第1回、1級眼鏡作製技能検定学科試験問題と解説①

眼鏡作製技能士向けの問題

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『眼鏡作製技能士の試験』は、『学科試験』と『実技試験』から成り立ちます。

2022年4月20日に、第1回『眼鏡作製技能検定学科試験』が行われました。その問題と解答、解説をしていきます。

個人的な感想では、試験内容の難易度は、

認定眼鏡士SSS級(旧)>>認定眼鏡士SS級(旧)>>眼鏡作製技能士1級≧認定眼鏡士S(旧)>眼鏡作製技能士2級・・・位でしょうか。

国家資格であるにも関わらず、正直がっかりでした。

こんなので良いのか疑問が残ります・・が・・。

国家資格化され、今回が初めての試験であり、その中でも1級試験に挑戦された方は、素晴らしく思います。

『機会(chance)』に『挑戦(challenge)』できた人は、結果がどうであれ、必ず『変化(change)』できています。

試験合格は通過点でしかありませんし、大して意味がありません。

急ぐ必要はないですし、一生懸命やりきったのであれば、その充実感や満足感は、必ずあなたを成長させてくれます。

小さな継続でも、いつかは大きな力になります。

ただ、誰でもできそうな『継続』する事は、本当はとても難しい事なのかもしれませんね。

合格で満足してはいけませんね。

学科試験の受験者数

第1回、学科試験の受験申込み者数1,770人(1級564人、2級12,06人)と、3月5日に発表されました。

個人での申込み者数は1129人、団体での申込み者数は641人です。

某眼鏡量販店は、2024年までに国家資格の取得を500人目指すとしております。眼鏡作製技能士2級であれば、簡単そうです。

旧資格制度である『認定眼鏡士』の資格取得者総数は4376人でしたが、『眼鏡作製技能士』はどこまで盛り上がれるのでしょうか。

  • その後、合格の発表がされました。
    • 1級の筆記合格者・・76/564人→13.5%
    • 2級の筆記合格者・・721/1206人→59.8%
    • 全体での筆記合格・・797/1770人→45.0%

学科試験の範囲

学科試験の時間は90分であり、試験範囲は以下の通りです。

【01】視機能系
【02】光学系
【03】商品系
【04】眼鏡販売系
【05】加工作成系
【06】フィティング系
【07】企業論理・コンプライアンス

1級では、多肢択一法(50問)
2級では、真偽法(25問)、多肢択一法(25問)

合格判定の基準は、1級・2級ともに満点の70%以上ですので、35問以上の正解で合格となります。。

1級の学科試験問題、解答と解説

1.調節休止の状態で網膜共役点が眼前 0.25m の眼で正しいのはどれか。

A.S-4.00D の補正が必要な近視
B.S-3.00D の補正が必要な近視
C.S-2.50D の補正が必要な近視
D.S-0.25D の補正が必要な近視

解答・・A

【解説】

D=1/fから、1÷0.25=4.00となります。

共役点とは、2点を互いに入れ換えてもその関係に変化がない点をいいます。

結像光学系

光線は逆行しますので、物体(object)と像(image)の関係は入れ替えることができます。つまり、物体と像の位置を入れ替えても同様の結像が成り立ちます。2点が結像関係にあることを共役(conjugate)といい、その2点を共役点といいます。

2.正視状態の眼前に、S+0.50D C-0.50 Ax90°のレンズを置いた場合、どのような乱視の屈折状態になっているか。

A.近視性単性直乱視
B.近視性単性倒乱視
C.遠視性単性倒乱視
D.混合性倒乱視

解答・・A

【解説】

度数変換をしますと、C+0.50 Ax180°となります。

正視眼に、単性乱視 C+0.50 Ax180°のレンズを置きますと、遠くが見えづらくなります。つまり、近視状態になります。

強主経線が垂直方向ですので、直乱視です。

近視性単性直乱視

別解)

C+0.50 Ax180°のレンズを眼前に置くということは、C−0.50 Ax180°で補正される眼と考えることもできますので、近視性単性直乱視となります。

3.不同視について、正しいのはどれか。

A.軸性不同視の場合、不等像視の発生は少ない。
B.一般に、左右眼の屈折度差が 2.50D 以上のものをいう。
C.近視性不同視の方が不同視弱視になりやすい。
D.左右眼の像の大きさが異なることをいう。

