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- 2級の学科試験問題、解答と解説
- 26.S+1.00D C-0.75D Ax180°で補正される眼は、「混合性乱視」である。
- 27.加齢による透過率の低下、散乱の増大は短波長側で著しい。
- 28.S+1.00D で補正される遠視眼で調節力が 4D の場合、裸眼での調節近点は眼前 20cm である。
- 29.普通自動車免許取得に必要な視力は片眼 0.5 以上、両眼で 0.7 以上必要である。
- 30.雲霧法による乱視測定では、後焦線の方向を調べている。
- 31.光は熱放射かルミネセンスで発生する。
- 32.プルキンエ・サンソン像は4つある。
- 33.プラスレンズが偏心していると、コバ側に基底方向があるプリズム作用が生じる。
- 34.NT 合金とは、ニッケルとチタンの合金である。
- 35.テンプルの長さはフロントとの境目である合口からモダンの先までを計測する。
- 36.ガラスレンズにおいて屈折率を大きくするとレンズの厚さ及び重量軽減にかなりの効果がある。
- 37.花粉症用眼鏡はドライアイにも活用することが出来る。
- 38.汚れのひどい時は洗濯したレンズ専用眼鏡クロスでしっかり拭きとる。
- 39.感謝の意を伝える場合はお辞儀の角度は 30°程度である。
- 40.趣味によって作業距離は異なるが、用途がピアノの場合は約 45cm で合わせることが多い。
- 41.お客様が眼鏡処方箋持参で来店。処方箋発行日から 1 年経過していたが、処方箋通りで眼鏡を作製した。
- 42.頂点間距離 12mm の位置で作製した遠用眼鏡 S-10.00D の頂点間距離を確認したところ15mm の位置であった。15mm の位置では補正度数効果は弱くなる。
- 43.メガネットプロによるレンズオーダーにおいて、一番最初に入力するのは注文するレンズメーカー名である。
- 44.溝堀り加工でカーブ指定はできない。
- 45.レンズの歪は見え方にのみ影響する。
- 46.眼鏡は顔の中心に掛けるため、装用者のイメージ構築に大きな影響を与える。
- 47.装用時前傾角が不適切な状態でも、非点収差には影響を受けない。
- 48.力学的フィッティングについて、パッドやテンプルチップなど、皮膚に接する部分の面積を極力小さくすることで快適な装用感を得られる。
- 49.クリングスやパッドの調整では、角膜頂点間距離を狭くしたいときは左右パッドの間隔を広げる。
- 50.50 歳の方が眼鏡作製を希望して来店された。この場合、視力の測定をして最高視力が 1.2 であれば、眼科受診を勧める必要はない
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2級の学科試験問題、解答と解説
26.S+1.00D C-0.75D Ax180°で補正される眼は、「混合性乱視」である。
解答・・✕
【解説】
度数転換(度数変換)をしますと、『S+0.25 C+0.75 Ax90°』になります。
よって、『遠視性複性直乱視』です。
27.加齢による透過率の低下、散乱の増大は短波長側で著しい。
解答・・〇
【解説】
光は物質に当たると『吸収』や『透過』、『反射』や『散乱』が起こります。
加齢による『透過率の低下』や『散乱の増大』は、水晶体の厚み増大や水晶体混濁が主な原因となります。
短波長は、水晶体に『吸収』されやすく、『散乱』が強くなります。波長が短い光は粒子にぶつかりやすくなるからです。
特に、光の波長よりも十分小さい粒子による散乱を『レイリー散乱(Rayleigh Scattering)』といいます。
例えば、夕焼けが赤く見えたり(※夕焼けが以上に赤く見える場合は光化学スモッグによるミー散乱)、空が青く見える散乱です。
一方で、光の波長と同程度の大きさの粒子による散乱を『ミー散乱(Mie scattering)』といいます。ミー散乱は波長に依存せず、同様に散乱します。その為、白く見える散乱です。
