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ユニバーサル瞳孔計(三田氏万能測定器)
三田氏のユニバーサル瞳孔計(眼鏡サシ)は、定規としての使用は勿論ですが、瞳孔距離計、瞳孔径測定、斜視計、眼球突出計としても使用できます。
各箇所での測定可能な項目は以下の通りです。
瞳孔径
瞳孔径は年齢により異なります。
新生児では約2mm、20歳~25歳では約4~6mm、老人では約2mmと変化します。
左右の眼で大きさが異なる(瞳孔不同)事もありますが、1mm以内は正常範囲とされております。
瞳孔障害の例は、大きさの異常(瞳孔括約筋や瞳孔散大筋の麻痺や痙攣)、反応異常(対光反応、近見反応)、瞳孔不同、瞳孔変形(瞳孔偏位、瞳孔不正円、虹彩欠損、虹彩断裂、虹彩後癒着など)が挙げられます。
眼球突出(exophthalmos)
眼球突出についての正常突出度は15mm前後です。
『Hertel(ヘルテル)眼球突出計』を用いた場合、正常の眼球突出度は11~16mm、平均13mmとされております。
片眼性は眼窩内の病変、両眼性は全身疾患に起因する事が多いです。
眼窩内容の増加、副鼻腔病変の波及、眼窩血管の異常、眼窩容積の減少などの原因が挙げられますが、詳しくは眼科さんでの検査が必要となります。
エックス線撮影(単純・断層・血管造影)、CT、超音波検査、放射線同位元素によるscintigraphy、血液検査、甲状腺機能検査、耳鼻科検査などですかね。
眼鏡作製に必要な数値
眼鏡作製の際には、『レンズ度数』だけがわかっていても作れません。
『瞳孔間距離(Pupillary Distance)』という値が必要となります。
PDは、眼鏡サシでスマートに実測出来ると良いですね。
『この度数で作ってもらえますか』と口頭で伝えられても、『PDはどうしましょうか・・・』となります。
PDの違いにより見え方が異なり、眼鏡度数が強くなる程にその違いが大きくなります。
注視距離の違いにより、遠用PDからどの程度小さくするかが変わります。
『コンタクトレンズを外したり、測定するのが面倒』という方に限って、後々になって『見え方が違うから作りなおせ』と強気に言い出します。
主に、PDの違いはプリズム作用の影響が出ます。
明視する際に必要となる輻輳力や開散力が変化しますので、見えていても疲れやすいというようなことが起こり得ます。
ですので、即答で『はい、かしこまりました。』とは言えません。
安易に、遠用PDのみを測定して眼鏡作製するということもしたくありません。
せめて、仮枠で見え方の確認をさせて欲しいです。
『知らないから言える』という事は世の中たくさんあります。逆に『知っているから言えない』という事もたくさんありますね。
『自分の問題』ではなく、自分にはどうしようも出来ない『相手側の問題』と思うと気持ちが楽になります。
瞳孔間距離(PD)、心取り点(CP)と心取り点間距離(CD)
瞳孔間距離(Pupillary Distance)とは、右眼と左眼との瞳孔間の距離です。ヒトの顔は厳密には非対称である為、左右眼で若干異なります。
心取り点(Centration Point)とは、プリズムが無い状態での光学中心、設計基準点、フィティングポイントが置かれる眼鏡平面上での点のことです。
心取り点間距離(Centration Distance)とは、眼鏡レンズの右CPと左CPの間の距離です。
レンズ光学中心と視線が一致するようにした場合のPDとCDとの関係性は、無限遠方視の場合には『PD=CD』となります。近方視の場合には『遠方PD>CD』となります。
実際に、CDをどの値で眼鏡作製すれば良いのかは様々な要因に影響されますので、単純でもありません。
測定時のPDが違えば、その違うPDでの完全補正値となります。
測定精度や、眼位異常といった斜位や斜視、輻輳力や開散力などにもより許容誤差範囲も異なります。
完全補正の測定値が強め(過補正)であれば、調節性輻輳が関与されPDが狭くなります。
更には、そもそもの測定距離が無限遠方距離ではありません。PD=CDで良いのかどうか。通常の測定距離は5mである事から、完全補正値は0.2Dの弱補正となっております。
仮枠PD調節の目盛設定が2mm間隔である場合などなど・・・。
理論を知る事は基礎を学ぶ事でもあり、とても大事ですが、人間の眼はそこまで敏感ではない事の方が多く、本当はあまり気にしなくても良いのかもしれません。
結局は、実際に眼鏡を使用してみてどうなのかという事を試す必要があると考えます。
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