眼鏡処方箋について思う事

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

Last Updated on 3年 by 管理者

眼科さんの処方箋にて眼鏡作製をされるお客様から良く聞かれる事と、それについて個人的に思う事をまとめてみました。

勿論、眼科さんを否定するつもりは全くありませんし、双方が良い関係性を築けたらと本気で思います。

眼科医になる為にはとても大変で、何年もかかります。

医学部や医科大学で『6年間』学び、そして医師国家試験に合格しなければいけません。その後すぐ専門医として働けるわけでも無く、医師免許を取得した後に病院で『2年』の臨床研修をし、更に『最低5年』の実地研修を行い、専門医試験に合格して初めて専門医として働けます。

ただ、実際に眼科さんで視力測定しているのは眼科医ではなく、眼鏡店の方だったり、視能訓練士さんだったり、コンタクトレンズ販売店の方だったりする事が多いです。

とはいえ、眼科勤務の方は、眼鏡の量販店スタッフと比べると、眼に関する知識量が豊富です。

ですが、眼鏡処方箋を持参されるお客様に、その方々が処方した『処方箋』の意図などが上手く伝わっていない事も多いです。

インフォームド・コンセントがなされていないケースがあります。

処方箋作成で、聞かれる事

『わたしの裸眼視力はいくつですか?』

『どの位の視力に合わせてますか?』

『この処方は強いですか?』

これらは、処方度数だけではわかりません。

完全矯正値という、一番見えやすい屈折度数(近視度数や遠視度数)がどの位で、それをどの程度補正しているのかがわかりません。

その『結果』である処方度数だけでは、裸眼視力も分かりませんし、矯正視力もわかりません。強めか弱めかもわかりません。

そして、その処方値になった経緯もわかりません。

矯正視力の記載があれば良いですが、眼科さんによってはあえて記載しない所もあり、それでは眼鏡店ですぐに視力等をお伝えする事は出来ません。

その場で測定すればわかりますが、眼鏡を使用する側としては気になると思います。

以下の様に記載されている場合もあります。

他にも、以下のような事を聞かれます。

『度数が変わるらしいので、無料で変えてもらえる眼鏡店で作成して下さい・・と言われたんですけど』

ん~、度数が変わる理由が気になります。

例えば、眼疾患によるものなのか、単なる成長過程による眼軸延長なのかどうか・・。

でも、眼軸の伸展のよる近視進行は小学生などであれば一般的に起こる事で、特に珍しい事ではありません。

お客様も正直なのかどうかはわかりませんが、レンズの無料交換は、当然お店のロスになります。

つまり、『ロス確定ですが、無料で交換してもらえるのであれば作成したいです。』という事ですよね。

『眼科側で言われたから来ました。』という、眼科さんのせいにしているようで、少し言い方がずるいと感じてしまいます。

普通に、『見え方が合わなかった時の保証などありますか?』で良いのにと思います。

必ず、見え方の保証がある所で作成しなければいけない理由は無いです。

もしも、本当に眼科さんから言われたのであれば、眼科側が患者さんに対して言う事では無いと思いますね。

『今はこの処方で良いですが、成長と共に度数は変化します。』・・ぐらいに留めておいて欲しいと思います。

眼科側も『度数が変わったら、また責任をもって処方しますので、安心して眼鏡作製してください』で良いと思います。

皆、他人のせいにし過ぎ・・。

もっと、自責の念をもってくれると良いなと思います。

他に聞かれる事は、

『うちの子ども、小学生なんですけど、眼鏡は常に掛けた方が良いですか?』

これに対しては、医療目的であれば常用が良いですし、裸眼視力や使用目的によって変わります。

眼鏡処方で説明が無かったのでしょうか?

他にも、

『視力測定はしないんですか?』

『見え方が心配なので、確認したいんですけど』

『もっと見えやすくしたいんですけど』

ん~。

しっかり検査してもらったんでしょうかと疑問に感じます。

残念ながら、眼鏡処方箋の見え方の確認は眼鏡店でも出来ますが、お店で勝手に眼鏡処方を変えてはいけない決まり事がある為、気になるようでしたら眼科さんをお勧めすることになります。

決して、いじわるをしている訳では無く、その処方になった理由がわからないからです。

初めに書いた通り、眼科医の場合であれば、かなりの知識があると思われます。

もしも、その先生が実際に処方したものであるのであれば、何かしらの理由がある筈です。

せめて、眼鏡処方箋に、完全矯正値とその視力、処方度数があると良いなと思う事があります。

その方が、お客差への負担が少なくなります。

処方箋について感じる事

処方箋に、『PDの記載漏れがある』ことがあります。

これは、年に何回かあります。

眼科さんによって、全く記入漏れが無い所もあれば、頻繁に記入漏れがある所もあります。

意識の違いなのでしょうか。

PDメーターが無く、あえて眼鏡店にお願いしている眼科さんもありますが、実測で測れないのでしょうか。

カバーテストやアンカバーテストで眼位をみる斜位測定に比べると、簡単だと思います。

困るのが、『字が汚い』という事です。

手書きではない処方箋はかなり親切です。

数字の判別がつかない時もあります。

細い数字で『1』なのか『9』なのか、『3』と『5』がわからない時もあります。

そして、『余計な備考欄』。

例えば、バリラックスと記載されていた事がありました。

VARILUX(バリラックス)とは1959年にエシロール(仏)が発売した世界初の遠近両用レンズです。日本では1967年にHOYA株式会社と技術提供し発売されました。2000年に、Nikonとの合併でニコン・エシロール株式会社となっております。

『遠近両用レンズで作成して下さい』という意味だとは思いますが、遠近両用レンズはバリラックス以外にもたくさんあります。

たくさん良い遠近両用レンズがある中で、『バリラックス』の指定なのかと思いました。

他には、プリズム処方で、『右眼3△基底45°、3△BI,△BU』という記載で、『3△BI、3△BU』と誤解される事もあると思います。

『右眼3△基底45°』だけで良いです。

蛇足ですね。

コメント メールアドレスが公開されることはありません。*が付いている欄は必須項目です。