解答・・A

【解説】

不同視と不等像視は異なります。

左右の度数差が2.00D以上を不同視といい、『屈折性不同視』『軸性不同視』があります。

不同視弱視は、遠視度が強い片眼が使用されないことで視力が発達せず弱視になるものをいいます。

屈折性不同視の場合には、コンタクトレンズ装用による補正の方が不等像視が少ないといえます。

軸性不同視では、眼鏡補正しても『ナップの法則(Knapp’s law)』によると不等像の発生が少ないとされております。

そもそも、軸性不同視眼の割合は屈折性不同視眼と比べて多いといわれております。

とはいえ、光学的には『Knapp’s law』は正しいかもしれませんが、臨床的にはコンタクトレンズの方から受ける恩恵の方が大きいともいえます。

『ナップの法則』とは、補正レンズを後頂点位置と眼の第一焦点が一致するように装用すると、Shape factor(レンズの中心厚などによる要因)を無視した場合には、軸性屈折異常に対しての網膜像の大きさは変わらないという法則です。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-4.png
Knapp(ナップ)の法則

補足ですが、
装用距離の違いによる像の位置関係を下図に示します。

装用距離の違いによる像の位置

装用距離が近づくほどに、像の位置が右側に移動して行きます。実際には、補正度数もマイナス寄りに変化する事に注意が必要です。

『ナップの法則』ではありませんが、補正レンズの距離が近いほど倍率変化が小さくなる事を、『屈折性不同視』と『軸性不同視』を例として、以下の図に示します。

補正レンズの距離による、屈折性不同視と軸性不同視

不等像視に関しては、屈折性不同視ではCL補正が良く、軸性不同視では眼鏡補正でも良いという理由を図にしました。

4.眼のピント合わせ(調節)の主体となる筋はどれか。

A.輪状筋
B.縦走筋
C.瞳孔括約筋
D.眼輪筋

解答・・A
(個人的には答えが曖昧だと考えます。主体となる毛様体筋のMuller筋は輪状筋ですが、答えとして『輪状筋』となると、輪状筋は他にも沢山あり、全てが当てはまる訳ではありませんので正解なしといえるでしょう。)

【解説】

毛様体筋には、近方視の際に働くMuller筋(輪状筋)と、遠方視の際に働くBrucke筋(縦走筋)、放射状部である斜行筋があります。

調節に誘発されるのが縮瞳であり、『瞳孔括約筋』はその時に働く筋です。

5.眼前 1m から眼前 50cm の間が丁度明視域に入らないバイフォーカル眼鏡と調節力の組み合わせはどれか。遠用補正度数は全て±0.00D とする。

A.遠方は正視状態、加入度 2.00D のバイフォーカル、調節力は 1.00D
B.遠方は 0.50D の近視状態、加入度 1.50D のバイフォーカル、調節力は 1.00D
C.遠方は 0.50D の遠視状態、加入度 2.00D のバイフォーカル、調節力は 1.50D
D.遠方は 1.00D の遠視状態、加入度 2.50D のバイフォーカル、調節力は 2.00D

解答・・A

【解説】

選択肢A、バイフォーカル眼鏡の遠方部と近方部を別々に考えます。遠方部での明視域は、無限遠方~眼前1mです。近方部では、眼前50cm~33.3cmです。

6.Donders らの調査によると、60 歳の調節力はおよそ何 D か。

A.0.50D
B.1.00D
C.1.50D
D.2.00D

解答・・B

【解説】

年齢と調節力の関係

60歳の調節力は、石原忍さんによると0.50DDondersさんによると1.00Dとなります。

7.白・黒それぞれ 1.5mm 幅の縦縞が描かれたオプトキネティックドラムを 1m の距離で回転させたところ、視運動性眼振(OKN)が観察できた。視力の評価として正しいのはどれか。

A.最低でも 0.1 の視力はある。
B.最低でも 0.2 の視力はある。
C.最低でも 0.4 の視力はある。
D.最低でも 0.8 の視力はある。

解答・・B

【解説】

OKN(optokinetic nystagmus)を誘発させることで、乳幼児や精神発達遅延者、心因性視力障害、詐盲者などの視力評価が可能となります。

1.5mm幅を、測定距離1mの距離で判別できているということを、馴染みのあるランドルト環で考えてみます。

測定距離5mで、1.5mm幅の判別可能(6割正解)なのを視力1.0としました。OKNドラムの縦縞も1.5mmで同じ幅です。

OKTドラム

縦縞距離1mは、視力1.0距離5mの1/5です。

よって、視力1.0×1/5=0.2となります。

8.ランドルト環の通常黒い部分の輝度が20cd/m2、背景及び切れ目の通常白い部分の輝度が180cd/m2であった。この視標のコントラスト(%)で正しいのはどれか。

