第55回午後、視能訓練士国家試験の解答と解説

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

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1 老視の原因はどれか。

1.硝子体の混濁
2.水晶体の混濁
3.網膜の菲薄化
4.水晶体の弾性低下
5.瞳孔括約筋の筋力低下

正解・・4

加齢に伴う調節力の減退は水晶体の弾性低下によるものです。

2 疼痛を伝達する脳神経はどれか。

1.動眼神経
2.滑車神経
3.三叉神経
4.外転神経
5.顔面神経

正解・・3

顔面の痛みは三叉神経(Ⅴ)、咽頭・舌根は舌咽神経(Ⅸ)、喉頭・胸腹部臓器は迷走神経(Ⅹ)、頸部・肩部は副神経(Ⅺ)。これらが侵害受容器からの信号を脳へ伝え、最終的に視床→大脳皮質で痛みとして認識されます。

3 アナフィラキシーショックの症状で誤っているのはどれか。

1.蕁麻疹
2.咽頭浮腫
3.血圧上昇
4.口蓋垂浮腫
5.気管支れん縮

正解・・3

アナフィラキシーショックの症状は、呼吸器症状(咽頭/咽喉浮腫、喘鳴ぜいめいなど)、循環器症状(血圧低下、頻脈/不整脈など)、皮膚症状(蕁麻疹じんましん、血管性浮腫など)、消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢など)、神経症状(意識混濁など)があります。

4 健常成人の計測値で誤っているのはどれか。

1.角膜直径 11.0mm
2.前房深度 3.5mm
3.水晶体直径 9.0mm
4.中心角膜厚 0.2mm
5.視神経乳頭径 1.5mm

正解・・4

角膜の中心厚は約0.5mm、周辺は約0.7~0.8mm。

5 乳児の正常な発達で正しいのはどれか。

1.1か月で首が座る。
2.3か月で寝返りができる。
3.7か月で1人で座ることができる。
4.8か月で伝い歩きをする。
5.10か月で歩く。

正解・・3

  • 月齢別の発達目安(0〜12ヶ月)
    • 0〜1ヶ月・・原始反射(モロー反射など)
    • 2〜3ヶ月・・社会的微笑、クーイング
    • 3〜4ヶ月・・首すわり
    • 5〜6ヶ月・・寝返り
    • 6〜7ヶ月・・お座り
    • 7〜8ヶ月・・ずりばい
    • 8〜9ヶ月・・はいはい
    • 9〜10ヶ月・・つかまり立ち
    • 10〜11ヶ月・・伝い歩き
    • 11〜12ヶ月・・初歩き・初語

6 滑車神経支配の外眼筋はどれか。

1.外直筋
2.下斜筋
3.下直筋
4.上斜筋
5.内直筋

正解・・4

外眼筋の種類と神経支配

7 Sagging eye syndromeの斜視のタイプはどれか。2つ選べ。

1.内方回旋斜視
2.小角度上下斜視
3.開散麻痺型内斜視
4.輻湊過多型内斜視
5.輻湊不全型外斜視

正解・・2、3

Sagging eye syndromeサギング アイ シンドローム(SES)は、加齢性結合組織変性による眼窩プリーの支持不全が原因で、外直筋プリーが垂れ下がる(sagging)ことで起こる後天性斜視です。外転作用の減弱、下転・外方回旋の成分が加わります。

  • 左右対称性・・遠見内斜視(開散麻痺型斜視)
  • 非対称性・・微小上下斜視を発症。

8 アクシデントに当てはまるのはどれか。

1.患者が暗室で転倒し骨折した。
2.患者の人違いに検査前に気付いた。
3.眼鏡の処方箋に瞳孔間距離を記入しなかった。
4.手術眼のマークを左右眼で間違えたが術前に気付いた。
5.コンタクトレンズを装用している患者に非接触眼圧計で眼圧を測定した。

正解・・1

  • アクシデント・・実際に人や物に被害・損害が発生した事象
  • インシデント・・被害には至らなかったが、事故につながりかねない事象

9 外転神経核があるのはどこか。

1.大 脳
2.間 脳
3.中 脳
4.橋
5.延 髄

正解・・4

  • 外転神経核・・橋(pons)下部、顔面神経膝(facial colliculus)の深部
  • 動眼神経核・・中脳(midbrain)上丘レベル、正中寄り
  • 滑車神経核・・中脳(midbrain)下丘レベル、正中寄り

10 副腎皮質ステロイド薬の副作用でないのはどれか。

1.肥 満
2.低血圧
3.糖尿病
4.白内障
5.精神障害

正解・・2

ステロイドによる高血圧・・腎臓でのナトリウム・水再吸収増加により血液量が増える。血管収縮性の亢進。

11 両眼視機能に異常のない健常者に両眼分離下で左右眼に同時に呈示する図形(別冊No. 1)を別に示す。 このときに生じる知覚現象で誤っているのはどれか。

1.異質図形の投影でみられる。
2.大型弱視鏡で検査できる。
3.眼位は動揺しやすい。
4.抑制は両眼交代に起こる。
5.抑制領域は一定である。

正解・・5

この知覚現象は視野闘争(binocular rivalry)です。左右の眼でそれぞれ異なる図形を同時に見たときに脳が両方を同時に処理できずに片方ずつ交互に知覚します。