例えば、牛乳の白(脂肪粒子は1μm以上なので)、タバコの白い主流煙(※青い副流煙はレイリー散乱)
28.S+1.00D で補正される遠視眼で調節力が 4D の場合、裸眼での調節近点は眼前 20cm である。
解答・・✕
【解説】
無限遠方視をする際に調節力の1.00Dを使用し、残りの3.00Dで近方視をしますと、近点は1/3≒0.33[m]=33[cm]となります。
絶対遠視、相対遠視、随意遠視の中でいいますと、『随意遠視』です。
29.普通自動車免許取得に必要な視力は片眼 0.5 以上、両眼で 0.7 以上必要である。
解答・・✕
【解説】
自動車運転免許(適正視力)の合格基準は以下の通りです。
- 普通、大型特殊、二輪
- 両眼視力0.7以上、かつ片眼0.3以上である事
- 片眼視力0.3未満は、他眼の視野が左右150°以上で、かつ視力0.7以上である事
- 準中型、中型、大型、牽引二種
- 両眼視力0.8以上、かつ片眼0.5以上である事
- 三桿法の奥行知覚検査器により3回検査で平均誤差が2cm以内である事
- 小型特殊原付
- 片眼視力0.5以上である事
- 片眼が0.5未満は、他眼の視野が左右150°以上で、かつ視力0.5以上である事
30.雲霧法による乱視測定では、後焦線の方向を調べている。
解答・・〇
【解説】
指標が判別できる視力0.5の近視性乱視にし、網膜に近い後焦線が濃く見える現象を利用し、乱視の軸度と度数の測定ができます。
放射線視標での乱視軸測定は、2本の濃い線の間を比較する事で2.5°刻みでの測定が可能です。
オートレフラクトメーターの値が正確である場合には、その乱視度数を抜いた度数を装用させますと、単乱視の状態となります。
近視であれば『近視性単乱視』の状態であり、後焦線が網膜上に位置します。
遠視であれば、マイナス乱視になるように度数転換し、乱視を抜いて球面度数のみの装用で『近視性単乱視』の状態にできます。
- 雲霧法の測定手順(一例)
- オートレフ値など(他覚測定値)から、等価球面度数のみで雲霧を掛けます(S+2.00程度で視力0.1になります)。
- そこからS−0.25Dを徐々に付加していきますと視力0.5程度まで雲霧を解除していきます。(乱視が強い場合には視力0.5未満でも可)
※ファンダイヤルの数字は、0.5の視力表に相当 - ファンダイヤルを呈示し、濃く鮮明に見える線の方向を尋ねます。
- 濃く鮮明に見える数字に30°掛けた値がマイナス乱視軸方向です。
- マイナス乱視度数を徐々に付加していくと、全方位の線の濃さが均一になっていき、さらに付加すると濃い線が反転し垂直方向の線が濃く見えます。その1つ前の度数が乱視度数となります。
- ランドルト環を呈示し、球面度数を付加していき最弱度数の最高視力を求めます。
31.光は熱放射かルミネセンスで発生する。
解答・・〇
【解説】
- 熱放射(温度放射、熱輻射)・・高温の物体が発する光です。
- 太陽
- 白熱灯のフィラメント
- ルミネセンス・・電気エネルギーを直接光に変換しています。
- 原子が光る・・炎色反応など
- イオンが光る・・グロー放電(ネオンサイン)など
- 分子が光る・・蛍光標識など
- 生体物質が光る・・蛍光蛋白など
- 個体中の不純物が光る・・ルビーなど
- 個体が光る・・発光ダイオードなど
32.プルキンエ・サンソン像は4つある。
解答・・〇
【解説】
角膜での反射像が2つ、水晶体前面での像が1つ、水晶体後面が1つの計4つです。
因みに、この角膜反射は、ケラトメーターやレフラクトメーターに応用されております。
33.プラスレンズが偏心していると、コバ側に基底方向があるプリズム作用が生じる。
解答・・✕
【解説】
偏心指定をした凸レンズの事ではなく、凸レンズの光学中心からズレた位置でのプリズム作用についての問題です。
問題の意味が分かりづらいです。
プリズムの基底方向は、レンズの厚い方向です。凸レンズの基底方向は光学中心側が正解となります。
34.NT 合金とは、ニッケルとチタンの合金である。
解答・・〇
【解説】