A.20%
B.40%
C.60%
D.80%

解答・・D

【解説】

コントラスト[%]
=(最高輝度−最低輝度)/(最高輝度+最低輝度)×100
=160/200✕100=80[%]

JISでは視標コントラストを74%以上と規定しておりますので、この視標コントラストはJIS基準を満たしています。

9.雲霧法による乱視測定では、マイナス円柱レンズの補正軸は何に基づいて決定されるか。

A.前焦線の方向
B.後焦線の方向
C.最小錯乱円の大きさ
D.前焦線から後焦線までの間隔

解答・・B 
(個人的には、解答が不適切と考えます。〇〇の方向というのは蛇足であり、誤解を招きます。正確には、後焦線の方向に基づき決定されますが、補正軸自体はその90°と垂直方向となります。)

【解説】

例えば、下図のような近視性複性倒乱視で考えてみます。

近視性複性倒乱視

放射線視標では、弱主径線による後焦線方向(水平方向)が濃く見えます。

マイナス円柱レンズの補正軸は、弱主経線方向(垂直方向)です。

ボヤケが起こる前焦線を乱視補正により、網膜上に近づけていくことで乱視補正を行います。

10.S+0.50D C-1.00D Ax180°のクロスシリンダーを利用して加入度を測定することにした。仮の加入度として S+2.00D を入れて測定を始めたところ、被測定者は縦線が濃く見えると答えた。測定者の対応として正しいのはどれか。

A.加入度を+2.00D で決定する。
B.加入度を+1.75D にして再度縦横の線の濃さを比較させる。
C.加入度を+2.25D にして再度縦横の線の濃さを比較させる。
D.C-0.25D Ax180°を加え再度縦横の線の濃さを比較させる。

解答・・C

【解説】

通常、システム検眼機械による、近方加入度テストでは以下のようなレンズが付与されます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-64-1024x244.png
近方加入度テスト

『S+0.50 C−1.00 Ax90°』のレンズが付与されます。

初めは『横線が濃く』見え、更に加入度数を付加し続けると『縦線と横線が同じ濃さ』に見える加入度数があり、更に加えますと『縦線が濃く』見えます。

問題文の付加するレンズ『S+0.50 C−1.00 Ax180°』は、通常のシステム検眼器(上図)での強主経線と弱主経線が逆になります。

つまり、初めは『縦線が濃く』見え、加入度数を加え過ぎると『横線が濃く』見える・・・というような、一般的なシステム検眼器でみられる反応の逆になります。

11.平面鏡による反射像について正しいのはどれか。

A.倒立実像ができる。
B.鏡に近づくと像は遠ざかる。
C.法線を下ろした同じ距離の所に虚像ができる。
D.観察者から見た物体と像の方向は同じになっている。

解答・・C

【解説】

以下のような、左右反転した正立虚像ができます。

反射像

12.非点収差の説明で誤りが含まれているのはどれか。

A.光軸上にある物体から発した光線束のうち、
B.レンズの垂直な断面を通る光線束の方が、
C.レンズの水平な断面を通る光線束に比べて、
D.より強く屈折してしまうことが原因で発生する。

解答・・A

【解説】

選択肢A~Dまでを、1つの文として読みます。

『A. 光軸外にある物体から発した光線束・・』が正しく、非点収差を図にしますと、以下のようになります。

非点収差

『球面収差』や『コマ収差』が除外された場合でも、物点がかなり軸から離れますと、結像が非点的(astigmatic)になります。この収差を『非点収差』といいます。

ザイデルの5収差と色収差を以下に示します。

主な収差

13.正しいのはどれか。

A.眼の光軸と眼鏡レンズの光軸がずれていると非点収差が顕著に表れる。
B.眼球光学系は共軸系である。
C.中心窩は最良像が得られる光軸上にある。
D.照準線は眼の入射瞳中心と固視点を結ぶ線である。