12 錐体暗順応曲線と杆体暗順応曲線の交点はどれか。

1.主 点
2.節 点
3.眼球回旋点
4.網膜対応点
5.Kohlrauschの屈曲点

正解・・5

Kohlrauschコールラウシュの屈曲点の時間・感度・形状を分析することで、疾患の部位(杆体 vs 錐体)と進行度が推定できます。

Kohlrauschコールラウシュの屈曲点

13 赤、黄、緑など色を特徴づけている属性はどれか。

1.彩 度
2.色 相
3.明 度
4.飽和度
5.比視感度

正解・・2

  • 彩度・・色の鮮やかさ。鮮やかな赤、くすんだ赤
  • 色相・・色の種類。赤・青・黄など色そのもの
  • 明度・・色の明るさ。白っぽい、黒っぽい
  • 飽和度・・彩度とほぼ同義。色の純度・濁りのなさ
  • 比視感度・・目の波長感度。明るく感じるピークは約555nm(黄緑)

14 媒質と屈折率の組合せで誤っているのはどれか。

1.空 気 1.000
2.角 膜 1.356
3.房 水 1.336
4.等質核水晶体 1.406
5.硝子体 1.336

正解・・2

角膜実質の屈折率は1.376、硝子体は1.336。 1.356ひとみごろは不明。

15 左眼下斜筋の上転作用が最大となる眼位はどれか。

1.正面視
2.左下方視
3.左上方視
4.右下方視
5.右上方視

正解・・5

下斜筋は上転・外転・外方回旋の作用をもちます。

眼球の向きと眼筋

16 右眼上斜筋のともむき筋はどれか。

1.右眼下直筋
2.右眼上直筋
3.左眼下直筋
4.左眼上斜筋
5.左眼上直筋

正解・・3

左下方視では、右眼上斜筋、左眼下直筋

17 正常な両眼視獲得に影響が少ないのはどれか。

1.眼 位
2.視 力
3.視 野
4.頭 位
5.網膜対応

正解・・4

眼位や網膜対応が正常であれば、頭位により補う必要は少ないため。

18 眼窩のMRI T1強調冠状断(別冊No. 2)を別に示す。左眼上斜視および外方回旋斜視の原因と考えられるのはどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

正解・・3

上斜筋麻痺が考えられます。上斜筋は③。

眼筋

19 内転時に上斜筋の下転作用が最大になる矢状方向に対する角度[°]はどれか。

1.16
2.23
3.39
4.51
5.67

正解・・4

内転51°で上下斜筋の作用が最大となり、外転23°で上下直筋の作用が最大となります。

右眼:上斜筋(51°で最大の作用)
右眼:上直筋(23°で最大の作用)

20 開散麻痺で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.外斜視となる。
2.複視は自覚しない。
3.核上性の病態である。
4.ひき運動で眼球運動障害を認める。
5.治療にはプリズム眼鏡が有効である。

正解・・3、5

開散麻痺では、遠方視で内斜視と複視が現れます。外転神経麻痺や他の斜視との鑑別が重要で、高齢者では加齢性変化によるSagging Eye Syndromeサギングアイ症候群との関連も考慮する必要があります。

核上性の病態とは、神経核より上位の制御系の障害です。末梢や核自体は正常なのに随意運動が障害されるのが特徴です。

21 Humphrey視野計を用いた静的視野測定で正しいのはどれか。

1.他覚検査である。
2.近見補正は不要である。
3.屈折矯正は不要である。
4.測定点の閾値を求める。
5.視覚の感度分布をイソプタとして求める。

正解・・4

ハンフリー視野計は、白色背景に各測定点の白色指標輝度を変えることで閾値を測定する性的視野測定です。

視覚の感度分布をイソプタ(等感度曲線)として記録するのはGoldman視野計。

ハンフリーとゴールドマンの結果(例)

22 生理的安静位に関与するのはどれか。

1.近接性輻湊
2.緊張性輻湊
3.調節性輻湊
4.輻湊性調節
5.融像性輻湊

正解・・2

神経性緊張(Tonus)が最低限で眼がとる位置を生理的安静位といいます。外眼筋の基礎的緊張による外転方向と生理的に眼が内転する基礎的緊張による輻輳が関与します。

23 白内障手術を受けるのが不安で手術を受けるか迷っている患者に対する共感的な表現はどれか。

1.手術はやめたほうがいいですよ。
2.手術を受けないとよくなりません。
3.手術を受けるのが不安なのですね。
4.手術を受けるべきか私には判断できません。
5.手術を受けるかどうかゆっくり考えて下さい。

