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異常眼球運動には、『眼振』や『非共同運動』などがあります。
眼振(眼球振盪)
眼振は、眼球の不随意的往復運動です。
眼振の分類
- 眼球運動様式での分類
- 振子様眼振・・往復運動の速度が一定
- 衝動性眼振・・往復運動の速度が一方向へ早く(急速相)、多方向は緩やか(緩徐相)
- 方向での分類
- 水平眼振(horizontal nystagmus)
- 垂直眼振(vertical nystagmus)
- 回旋眼振(rotatory nystagmus)
- これらの3つが基本であり、組み合わせにより、水平回旋混合眼振、垂直回旋混合眼振、斜行眼振があります
- 自発的か否かでの分類
- 自発眼振・・特に何も刺激が無い状態、遠用をぼんやり見ている時にみられる眼振
- 誘発眼振・・何らかの刺激を加えることにより誘発される眼振
- 注視眼振・・注視させた時にみられる
- 温度眼振・・外耳道に冷水や温水を注入するなどの急激な温度変化により、三半規管が刺激されることで起こる
- 頭位眼振・・頭位を変化させた時にみられる
- 頭位変換眼振・・体位を変化させた時にみられる
- 生理的か病的か
- 視運動性眼振(OKN:Optokinetic nystagmus)・・視運動刺激により誘発される生理的な眼振
- 電車の窓から外を見ている時など、進行方向と逆方向の緩徐相(かんじょそう)と進行方向に一致する急速相をもった眼振が典型的で、これを『鉄道路線眼振(Railroad nystagmus)』ともいう
- 視運動性眼振(OKN:Optokinetic nystagmus)・・視運動刺激により誘発される生理的な眼振
視運動性眼振(OKN)は、固視と追従、再固視反射のメカニズムが一緒になり生じます。
この眼振の程度は、例えば『固視物が作る視覚の大きさ』や『固視物と観察者間の相対スピード』、『観察者の注意度』、『固視物の移動方向(水平か垂直)』などのような要因に影響されます。
このような眼振は反射的な眼球運動であるため、意識的に長時間抑制する事は困難となります。
その為、仮盲(けもう)を示す詐病者やヒステリー性弱視などの診断に利用されます。
視運動性眼振の簡易的な検査では、等間隔でしまの書かれたテープや回転ドラムが使われます。
OKNを利用して、他覚的な視力測定ができます。
特に、乳幼児や知的障害者に有効となります。
ある一定のスピードで回転するドラム上の『しま間の、スペースの大きさ』と『ドラムまでの距離』により、OKNを誘発させる最小視角から視力を予想する事ができます。
Preferential Looking法による、『PL視力』です。
動く刺激は興味をひきやすいです。
ただ、網膜上のどの位置で見ているのかが決め難いです。
- 眼振の原因となる部位での分類
- 中枢性眼振・・大脳、小脳、脳幹など中枢神経系の障害による
- 抹消性眼振・・内耳の障害や視力障害による
先天性眼振
- 潜伏眼振・・一眼の遮蔽で発現するか増強する
- 高頻度で、交代性上斜位に合併する
- 視力不良性眼振・・眼振を止めても視力は良くならない
- 小眼球、先天性白内障、全色盲や白子眼などの視力障害に合併する
- 眼位性眼振・・眼の位置により、眼振の程度に差がみられる
- ある方向をみる時は、眼振が軽快または消失するため、その『静止位』では視力が良い。
- 例えば、右方静止位の眼位性眼振では、顔を左へ回して右向きで見てしまう。
非共同運動
通常の眼球運動は、両眼の外眼筋(4つの直筋と、2つの斜筋)が共同して円滑に働きます。
しかし、眼球運動の経路に障害がある場合には、両眼が共同して運動できなくなります。
眼筋麻痺の時は『非共同運動』となります。
『非共同運動』の場合には、複視が起こります。
- 複視で2つに見える像の呼び名
- 真像・・健眼に見える像(true image)
- 健眼を遮蔽して消える像
- 仮像・・麻痺眼に見える像(false image)
- 麻痺眼を遮蔽して消える像
- 真像・・健眼に見える像(true image)
仮像は、視線を動かした際に、現れたり消えたりもします。
外直筋麻痺では、麻痺眼と同側に現れます。これを、同側性複視といいます。
また、内直筋麻痺では、麻痺眼と反対側に現れます。これを、交叉性複視といいます。
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