視力回復、近視の原因

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

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  • よくある質問
    • 近視は遺伝するのか?
    • 近視は一時的な眼の訓練で治るのか?
    • 近視はどの程度進行するのか?
    • 完全補正か低補正か?

このような疑問が最後まで読むことで分かるようになります

頑張って、最後まで見てくださいね。

正確な知識がないと『あの人が言ってたから・・・』とか、二転三転して振り回されてしまいます。

何を信じ、どんな行動をするかは自分で決めましょう。

『ヒトは食べた物で身体が作られ、聞いた言葉で心が作られ、話した言葉で未来が作られます。』

では、本題ですが・・・

突然視力が低下するような急性な場合でなければ、先ずは眼鏡店に訪れるのが一般的です。

眼鏡店で扱う屈折異常の中で、このような近視の割合は高いです。

遠方視力低下は、近視以外の屈折異常や眼疾患でも生じますので、この点は注意しないといけません。

近視の診断や対処をする上での必要な知識は、科学的に確証されていない事が多いのも事実であり、このことが混乱を生じさせています。

近視の分類

全ての近視タイプが『近視進行コントロール』の対象になる訳ではありません

これらの知識は、絶対必要です。

近視の強さによる分類

近視進行のコントロールや削減の対象となるのは、主に『弱度の近視』です。

  • 弱度近視
    • −3.00D以下
  • 中等度近視
    • −3.00Dを超え~−6.00D以下
  • 強度近視
    • −6.00Dを超え~−10.00D以下
  • 最強度近視
    • −10.00を超え~−15.00以下
  • 極度近視
    • −15.00を超える

近視発生の時期

近視進行のコントロールや削減の対象となるのは、主に『後天近視』です。

  • 先天近視・・・およそ生後6ヶ月以内(便宜上)で生じた近視
  • 後天近視

視機能障害の有無

新生児の遠視(軸性遠視)は、成長するに従って眼軸が伸びて正視になり、近視にまで移る人が殆どです。

近視進行のコントロールや削減の対象となるのは、主に『単純近視』です。特に、偽近視です。

  • 単純近視
    • 視機能障害を伴わず、眼鏡レンズで正常な視力補正が可能な近視
  • 病的近視
    • 眼軸性および遺伝性で、何らかの視機能障害を伴う近視
    • 強度近視の殆どは病的近視

偽近視(仮性近視)

偽近視とは、調節緊張による一時的な近視の事です。

近くばかりずっと見ていると毛様体緊張(トーヌス)が起こり、近くにピントが合ったままの状態になるといわれています。

ただし、偽近視を正確に診断する方法が確立されてはおりません。

一例として、調節麻痺剤であるミドリンP点眼する前後での測定値の変化で偽近視かどうかを診断します。

  • 測定項目
    • 裸眼視力の変化
    • 同じ矯正レンズで補正視力の向上、またはその逆
    • 他覚的屈折補正値のプラス側(1.00D位)への変動

近視進行のコントロールと削減法

以前から、様々な試みがなされていますが、はっきりとした近視発生のメカニズムは解明されてはおりません

決定的な方法を模索しているのが現状です。

従来の視機能トレーニング

調節トレーニングによって調節をリラックスさせる方法です。

具体的方法は、焦点ジャンプや±フリッパートレーニングなどです。

このトレーニングによる近視コントロールは一般的に困難という結論が出されていますが、調節トレーニング自体は、調節機能向上に効果的という報告もあります。

近視の原因は調節だとする仮説との関連性が疑われています。

数ある研究報告の中で、ボルチモア近視コントロールプロジェクト(1994、米国)が有名です。

9歳~32歳で0.50D~9.00Dの被検者111人の近視を対象とした実験です。

ビジュアルトレーニングを13週間(平均25回)行い、裸眼視力の向上で判定され、その結果はWilmer Eye Institutionの眼科医によって評価されました。