正解・・3

  • 選択肢1は根拠無しの否定で不安増幅させる
  • 選択肢2は一方的で強制的、不安を理解せずに圧迫感を与える
  • 選択肢4は責任回避で安心感を与えない
  • 選択肢5は患者の主体性を尊重するのみで不安の受け止め不足

24 スペキュラマイクロスコープによる角膜内皮細胞検査で誤っているのはどれか。

1.過熟白内障は測定できる。
2.鏡面反射の原理を用いる。
3.正常細胞は六角形である。
4.1,000cells/mm2は正常である。
5.内皮障害では細胞の大小不同がみられる。

正解・・4

正常値は 2,500~3,000 [cells/mm2]です。加齢により減少しますが 2,000個以下は角膜機能低下のリスクがある異常値。

25 ディスタントメータ(別冊No. 3)を別に示す。 瞳孔径の測定で誤っているのはどれか。

1.遠方視させて測定する。
2.眼鏡装用下で測定する。
3.瞳孔の横径を測定する。
4.暗室と明室とで測定する。
5.上眼瞼の位置にディスタントメータを置いて測定する。

正解・・2

26 Goldmann圧平眼圧計の測定で正しいのはどれか。

1.眼位は測定値に影響しない。
2.角膜厚が薄いと測定値は高くなる。
3.設定した値より眼圧が低いと半円は交差する。
4.圧平プリズム先端の円の直径は小児と成人で異なる。
5.眼圧は角膜表面を陥凹させるのに必要な圧で求められる。

正解・・3

角膜の一定面積(3.06mm径)を陥凹させるために必要な力を眼圧に換算して求めます。角膜厚が薄いと測定値は低くなります。

Goldmann圧平眼圧計(半円の位置)

27 白内障手術前後の前眼部OCT検査の結果(別冊No. 4)を別に示す。 術前の画像でみられる所見はどれか。

1.角膜浮腫
2.隅角閉塞
3.前房出血
4.瞳孔散大
5.虹彩の肥厚

正解・・2

隅角閉塞

28 糖尿病患者のフルオレセイン蛍光眼底造影検査の結果(別冊No. 5)を別に示す。 この写真の所見はどれか。2つ選べ。

1.黄斑円孔がみられる。
2.無灌流領域がみられる。
3.毛細血管瘤がみられる。
4.前増殖糖尿病網膜症である。
5.視神経乳頭の過蛍光がみられる。

正解・・2、3

無灌流むかんりゅう領域とは、網膜血管が閉塞して血流が途絶え、酸素や栄養が供給されない網膜部分を指します。蛍光造影で血管が描出されず「黒い領域」として見えます。

毛細血管りゅうとは、網膜の毛細血管壁が局所的に弱くなり、小さな膨らみ(瘤)を形成した状態を指します。「蛍光漏出」を示します。

29 細隙灯顕微鏡を用いた観察法で、前房の炎症の観察に最も適しているのはどれか。

1.徹照法
2.強膜散乱法
3.鏡面反射法
4.広汎照明法
5.焦点照明法

正解・・5

徹照法は角膜や水晶体などの混濁。強膜散乱法は角膜実質の浸潤や沈着など。鏡面反射法は角膜内皮や水晶体前面。広汎照明法は眼球全体の概要把握。

30 Schirmer試験Ⅰ法の検査法で正しいのはどれか。

1.試験前に点眼麻酔を行う。
2.鼻腔粘膜を綿棒で刺激する。
3.試験紙の挿入時に下方視させる。
4.10分間の涙液分泌量を測定する。
5.折り目を除いて濡れた部分を測定する。

正解・・5

Schirmer試験Ⅰ法は、点眼麻酔をせずに基礎分泌と反射性分泌を測定します。Schirmer試験Ⅱ法は、点眼麻酔を行い基礎分泌のみを測定します。涙液分泌量の測定時間は5分。

31 固視異常を認めないのはどれか。

1.器質弱視
2.斜視弱視
3.不同視弱視
4.微小斜視弱視
5.形態覚遮断弱視

正解・・3

不同視弱視は、屈折度数の左右差が原因で固視は正常に保たれています。

32 パターン視覚誘発電位の検査法で正しいのはどれか。

1.暗室で行う。
2.散瞳が必要である。
3.モニターの位置は眼前1.5m以上離す。
4.刺激から50msecまでの反応を記録する。
5.記録電極は外後頭結節よりやや上方に設置する。

正解・・5

パターン視覚誘発電位は、白黒の市松模様が反転する(1~2Hz)視覚刺激を用いて視覚伝導路の機能を評価する検査です。モニターとの距離は通常1m前後、刺激から約75msec、100msec、145msecの反応をみます。

33 Teller acuity cardの測定単位はどれか。

1.dB
2.Hz
3.asb
4.mmHg
5.cycles/degree

正解・・5

Teller acuity card(テラー視力検査カード)は、視角(visual angle)に基づく空間周波数(cycles per degree)で表されます。

