。

仮枠ホルダーのレンズ位置

装用するレンズの位置で見え方は当然変わります。その応用です。

上級テクニックですが、頂点間距離を変える事で『S−8.25』をレンズ1枚で試すことが出来ます。

S−8.00Dは、頂点間距離が4mm狭くなると約S−8.26Dとなります。逆に、4mm離すと約S−7.75Dとなります。

他には、累進多焦点の見え方の確認時には、ホルダー位置を変える事で、MFトライアルレンズ1枚で累進帯長の違いを疑似体験させる事もできます。

強度数で装用位置に影響が出る場合にはそちらを優先しないといけませんが、外側に入れると累進帯長が短いタイプに近くなります。

他にも、『外面累進』や『内面累進』の違いも試せるものと考えます。

例えば、『累進帯長12mm』のレンズを使用し、『累進帯長10mm』の装用体験をする為には、仮枠ホルダーのおよそ1つ分(5.5mm)遠ざけると近くなります。

レンズ交換時の注意点

近視眼と遠視眼とでは、仮枠にてレンズを交換する時のやり方に違いがあります。

調節させないようにしないといけません。

通常、『近視眼』で強い度数を試す時には、弱いレンズを抜いてから強いレンズを装用させます。

同様のことを『遠視眼』で行うとどうでしょうか。

『強い度数』や『弱い度数』を試す場合に、レンズを抜いた時点で調節が介入します。

『遠視眼』の場合、仮枠でレンズ交換を行う際には以下の手順で行います。

  • 遠視眼のレンズ交換方法
    1. 仮枠の前に、新しい凸レンズを手で持ち、ぼやけさせる
    2. 仮枠の、古い凸レンズをホルダーから抜く
    3. 仮枠の前に、古い凸レンズを手で持ち、ぼやけさせる
    4. 仮枠のホルダーに、新しい凸レンズを入れる
    5. 仮枠の前で保持している、古い凸レンズを離す