解答 D

【解説】

眼の『光軸』と『視軸』は異なります。

光軸とは、眼球の前極と後極を結んだ線であり、中心窩から5°鼻側になります。

視軸とは、注視点と中心窩を結んだ線です。

共軸系とは、光軸が1本のみで構成される光学系をいいます。Gullstrandの模型眼も共軸系となります。

14.プルキンエ・サンソン像で正しいのはどれか。

A.水晶体後面からの倒立虚像
B.水晶体前面からの正立虚像
C.角膜後面からの正立実像
D.角膜前面からの倒立実像

解答・・B

調節は、Purkinje-Sanson像(プルキニエ・サンソン像や、パーキンジー像とも呼ばれる)により観察できます。

暗室でローソクの光を見ている被検者の瞳孔を観察しますと、3つのローソク像が確認できます。

第1像は最も明るい角膜反射による直像
第2像は水晶体前面による最も大きい薄い直像
第3像は水晶体後面の反射による最も小さい倒像です。

Purkinje-Sanson像、左から、水晶体後面反射、水晶体前面反射、角膜反射

調節時には、第2像が第1像に近づく事から、水晶体前面の湾曲変化によりピントが合わせられたと考える事ができます。

本来、角膜と水晶体での反射は以下のような4つがあります。

プルキンエ像

しかし、確認できるのが3つである理由は、角膜による2つの反射が1つに見える為です。

15.屈折補正レンズについて、正しいのはどれか。

A.トーリックレンズは円柱面をレンズの前面と後面に配している。
B.レンズメーターは前面頂点屈折力を測定している。
C.頂点間距離を変えても、補正レンズを修正すればよい。
D.補正レンズの物体焦点を遠点に一致させる。

解答・・C

【解説】

レンズ設計では、レンズ前面を球面、後面をトーリック面にした内面トーリックが主流です。

眼鏡補正後の網膜像の方向による倍率差が小さく済むため、不等像を抑える事ができるからです。

選択肢C、『頂点間距離を変えても、補正レンズを変えれば良い』というのに関しては、疑問が残ります。

何故、角膜頂点間距離が12mmとしているのかには理由があります。『度数換算について・・・』などの条件を問題中に入れず、単純に『良い』としてしまいますと誤解が生まれます。

16.S-2.00D C-1.50D Ax90°の 90°方向の度数はどれか。

A.-3.50D
B.-2.00D
C.-1.50D
D.-0.50D

解答・・B

【解説】

スコア表記しますと、以下のようになります。

スコア表記

90°方向の度数は−2.00[D]です。

17.ボクシングシステムで以下のような表記があった場合、玉形中心間距離として正しいのはどれか。[54□18-138]

A.54mm
B.72mm
C.108mm
D.138mm

解答・・B

【解答】

FPD=54+18=72

18.眼鏡フレームの素材として使用されるポリカーボネートに関する以下の記述において誤っているのはどれか。

A.熱可塑性樹脂である。
B.強靭で寸法安定性に優れている。
C.アルコールなど有機溶剤に対する耐性も優れている。
D.割れにくいのでスポーツ用ゴーグルなどに多く使用されている。

解答・・C

【解答】

ポリカーボネート(PC)は、ハードコンタクトレンズに以前良く使用されていたPMMA(アクリル)に比べますと透明度は落ちます。それでも十分な透明性を持つエンジニアプラスチックの一種です。

透明性(ガラスと同等、可視光線透過率80~90%)もあり紫外線にも強く、ガラスの200倍以上の耐衝撃性があります。吸水性が低く、変形しづらく、寸法安定性に優れています。着火しても燃え広がらず、自己消化性をもちます。

但し、有機溶剤や界面活性剤に弱く、ひび割れや変形を起こすことがあります。

傷に弱く(HBの鉛筆硬度並み)、傷が付くと透明性も失われます。

19.「K14」と表示のある眼鏡フレームの金属部分の全重量が 26g であった。このフレームに使われている純金の重量として正しいのはどれか。眼鏡フレームの金属部分は全て「K14」とする。

A.13.0g
B.15.2g
C.18.2g
D.22.1g

解答・・B

純金は24K(Karat、カラット)です。

最大が24である理由は、24分率が由来であり、宝石の1Ct(0.2g)と語源は同じです。

カラットの語源は、イナゴマメの実(Kertion)であると考えられております。

『金』は展性と延性に優れておりますが、純金(24K)のままではフレームの強度が保てませんので、合金として使用されます。

14/24が純金ですので、26[g]×14/24≒15.17[g]

20.次の眼鏡フレームの表面処理に関する記述のうち、「イオンプレーティング」の説明で正しいのはどれか。

A.光の干渉現象を利用した発色原理である。
B.色着けされた樹脂をスプレーガンで吹き付け、その後焼き付けて乾燥させる。
C.酸性の液中に、めっきする金属をイオン化して溶融し、眼鏡フレームを陰極につるして通電する。
D.めっきしたい金属を高真空中で蒸発させてイオン化し、フレームの表面に加速・衝突させることでめっきする。