34 調節障害を有する疾患はどれか。

1.Adie症候群
2.Brown症候群
3.Duane症候群
4.Sjögren症候群
5.Sturge-Weber症候群

正解・・1

Adieアディー症候群では、副交感神経の障害により瞳孔反応が鈍くなり調節も障害されます。

光近接解離(Light-Near Dissociation)・・光を当てても縮瞳しないのに、近くを見ると縮瞳する現象。Adie症候群、Argyll Robertsonアーガイル ロバートソン瞳孔、中脳病変(腫瘍や梗塞)が代表例。

  • 神経ルートの違いによる縮瞳
    • 光反射:目に光が入る → 中脳の視蓋前野 → 瞳孔を縮める
    • 近見反応:近くを見る意識 → 大脳皮質 → 中脳 → 瞳孔を縮める

Brownブラウン症候群は上斜筋腱鞘の異常で上方視などの眼球運動障害が起こる。Duaneデュアン症候群は外転神経の異常による眼球運動障害。Sjögrenシェーグレン症候群は自己免疫疾患で涙腺・唾液腺の障害が中心でドライアイなど。Sturge-Weberスタージ・ウェーバー症候群は血管奇形による神経皮膚症候群で緑内障など。

35 調節力が5.00Dの正視の人の近点[cm]はどれか。

1.10
2.20
3.30
4.40
5.50

正解・・2

焦点距離[m]=1/5=0.2[m]

36 右眼の視力検査時、右方視の状態で回答していた。V/4eの視野(別冊No. 6)を別に示す。 考えられる視野はどれか。

1.A
2.B
3.C
4.D
5.E

正解・・3

37 SPP-1〈標準色覚検査表第1部〉で正しいのはどれか。

1.一眼ずつ実施する。
2.検査は半暗室で行う。
3.屈折矯正は不要である。
4.検査距離は45cmである。
5.視標呈示時間は3秒以内である。

正解・・5

SPPの第1部は先天色覚検査、2部は後天色覚検査、3部は検診用です。検査距離75cm、指標呈示時間は3秒で行います。

38 中心フリッカ検査で影響を受けないのはどれか。

1.加 齢
2.縮 瞳
3.疲 労
4.屈折異常
5.中心暗点

正解・・4

中心フリッカ検査(CFF:Critical Flicker Frequency)は、視神経や錐体細胞の機能を評価します。高コントラストの点滅光を使用しますので、中間透光体の混濁には影響されにくいとされます。

加齢では、神経伝導路速度や錐体機能の低下。縮瞳は光刺激の低下。疲労は中枢神経の覚醒レベルの低下。中心暗点は正確な測定困難。

39 Goldmann視野計による両眼注視野検査で正しいのはどれか。

1.近見矯正する。
2.ひき運動を測る。
3.視標は遠心性に動かす。
4.一眼に抑制があっても実施できる。
5.固視観察筒から眼球運動を観察する。

正解・・3

指標は比較的大きく明るいため、多少ぼやけていても追従できれば近見矯正の必要はありません。「ひき運動」は単眼運動で、両眼運動は「むき運動」。一眼に抑制があると両眼で注視することができません。

指標は中心から外側へ向かい(遠心性に)ゆっくり一定の速度で動かします。求心性と遠心性とでは測定結果に違いがでます。

40 輻湊近点検査で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.17cmは正常である。
2.緊張性輻湊を測定する。
3.眼球回旋点を基準にする。
4.検査中の瞳孔径は不変である。
5.視標は遠くから近くに移動させる。

正解・・3、5

輻輳近点は鼻根部から固視点までの距離が8cm程度以内で二重に見える(ぼやけでは無く、複視)のが正常値です。他覚的には、一眼が注視しきれずに外転した距離。

緊張性ではなく融像性輻輳の測定。近見では調節反応により縮瞳します。

41 ヘルペスウイルスが原因となるのはどれか。

1.糸状角膜炎
2.樹枝状角膜炎
3.帯状角膜変性
4.フリクテン性角結膜炎
5.Fuchs角膜内皮ジストロフィ

正解・・2

樹枝状角膜炎(dendritic keratitis)は、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)が角膜上皮に感染して起こる代表的な病態です。

帯状角膜変性は、慢性の角膜変性でカルシウム沈着が原因。フリクテン性角結膜炎は、結核菌やブドウ球菌などの細菌性アレルギー反応が原因。Fuchsフックス角膜内皮ジストロフィは、遺伝性の角膜内皮細胞の変性疾患

42 Behçet病でみられるのはどれか。2つ選べ。

1.外陰部潰瘍
2.感音性難聴
3.口腔内アフタ
4.皮膚白斑
5.両側肺門部リンパ節腫脹

正解・・1、3

代表的症状として、外陰部潰瘍、再発性口腔アフタ、皮膚症状(結節性紅斑、毛嚢炎様皮疹など)、眼症状(ぶどう膜炎、網膜血管炎など)、その他全身症状(関節炎、消化器病変など)があります。