『Ni-Ti合金』は、超弾性の形状記憶合金です。
- その他のニッケル合金
- Ni-Cr合金・・サンプラチナ(素材商品名)
- Ni85%、Cr13%、その他でAg・Cu
- 電気抵抗・耐食・耐熱合金
- ニクロム線など
- Ni-Cu合金・・モネル
- Ni67%、Cu28%、その他でFe・Mn
- アルカリ、希塩酸、大気や海水に対する耐食性
- Ni-Cr合金・・サンプラチナ(素材商品名)
35.テンプルの長さはフロントとの境目である合口からモダンの先までを計測する。
解答・・✕
【解説】
テンプルの長さは、丁番(めねじ部分)からテンプルを伸ばした時の先(テンプルエンド)までの距離です。
合口とは、フロントとテンプルの接合部をいいます。
36.ガラスレンズにおいて屈折率を大きくするとレンズの厚さ及び重量軽減にかなりの効果がある。
解答・・✕
【解説】
高屈折であれば薄くはなりますが、比重が高くなり重い素材となります。
その結果、ガラス素材であれ、プラスチック素材であれ重量軽減の効果は数グラムです。
37.花粉症用眼鏡はドライアイにも活用することが出来る。
解答・・〇
【解説】
ドライアイの原因が、空気の乾燥などであれば活用できます。
但し、長時間のパソコン作業、コンタクトレンズの使用、精神的なストレスなどに原因がある場合には、花粉用眼鏡を使用してもらうよりも、定期的な休憩、瞬きの回数を意識的に増やす、目を温めるなど、場合によっては眼科さんを紹介しましょう。
38.汚れのひどい時は洗濯したレンズ専用眼鏡クロスでしっかり拭きとる。
解答・・✕
(個人的には曖昧と考えます。『乾拭き』などの条件を問題文中に入れないと状況がわかりづらいです。何の汚れかわかりません。指紋や油汚れかもしれません。汚れをしっかり拭き取ること自体は間違いではありません。その方法が誤りなだけです。)
【解説】
水道水などで、レンズ表面の塵や埃を洗い流してから、研磨剤なしの中性洗剤を薄めて使用し、綺麗な専用眼鏡クロスで優しく水気をしっかり拭き取るのが正解です。
39.感謝の意を伝える場合はお辞儀の角度は 30°程度である。
解答・・ー
(全て正解)
【解説】
お辞儀は、『立礼』と『座礼』に分けられます。
『立礼』の角度は、15°は会釈、30°は敬礼、45°は最敬礼です。
40.趣味によって作業距離は異なるが、用途がピアノの場合は約 45cm で合わせることが多い。
解答・・〇
【解説】
日本人の、腕の長さ(肩の出っ張りの部分から手首まで)のおおよその平均は女性67cm、男性74cmです。
肘から指先までが、およそ45cmです。
41.お客様が眼鏡処方箋持参で来店。処方箋発行日から 1 年経過していたが、処方箋通りで眼鏡を作製した。
解答・・✕
【解説】
眼鏡処方箋の度数で既に作製使用されていて、眼科さんから『そのままで問題ない』といわれているお客様は実際に多くいらっしゃいます。
他社さんの眼鏡では『度数を眼鏡から直接測れない』と思われている方も多いです。前回処方箋作製である為に、その事を知らない方もいらっしゃいます。
『1年経過した処方箋通りに作製する事』が問題なのではなく、処方箋発行した医師への確認をせずに作製する事が問題なのです。
そして、眼疾患があった際に治療されずに放置されてしまう事が問題なのです。
42.頂点間距離 12mm の位置で作製した遠用眼鏡 S-10.00D の頂点間距離を確認したところ15mm の位置であった。15mm の位置では補正度数効果は弱くなる。
解答・・〇
【解説】
装用距離が3mm離れますと、凸寄りに弱補正となります。計算上での度数を求めてみます。
先ず、装用距離12mmを考慮した眼鏡度数−10.00[D](焦点距離が100mm)が、眼に対する補正度数(装用距離0mm)を求めますと、−1×103/(100+12)≒−8.928[D] ・・①
同様に、装用距離15mmで計算しますと、
−1×103/(100+15)≒−8.696[D] ・・②
①と②の差は、約−0.23[D]の弱補正となります。