眼科医による報告書は1945年にWoodにより作成され、オプトメトリストによる報告書は1945年にEwaltにより作成されました。

1946年にこれらの2つのレポートをShepardがまとめて『レポートによる近視コントロールは出来なかった』と結論づけています。

日本でも、視力回復センターでは、調節をリラックスさせるトレーニングが行われていますが、偽近視以外ではあまり良い結果は期待できないようです。

バイオフィードバックトレーニング

聴覚シグナルを利用し、被検者の調節がリラックスしているかどうかをモニターし、正しい調節の使い方をトレーニングさせるのがバイオフィードバックトレーニングです。

調節量をモニターする為に赤外線を使ったOptometer systemが使われています。

総合的に近視の減少に効果的ではないが、視力の向上はある程度あったと報告されています。

しかし、視力向上のみの原因は、トレーニング中に視標を覚えてしまった事が理由ではないかとGallaway等は予測しております。

低補正と過補正処方

0.50D~0.75D位の低補正処方が近視進行コントロールに使われていますが、その研究報告は全く発表されておりません。

効果がなければ、完全補正で良く見えるようにした方が良いのではないか等、様々な角度からの処方決定が必要ですね。

近視進行コントロール目的で過補正も使われた事がありますが、はっきりした報告結果はありません。

Gossの研究(1984)では、過補正処方に対して否定的な結果が報告されております。

バイフォーカルレンズ

長時間の近業作業での調節が原因で近視が発生する説を支持する多くの臨床家や研究者は、若者の近視眼に対する調節要求を和らげる目的でバイフォーカルレンズを勧めています。

この種の研究文献にはたくさんの報告がありますが、広範囲にコントロールされた臨床結果は非常に少ないです。

有効的であると報告されているケースは、近方で内斜位または調節ラグが大きい場合である。

Gossの研究(1991)では、6歳~15歳まで正視が数年に渡り維持された61人のグループと、正視から近視に移行した61人のグループを比較検討しました。

その結果は、正視維持グループでは2△の外斜位であったのに対し、近視移行グループでは1△の内斜位であり、この眼位差は統計的な有意義が認められました。

遠用のみマイナスレンズ処方

乱視が無い2.50Dまでの近視に対してこの処方をすることで、調節の負担を和らげるマネージメントです。

この対処法は簡単で処方しやすいので、多くの臨床家が利用していますが、近視進行コントロールの効果を調べる研究は報告されておりません。

近方で内斜位になる近視の場合には、眼精疲労などの対処として適しているとの報告はあります。

コンタクトレンズ

子どもの近視進行コントロールの為に利用されたPMMAコンタクトレンズの装用効果について

  • 近視進行コントロールについて
    • 効果を推測する事は、近視変化の幅広い分布の為に困難
  • 角膜のフラット化
    • 効果の半分以下が角膜のフラット化に寄与している
  • 永久性
    • 装用されている間のみコントロールが可能

オルソケラトロジー

プログラム的にハードコンタクトレンズのベースカーブを変えて、角膜形状を変化させることにより軽度な近視を削減する科学的プログラムと定義されます。

軽度近視の削減(平均的に0.75D~1.00D)に効果的であると結論付けられます。

しかし、使用されたレンズがPMMAまたは、低酸素透過である為、角膜浮腫などの問題がありました

高いDK値のハードコンタクトレンズの開発や新しいデザインの考案ととも解決されるようになりました。

さらに、コンピューター解析角膜形状測定器具の開発により、角膜形状変化がより科学的にモニター可能となりました。

薬物使用

アトロピンは1984年Dondersによって調節麻痺剤として偽近視の治療に使われて以来、最もよく使われる薬剤です。

維持された調節が近視発生に関連しているという理論に基づいています。

調節増加による眼軸延長のメカニズムは、意見が分かれています。

1%のアトロピン使用の近視進行コントロールの研究はかなり報告があります。

ある程度の効果があると報告されている一方で、

近方視の困難や瞳孔の散瞳による眩しさによる不快感などの理由から治療が中止される事もあります。

さらに、アトロピン使用中止後に近視進行が加速される傾向にあるともいわれています。

まとめ

『近視進行の原因は調節だ』とする仮説に基づいています。

既に近視になってしまった人を対象とした結果であり、強膜が伸び眼軸も延長してしまっている眼であるが故、成功例が少ないのかもしれません。

近視発生メカニズムの解明が不明であることを事実として受け入れ、断片的な近視発生説を絶対的なニュアンスで述べるのは控えましょう

新しく解明される事があれば、その事実のみを伝えることが必要です。

そうしないと、患者は近視について混乱し、視力回復センターなどの過大評価が横行することになります。

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