43 治療に抗VEGF薬を用いるのはどれか。

1.黄斑円孔
2.加齢黄斑変性
3.網膜色素変性
4.黄斑ジストロフィ
5.網膜動脈分枝閉塞

正解・・2

抗VEGF薬(血管内皮増殖因子阻害薬)は、異常な新生血管の発生や黄斑浮腫を抑えるために使われる治療薬です。

  • 加齢黄斑変性(AMD)
  • 糖尿病黄斑浮腫(DME)
  • 網膜静脈閉塞症(RVO)
  • 近視性脈絡膜新生血管(mCNV
  • 未熟児網膜症(ROP)
  • 血管新生緑内障

44 牽引性網膜剝離を生じるのはどれか。2つ選べ。

1.未熟児網膜症
2.増殖糖尿病網膜症
3.網膜中心動脈閉塞
4.Vogt-小柳-原田病
5.中心性漿液性脈絡網膜症

正解・・1、2

牽引性網膜剝離は、網膜の表面にできた線維性の膜(増殖膜)が収縮し、網膜を物理的に引っ張ることで剥がれてしまうタイプの網膜剝離です。

主な原因疾患は、未熟児網膜症(ROP)、増殖糖尿病網膜症(PDR)、網膜静脈閉塞症の進行例、外傷後の増殖性硝子体網膜症(PVR)です。

45 水晶体偏位をきたす疾患はどれか。

1.Duane症候群
2.Fisher症候群
3.Horner症候群
4.Marfan症候群
5.Stevens-Johnson症候群

正解・・4

Marfanマルファン症候群は結合組織の異常をきたす遺伝性疾患で、FBN1遺伝子の変異が原因です。チン小帯(Zinn小帯)が脆弱になるため、水晶体偏位や亜脱臼します。

Duaneデュアン症候群は、外転神経の異常による眼球運動障害。Fisherフィッシャー症候群は、外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失が特徴。Hornerホルネル症候群は、交感神経の障害による縮瞳・眼瞼下垂・無汗症など。Stevens-Johnsonスティーヴン・ジョンソン症候群は、重症の皮膚・粘膜障害で、角結膜炎などを起こすことはある。

46 強膜炎で正しいのはどれか。

1.無痛である。
2.再発はしない。
3.治癒後の強膜は肥厚する。
4.全身疾患を合併することが多い。
5.副腎皮質ステロイド薬は無効である。

正解・・4

強い眼痛があり、全身性自己免疫疾患との関連が深く、全身性ステロイドや免疫抑制薬を使用します。

47 円錐角膜で正しいのはどれか。

1.片眼性が多い。
2.角膜実質が肥厚する。
3.高齢で発症しやすい。
4.診断には角膜形状解析が有用である。
5.初期にはソフトコンタクトレンズの装用が治療となる。

正解・・4

思春期~20代前半で発症することが多く、進行するとハードコンタクトにて視力矯正が必要となります。診断には角膜形状解析(トポグラフィー)が有用です。

48 アデノウイルスによる結膜炎はどれか。

1.咽頭結膜熱
2.春季カタル
3.新生児眼炎
4.巨大乳頭結膜炎
5.急性出血性結膜炎

正解・・1

  • 咽頭結膜熱・・アデノウイルス(3型、4型、7型など)によるウイルス感染。
  • 春季カタル・・I型アレルギー反応によるアレルギー性結膜炎の重症型。
  • 新生児眼炎・・クラミジア、淋菌、ヘルペスウイルスなどの感染。産道感染が主な原因。
  • 巨大乳頭結膜炎・・コンタクトレンズや義眼などの機械的刺激による慢性アレルギー性炎症。
  • 急性出血性結膜炎・・エンテロウイルス70型やコクサッキーウイルスA24型などのウイルス感染。

49 白内障の症状でないのはどれか。

1.羞 明
2.霧 視
3.歪 視
4.近視化
5.単眼複視

正解・・3

核白内障では近視化ですが、皮質白内障では遠視化。

50 正常眼圧緑内障で正しいのはどれか。

1.早期に視力が低下する。
2.日本人では少ない病型である。
3.眼圧を下降させても治療効果はない。
4.OCTを用いた画像解析は診断に有用である。
5.初期の異常の検出には動的視野検査が静的視野検査より有用である。

正解・・4

日本では緑内障の約7割が正常眼圧緑内障(NTG)であり、緩やかに進行するため初期は気付き難く、ハンフリーなどの静的視野検査やOCTが早期発見に有用です。

51 確定診断と治療のために眼鏡装用を要するのはどれか。2つ選べ。

1.偽内斜視
2.急性内斜視
3.周期内斜視
4.部分調節性内斜視
5.屈折性調節性内斜視

正解・・4、5

調節性内斜視では、眼鏡装用で斜視が消失または改善します。

52 視力が良好な眼振の特徴はどれか。

1.頻度が高い。
2.振幅が大きい。
3.振子様である。
4.foviation time(正:foveation time)が長い。
5.急速相直後の緩徐相の速度が速い。