因みに、3mm離れるという事で、装用距離12mmでの眼鏡度数−10.00[D]を、装用距離15mmで同じ補正をするのに必要な眼鏡度数は、−1×103/(100−3)≒−10.309[D]ですが、実際に眼に対する屈折補正力とは異なりますので注意です。−10.00[D]との差は約−0.31[D]です。
−0.23[D]と−0.31[D]が異なる理由は、頂点間距離をしっかり考慮しているかの違いです。頂点間距離0mmで考えた、−0.23[D]の弱補正というのが正しいです。
43.メガネットプロによるレンズオーダーにおいて、一番最初に入力するのは注文するレンズメーカー名である。
解答・・✕
【解説】
レンズオーダーの方法として、電話注文やFAX注文などがありますが、『メガネットプロ』などのインターネットを使用した注文が主流となります。
『MEGANET-Pro』の場合、最初に入力するのは『ユーザーIDとパスワード』です。
『MEGANET-Pro』は、日本レンズ工業株式会社(大阪府岸和田市、昭和10年創業)が運営するレンズオーダーシステムです。
『MEGANET-Pro』は非常に良いものですが、国家資格の試験問題としては実りが無いように考えます。
こちらのオーダーシステムを採用していない眼鏡店を篩いに掛ける大人の事情なのでしょうか。
44.溝堀り加工でカーブ指定はできない。
解答・・✕
【解説】
溝堀り加工は、ナイロールやメタル製カットリムなどで、レンズに溝を掘る加工です。
溝の深さ、幅、カーブの指定が可能です。
45.レンズの歪は見え方にのみ影響する。
解答・・✕
【解説】
レンズのコーティングに対しても影響します。短期間で劣化しやすくなります。
46.眼鏡は顔の中心に掛けるため、装用者のイメージ構築に大きな影響を与える。
解答・・〇
【解説】
イメージ構築に影響がありますので、『美観的フィッテイング』も大切な要素となります。
その他、フィッテイングでの大切な要素は、『光学的』、『力学的』、『解剖学的』などがあります。
47.装用時前傾角が不適切な状態でも、非点収差には影響を受けない。
解答・・✕
【解説】
レンズ光軸と視軸が一致せず、斜交しますと『非点収差』が発生します。
非点収差により変化する補正効果は、マーチンの式で求める事ができます。
屈折率n、度数D[dtr]の球面レンズ、視線に対して角度θ°傾けた時の、Dt(メリジオナル断面屈折力)とDs(サジタル断面屈折力)は以下のようになります。
非点収差は『astigmatism』といわれるように、主に乱視として影響します。AS=Dt−Ds=D×sin2θ ・・・乱視度数
48.力学的フィッティングについて、パッドやテンプルチップなど、皮膚に接する部分の面積を極力小さくすることで快適な装用感を得られる。
解答・・✕
【解説】
適正な箇所への接触面積が大きくなる事で、圧力の分散と摩擦力が生まれます。
49.クリングスやパッドの調整では、角膜頂点間距離を狭くしたいときは左右パッドの間隔を広げる。
解答・・〇
(個人的には✕です)
【解説】
左右パッドの間隔を広げますと、角膜頂点間距離は狭くなりますが、同時に下がり易くもなります。更には、鼻に当たる箇所が変化します。場合によっては痛くなります。
角膜頂点間距離を狭くしたい場合には、パッドの間隔ではなく、クリングス(パッド足)の曲がりを変化させることで距離を近づけます。その際、左右パッドの間隔は変えずに行います。
50.50 歳の方が眼鏡作製を希望して来店された。この場合、視力の測定をして最高視力が 1.2 であれば、眼科受診を勧める必要はない
解答・・✕
【解説】
医師ではありませんので、『眼科受診を勧める必要がない』とは公には言えません。
最高視力が1.2であれ、眼疾患が疑われる際には、眼科受診をお勧めましょう。
問題文中の、眼鏡作製希望の目的や主訴にもよりますが、この文だけでは視野欠損や眼位異常、眼疾患が疑われるかどうかの判断がつきません。
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