解答・・D

【解説】

選択肢Aは、シャボン玉やCDなどの虹色が例として挙げられます。

選択肢Bは『溶剤吹き付け塗装』で、多品種小ロットに向いておりますが、色ムラができやすいです。

選択肢Cは『湿式めっき』で、豊富なカラー付けができます。

選択肢Dは『イオンプレーティング(乾式めっき)』で、イオン化することにより密着性が高い膜を形成することができます。眼鏡では主にチタンフレームに施され『IP』と表示されます。

21.累進レンズの構造について、誤っているのはどれか。

A.累進帯が長くなるほど非点収差の勾配は小さくなる。
B.加入屈折力の変化をレンズの側方や周辺部で調整することを光学的変調と言う。
C.ミンクヴィッツによると累進帯左右に生じる非点収差は加入度数勾配の3倍となる。
D.累進レンズ周辺部の非点収差は曲率半径の異なる部分を滑らかにしたために生じる。

解答・・C

【解説】

二重焦点レンズとは違い、累進多焦点レンズでは中間部に累進帯を設けたことで収差が発生します。

ミングヴィッツ(Minkwitz)さんは、この累進レンズ面の光学を数学的に解析しました。

その結果によりますと、累進面の中央子午線における加入屈折力の傾斜ΔAddと、その中間累進帯の側方部に発生する非点収差の傾斜ΔAstの間には、『2×ΔAdd=ΔAstの関係がある』としました。

これを『Minkwitzの法則』といいます。

この加入屈折力の勾配を緩くするには『中間累進帯長を長くする』か、『加入屈折力を小さくする』という2つの方法が考えられます。

22.プラスチック及びガラスレンズの素材について、誤っているのはどれか。

A.ガラス眼鏡レンズ素材の屈折率は 1.523 からある。
B.プラスチック眼鏡レンズ素材の屈折率は 1.76 まである。
C.プラスチック眼鏡レンズの販売比率は約 85%以上となっている。
D.一般的にレンズ素材の屈折率が大きいほどアッベ数は小さくなる。

解答・・ー

(全て正解)

【解答】

ガラスレンズ素材の屈折率は1.523~1.90であり、プラスチック素材は1.50~1.76まであります。(2022年現在)

プラスチックレンズ製品のシェアは97%を超えます。

23.多焦点レンズの小玉に対する JIS の定義について、誤っているのはどれか。

A.丸小玉
B.アイデアル A 型小玉
C.カーブドトップ小玉
D.ストレートトップ小玉

解答・・B

【解説】

多焦点レンズの種類

多焦点レンズは『視覚的に分割された二つ以上の異なる屈折力をもつように設計されたレンズ』と定義され、multifocal lens(マルチフォーカルレンズ)とよびます。

累進レンズは『レンズの一部または全体にわたって屈折力が連続的に変化する非回転対称面を持つレンズ』と定義され、PAL(progressive addition lens)とよびます。

24.インディビジュアルレンズについて、誤っているのはどれか。

A.必ず各種計測をする前にフィッティングを行う。
B.装用状態によって変化する実効度数が処方度数になるように修正するレンズである。
C.注文に必要なデータは度数以外では装用時前傾角及び左右の PD と頂点間距離である。
D.度数が強くなるほど実効度数への修正が大きくなるので、処方度数と確認度数の差が大きくなる。

解答・・C

【解説】

注文時に必要なデータには、『そり角』も必要となります。

25.眼鏡の取り扱いや使用環境について、誤っているのはどれか。

A.冷凍庫に出入りするお仕事なのでハードコートレンズをおすすめした。
B.顔が見やすいように眼鏡をかけてヘアードライヤーを使用する。
C.汚れを取りやすくするためでもお湯で洗浄してはいけない。
D.眼鏡の手入れは最初に水洗いすることをおすすめした。

解答・・B

【解説】

選択肢Bは、気持ちはわかりますが、60℃以上ではクラックの原因になります。他にも、例えば、防曇スプレーを早く乾かしたいからドライヤーを使うなんていうのも禁忌です。

選択肢Cは、プラスチックレンズは吸水性があります。コーティングも痛みます。

選択肢Dは、レンズ表面の塵や埃を洗い流してから優しく水気を拭きましょう。

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