調節の基礎知識

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

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調節の定義とは

『眼外の物体の網膜像を最も尖鋭にするため、毛様体が収縮し、毛様体突起が内方に移動することによりチン氏帯が弛緩し、水晶体がその前後径を増す機能あるいは作用』

です。

この調節が正確に働かないと、視機能に数々の問題が生じます。

急激に近業を絶え間なく続けることで『仮性近視』が生じたり、調節機能の低下による両眼視関連の問題も生じます。

『調節』は動的に機能しますので、総合的に分析する必要があります。

#20や#21テストなどの『調節テスト』のみでは、一方向からであり、正確な調節機能の分析や判断をする事は出来ません

『調節』を様々な角度から調べるためには、様々な調節関連の知識が必要となります。

調節刺激と調節反応

調節刺激(ASとは、眼前にある視物に焦点を合わせる事を要求する刺激のことです。

例えば、眼前40cmの物体が眼に与える調節刺激(AS)は、逆数の2.5Dとなります。

この調節刺激と同じ量の調節反応(AR)が眼の中で生じるかどうかは異なります。

AS>ARの頻度が高いですが、AS=ARと仮定してしまいますと、測定技術が高度になるほど理解できない面がでてきます。

調節刺激は一定ですが、調節反応は一定ではなく変化します。

例えば、『単に見る』と『はっきり見る』とでは『AS≠ARとなります。

また、『読む』と『読んで理解する』とでも、要求されるARは変わります。

物体の『色』や『照明』、『コントラスト』、『動き』・・等でも変わります。

調節反応と調節性輻輳

調節の流れとして、

『調節刺激』が角膜に到達し、屈折媒体を通過し網膜に達しますと、先ずは黄斑部に外界の像が生じます。

その後、視覚伝導路を経て大脳後頭葉皮質の視覚中枢に到達し、視覚刺激が解析されます。

その結果、調節が必要な場合には、調節命令が脳の中で調節をコントロールする部分に伝導され、毛様体筋への命令がそのコントロールセンターから行く仕組みとなります。

神経的に命令を受けた毛様体筋は、それに反応し収縮作用をし、水晶体の形を変化させ調節が行われます。

これらによる『調節反応』の変化は、その程度に従い、必然的に『よせ運動』が生じます。

調節の命令が、調節増であれば『実性の調節性輻輳』が生じ、調節弛緩であれば『虚性の調節性輻輳』が生じます。

AC/A比

AC/A比には、調節刺激の変化を基にしたStimulus AC/A比』と、調節反応の変化を基にしたResponse AC/A比』とがあります。

一般的には、調節反応を直接測定することが出来ませんので、臨床でよく使われるAC/A比は『Stimulus AC/A比』となります。

調節刺激に対する調節反応は一定ではありませんので、この2つのAC/A比にも違いが生じます。

臨床上で『AC/A比』を利用する際には、このことを留意しなければなりません。

平均的なAC/A比は『3~4/D』です。

一般的には、『VT(ビジュアルトレーニング)による、AC/A比の変動はない』というのが有力となります。

また、AC/A比の先天性については、『柔軟で条件付け、または学習により変化する』ものなのか、『一定不変で先天的』、もしくは『一定の不変な先天性を有しながらも、視活動を通して変化する』ものなのかと、見解が分かれております。

Stimulus AC/A比の計算式

Stimulus AC/A比の計算式には、以下の2つがあります。

◎ Heterophoria AC/A比(Calculated AC/A比)では、近接性輻輳が介入する可能性があります。

◎ Gradient AC/A比では、近接性輻輳が含まれないという特徴があります。

計算がしやすいのはGradient AC/A比の方ですね。

毛様体の神経支配

副交感神経系に属する調節の神経は、中脳の調節核に発し、動眼神経中を走り毛様神経節でニューロンを代え、短毛様神経を通り眼球に進入し毛様体筋に達します。

この神経は、瞳孔括約筋にも達するため、縮瞳の作用もします。

このような神経支配システムのため、調節の変動と同時に瞳孔サイズに変化が生じます。

縮瞳や散瞳が、レチノスコープやオートレフラクトメーターなどで見られる場合には、調節が不安定だと考えられます。

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