Last Updated on 2年 by 管理者
小数視力と対数視力の並び
- 小数視力とは、視角の逆数で表されます。
- 例:視角1分=1/1=小数視力1.0
- 例:視角10分=1/10=小数視力0.1
- 対数視力とは、10を底とした視角の対数で表されます。
- 例:視角1分=log1=logMAR0.0
- 例:視角10分=log10=logMAR1.0
日本では小数視力が用いられております。但し、小数視力の並びは等間隔ではありません。
どういう事?って思いましたよね。
小数視力の並びは『0.1』の次は『0.2』・・・『0.9』の次は『1.0』となり数字的には等間隔ですが、倍率で考えますと一定ではありません。
小数視力が高くなる程、その倍率差は少なくなっていきます。
つまり、例えば、小数視力の『1.2』と『1.5』はそれほど変わらず、同じ0.3の違いでも『0.1』と『0.4』は大きく変わるという事です。
- 例えば
- 小数視力『0.9』は『1.0』の
- 0.9倍、差は0.1
- 小数視力『0.1』は『0.2』の
- 0.5倍、差は0.1
- 小数視力『0.9』は『1.0』の
一方で、対数視力の並びは等間隔となります。
logMAR1.0=小数視力0.1、logMAR0.9=小数視力0.126、logMAR0.8=小数視力0.158・・・のような並びで視力表を作成すると等間隔な倍率となります。
- 例えば
- logMAR0.9=小数視力0.126は、logMAR1.0=小数視力0.1の0.126倍
- logMAR0.1=小数視力0.794は、logMAR0.2=小数視力0.631の0.126倍
つまり、視力表をlogMARで等間隔の並べ方をしますと、
小数視力でいう、2.512、1.995、1.585、1.259、1.000、0.794、0.631、0.501、0.398、0.316、0.251、0.200、0.158、0.126、0.100、0.079・・・のような視標の作りかたをすると等間隔になります。
小数視力で慣れてしまった我々には、今更、対数視力の表記にしますと、誤解や混乱が生じます。デメリットの方が高いです。
視力検査の目的
『視力検査』は、いろいろな目的で行われております。
例えば、免許更新などの適性検査、目の健康状態の診断、臨床検査、眼鏡の処方度数決定の参考にしたり・・・
と、視力検査が実施されている分野はすごく広いです。
その『視力』というのは、被検者の健康状態などでも変化はしますが、毎回大きく違ったり、信頼できないものであっては困ってしまいますよね。
では、本当に『Landolt環』で良いのでしょうか?
例えば、乱視が無い人でも、特定の方向で見え方は変わるという報告がいくつもあります。
『照明の輝度』、『配列』、『寸法の許容差』、『正解率とその視力』は?
独自の『視標』を作れたら面白いな・・・と少し考えましたが、
『Landolt環』以上に、バランスがとれた優れた視標を考案するのは難しいなぁ・・・とすぐに気付きました。
Landolt環の歴史
SnellenおよびGiraud Teulonが、最小視角1分を標準とする方式で視標を発表しました。
それ以来、視角1分を視力の単位として広く認められるようになり、視標の寸法を決める基礎は『Snellenの1分角説』となっております。
1888年に、Landoltが1分角説による『Landolt環』を発表し、
1909年には、国際眼科学会にて、視力検査の『国際的標準視標』に採用されました。
視力表に求められる条件
- 検査の正確性
- 検査の簡便迅速
- 推量で正答できない
- 検査に智能を要しない
- 視標が小型で簡単構造
以上の事をより多く満たせる視標が良いと考えます。
そう考えますと、Landolt環は、結構優秀ですよね。
他にも以下に示すような、1分角説による視標があります。
左上から、Landolt環、Ferree Rand環、Snellen鉤、Bostrom鉤、ローマ字視標、右図は市松模様視標です。
log MARでの視力表記
- 【例1】
- log MAR=0(小数視力1.0)の列を全て正しく答えた場合
- 視力は 0.0+0.00=0.00
- log MAR=0の列を1つ間違えた場合
- 視力は0.0+(0.02×1)=0.02
- log MAR=0の列を2 つ間違えた場合
- 視力は0.0+(0.02×2)=0.04
- log MAR=0の列を3つ間違えた場合は0.06
- log MAR=0の列を4つ間違えた場合は0.08
- log MAR=0 の列を全て間違えた場合
- 0.0+(0.02×5)=0.1となり、1段階大きい視標の列が示されます。
- 【例2】
- log MAR=0.1(小数視力0.8)の列で2つ間違えた場合
- 視力は、0.1+(0.02×2)=0.14
- 【例3】
- log MAR=0の列を全て正しく答え、次の列の視標2つ正しい場合
- その数に0.02を掛け、0から引きます
- 0.0–(2×0.02)=-0.04
- 【例4】
- log MAR=−0.1の列の全て正しく答え、次の列の視標1つ正しい場合
- -0.1-(0.02×1)=-0.12
コメント メールアドレスが公開されることはありません。*が付いている欄は必須項目です。