正解・・—-4

視力が良好な眼振の特徴は、眼振が弱くなる静止位(null point)をもつ、輻輳や閉瞼で眼振が抑制される、眼球や網膜や視神経に異常がないなどの場合です。

foveation timeフォビエーション タイム とは、視線が安定し網膜中心窩(Fovea)に像を結んでいる時間のことです。

振子様眼振(pendular nystagmus)とは、緩徐相と急速相の区別がなく振り子のように等速で往復運動するタイプの眼振です。両眼性の左右対称のことが多く垂直性や回旋性を伴うことがあり、視力低下を伴います。

53 乳児内斜視で正しいのはどれか。

1.外転制限がある。
2.強度近視を認める。
3.瞼裂狭小を認める。
4.30Δ以上の斜視角がある。
5.両眼視機能は良好である。

正解・・4

乳幼児内斜視では、近視ではなく遠視に多くみられ、実際の外転制限はないが眼振や交差固視の影響で偽性外転制限がみられることがあります。発症が早期であるため両眼視機能の発達が障害されやすいです。

瞼裂狭小を認めるのは、Duaneデュアン症候群(内転時に眼球後退と瞼裂狭小)など他の疾患でみられる所見です。

54 頭位異常を示さない疾患はどれか。

1.眼位性眼振
2.上斜筋麻痺
3.恒常性外斜視
4.Brown症候群
5.眼振阻止症候群

正解・・3

恒常性外斜視は、常に眼位が外れている状態で安定するため頭位異常をとる必要がありません。

眼位性眼振では、静止位に頭を傾けることで視力を安定させます。上斜筋麻痺では、患眼で複視が強くなるため健側に頭部傾斜することで代償します。Brown症候群では、上方内側視の制限により頭位を後屈し健側に傾けることで代償。眼振阻止症候群は、眼振を抑えるために内斜視で頭位を回転させることで視線を調整。

55 外転神経麻痺で誤っているのはどれか。

1.同側性複視を訴える。
2.脳腫瘍が原因となる。
3.右外転神経麻痺では左側に顔を回す。
4.Duane症候群との鑑別が必要である。
5.Hess赤緑試験で患眼耳側が狭くなる。

正解・・3

Duane症候群も外転障害を呈しますが、内転時の眼球後退や瞼裂狭小があります。

Hess試験では、外直筋麻痺により制限される患側の方向で図が小さくなります。

56 プリズム眼鏡の処方で誤っているのはどれか。

1.複視が改善する。
2.12Δ以上の膜プリズムは視力低下をきたす。
3.膜プリズムは眼鏡レンズの外面に貼付する。
4.非共同性では非優位眼にプリズムを装用する。
5.組み込みプリズムよりも膜プリズムの方が大角度まで矯正できる。

正解・・3

膜プリズムは、光学的な歪みを最小限に抑えるため眼に近い眼鏡レンズの内面に貼付します。

57 AC/A比が8Δ/Dで考えられるのはどれか。

1.偽外斜視
2.乳児内斜視
3.後天固定内斜視
4.非屈折性調節性内斜視
5.Sagging eye syndrome

正解・・4

AC/A比の正常値が3~4[Δ/D]に対して、8[Δ/D]は調節性輻輳力が高く、考えられるのは非屈折性調節性内斜視。

乳児内斜視のAC/A比は正常。サギングアイは外眼筋支持組織の弛緩による眼位異常でAC/A比とは無関係。

58 微小斜視弱視で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.両眼性である。
2.中心窩固視である。
3.一定期間の遮閉が原因である。
4.4Δ基底外方試験が有用である。
5.不同視を合併していることが多い。

正解・・4、5

微小斜視弱視は、通常片眼性でわずかな斜視と偏心固視を示し、不同視を合併することが多い。抑制暗点の検出が重要なため4ΔBOテストが有用。

一定期間の遮蔽が原因となるのは形態覚遮断弱視。

59 間欠性外斜視の視能訓練で誤っているのはどれか。

1.遮閉法
2.輻湊訓練
3.flashing method
4.衝動性眼球運動訓練
5.生理的複視認知訓練

正解・・4

間欠性外斜視では、眼位の安定や融像刺激の強化を目的とした遮蔽法、BOプリズム訓練などによる輻輳力を強化する訓練、抑制除去訓練の一環として感覚面を鍛える flashing method、両眼視機能の回復や抑制除去を目的とした生理的複視を自覚させる訓練などがあります。

60 遮閉具を用いた健眼遮閉の副作用で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.羞 明
2.発 熱
3.近視化
4.遮閉弱視
5.精神的ストレス

正解・・4、5

特に小児では、長期間の健眼遮蔽は遮蔽された健眼が視力低下する原因になります。また、心理的ストレスによる心因性視覚障害を引き起こすこともあります。

61 A-V型斜視の特徴で正しいのはどれか。

1.V型外斜視は顎を下げて見る。
2.A型外斜視は上方視で外斜視角が大きい。
3.V型内斜視は上方視で内斜視角が大きい。
4.V型外斜視は下斜筋過動を伴うことが多い。
5.最も発症頻度が高いのはA型内斜視である。

正解・・4

最も発症頻度が高いのはV型外斜視。

  • V型外斜視・・上方視で外斜視角が大きくなります
  • V型内斜視・・下方視で内斜視角が大きくなります
  • A型外斜視・・下方視で外斜視角が大きくなります
  • A型内斜視・・上方視で内斜視覚が大きくなります

62 弱視の原因で誤っているのはどれか。

1.斜 視
2.混乱視
3.不同視
4.強度遠視
5.中間透光体の混濁

正解・・2

弱視の種類には、斜視弱視、不同視弱視、屈折異常弱視、形態覚遮断弱視などがあります。

63 アトロピン硫酸塩点眼を用いた弱視訓練で誤っているのはどれか。

1.健眼に点眼する。
2.完全遮閉法である。
3.斜視弱視に適応がある。
4.不同視弱視に適応がある。
5.潜伏眼振と弱視が合併した場合に有用である。

正解・・2

アイパッチなどの片眼を完全遮閉すると眼振が強くなる場合、アトロピン点眼は視線を遮らないため潜伏眼振には特に有用

64 生理的複視認知訓練で用いるのはどれか。2つ選べ。

1.プリズム
2.catカード
3.3点カード
4.大型弱視鏡
5.two pencil法

正解・・3、5

3点カードは、異なる距離にある3つの視標を用いて生理的複視(=パヌムの融像域外の像が2つに見える現象)を自覚させる訓練。抑制の解除や両眼視機能の再構築に役立つ。

two pencil法は、2本の鉛筆を用いて交差性・同側性の複視を自覚させる方法。

65 Duane症候群で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.右眼に多い。
2.下斜筋過動を伴う。
3.相反神経支配の異常を伴う。
4.内転時に外直筋が放電する。
5.動眼神経核が形成不全である。

正解・・3、4

相反する神経支配を受ける内直筋と外直筋が、Duane症候群では両方同時に収縮(共収縮)する異常があります。内転時には外直筋も共に収縮します。

外転神経(Ⅵ)の形成不全や欠損により、外直筋を支配しない筈の動眼神経(Ⅲ)が外直筋に入り込むことで起こります。

66 20歳の女性。右眼の自覚的屈折検査の途中であり、±0.25Dのクロスシリンダで測定しているときの写真(別冊No. 7)を別に示す。-1.00D cyl-0.50D 180°で矯正されている状態から、クロスシリンダを使用したところAよりもBの方がよく見えるという。検眼枠にレンズを組み替えた後の屈折度はどれか。

1.-1.25D
2.-0.75D()cyl-1.00D180°
3.-1.00D()cyl-1.00D180°
4.-1.25D()cyl-0.50D180°
5.-1.75D()cyl+1.00D180°

正解・・2

黒丸が90°方向にあるBが見えやすいということから、C−0.25 Ax180° を付加します。

S−1.00 C−0.50 Ax180° に C−0.25 Ax180°を付加すると「S−1.00 C−0.75 Ax180°」ですが、その選択肢がありません。

消去法で、更に C−0.25 Ax180° を付加し等価球面度数を合わせるためにS+0.25Dを加えた「S−0.75 C−1.00 Ax180°」。

クロスシリンダーの構造

67 24歳の女性。小学生のときより眼位異常を認め、間欠性外斜視と診断されている。最近、眼精疲労と視力低下を自覚し来院した。視力は右1.0(1.2×-0.50D)、左1.0(1.2×-0.50D)、裸眼での両眼視力は0.6であった。フォトスクリーナー(SpotTMVision Screener)の結果(別冊No. 8)を別に示す。この現象に関係するのはどれか。

1.近接性輻湊
2.緊張性輻湊
3.調節性輻湊
4.輻湊性調節
5.輻湊けいれん

正解・・4

間欠性外斜視、片眼での視力は良好だが両眼だと視力低下、フォトスクリーナーだと屈折度数が強めにでています。これらの情報から、外斜視により調節が過剰に働く斜位近視

68 47歳の女性。3日前から複視と眼瞼下垂が出現し、症状が改善しないため来院した。来院時の9方向むき眼位写真(別冊No. 9)を別に示す。 この患者で最も注意すべきなのはどれか。

1.眼 圧
2.眼 底
3.視 力
4.前 房
5.瞳 孔

正解・・5

急な複視と眼瞼下垂の出現は動眼神経麻痺が疑われます。瞳孔散大では脳動脈瘤による圧迫の可能性、瞳孔が正常であれば糖尿病や高血圧などにより虚血性の動眼神経麻痺の可能性があります。

69 35歳の女性。1週間前から右眼の光視症と視力低下が出現したため来院した。視力は右(0.1×-1.50D)、左(1.2×-2.00D)。右眼の広角眼底撮影の結果(別冊No. 10)を別に示す。この患者でみられる所見はどれか。

1.黄斑剝離
2.乳頭浮腫
3.硝子体出血
4.網膜細動脈瘤
5.上鼻側網膜剝離

正解・・1

70 53歳の女性。Sjögren症候群によるドライアイで点眼加療中である。3か月前からのパソコン画面の見えにくさ、自動車運転時の目の疲れを主訴に来院した。遠見視力は右1.2(矯正不能)、左0.4(1.2×-1.25D)、近見視力は右0.3(1.2×+2.00D)、左0.8(1.2×+0.75D)であった。 遠方・近方ともに見たいとのニーズに対する提案で適切なのはどれか。

1.右 +0.00D、左 -1.25Dの眼鏡
2.右 +2.00D、左 +0.75Dの眼鏡
3.左のみ遠用完全矯正のコンタクトレンズ
4.右 +0.00D、左 -1.25Dに近見加入した累進屈折力眼鏡
5.右 +0.00D、左 -1.25Dに近見加入した多焦点コンタクトレンズ

正解・・4

Sjögrenシェーグレン症候群によるドライアイがあるため、コンタクトは不適。遠方と近方の両方が見たいのであれば遠近両用眼鏡。

71 69歳の女性。2か月前から自宅近くの診療所で左眼充血のため点眼治療を受けていた。最近、複視や眼球突出が出現したため紹介され来院した。左眼前眼部写真(別冊No. 11)を別に示す。視力は右0.8(1.2×cyl-1.50D80°)、左0.4(1.0×cyl-2.25D100°)。考えられるのはどれか。

1.強膜炎
2.甲状腺眼症
3.慢性結膜炎
4.悪性リンパ腫
5.内頸動脈海綿静脈洞瘻

正解・・5

甲状腺眼症と内頸動脈海綿静脈洞瘻どうろう(CCF)は、どちらも眼球突出や複視、充血を引き起こします。びまん性で強い充血と血管怒張どちょうがあるのはCCF。

72 生後5か月の乳児。てんかん発作と左顔面の三叉神経第一枝・第二枝領域に母斑を認めたため、小児科より紹介され来院した。外眼部写真(別冊No. 12)を別に示す。最も起こしやすい眼合併症はどれか。

1.白内障
2.緑内障
3.網膜剝離
4.網膜血管腫
5.網膜色素変性

正解・・2

Sturge-Weberスタージ・ウェーバー症候群が疑われます。

左顔面のポートワイン斑が眼瞼にかかる場合、同側の緑内障リスクが高いとされます。眼の血管奇形や房水流出路の形成異常により眼圧が上昇します。

73 38歳の女性。2週間前の交通事故による頭部外傷後、床が歪んで見えるようになり、歩きづらさを訴えて来院した。視力は右1.0(矯正不能)、左1.0(矯正不能)、眼位検査で遠見・近見ともに6Δ内斜位であった。今後行う検査で必要ないのはどれか。

1.眼底検査
2.眼軸長測定
3.Hess赤緑試験
4.大型弱視鏡検査
5.Cyclophorometer検査

正解・・2

床が歪んで見えるということから回旋性複視、視力1.0で矯正不能、遠近ともに6Δ内斜位ということなどから、外傷後滑車神経麻痺が疑われます。

眼底検査では網膜や視神経の損傷を確認します。Hess赤緑試験では眼筋麻痺の有無と方向を評価し、大型弱視鏡検査では両眼視機能や眼位の詳細を評価します。Cyclophorometer検査では回旋性眼位ずれを評価します。

74 6歳の男児。就学時健康診断で左眼の視力低下を指摘され来院した。視力は右1.0(1.2×+0.50D)、左0.5(0.9×+1.50D)。完全屈折矯正下の眼位は遠見・近見ともに10Δ内斜視であった。Bagolini線条検査の結果(別冊No. 13)を別に示す。網膜対応で正しいのはどれか。

1.正常対応
2.対応欠如
3.二重対応
4.調和性異常対応
5.不調和性異常対応

正解・・4

調和性異常対応(HARC)は、固視眼の中心窩と、斜視眼のずれた網膜部位が対応している状態です。内斜視による眼位のズレと網膜対応のズレが一致(調和)するため、複視を感じません。

75 17歳の男子。中学校入学時から複視を時々自覚していたが放置していた。最近、常に自覚するようになったため来院した。20Δの共同性の外斜視があり、プリズム中和を行い複視は消失した。この患者に行うべき手術はどれか。

1.Jensen法
2.原田-伊藤法
3.外直筋後転術
4.下斜筋後転術
5.下直筋鼻側移動術

正解・・3

筋麻痺ではなく、筋バランスの異常が原因と考えられるため、外直筋後転術が適切。

Jensen法は、麻痺性斜視(特に外転神経麻痺)に適応。原田-伊藤法は、上斜筋麻痺による回旋性複視に適応。

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