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【陰口を言われても、嫌われても、あなたが気にする事ではない。『相手があなたをどう感じるか』は、相手の課題なのだから。byアドラー心理学】
という事で、役に立たない事と思わず『眼の勉強』をしていきましょう。特に、アパレル色が強い眼鏡店でも必ず必要な筈です。
接客方法だけではなく、眼鏡知識も大事だと気付いて欲しいです。要するに『半医半商』の眼鏡業界では、そのどちらも大事だと考えます。
では、馴染みのない内容かもしれませんが興味を持って学習していきましょう。
難しいけど、挫折しないでね。変化には必ずストレスが伴いますから。
【問1】測定距離50cmで開散光線を使用し、静的検影法をした時に、S+2.00Dで中和した場合の屈折補正値は?
- 測定距離50cmですので、2.00D分マイナス寄りにするとその屈折度数が求められます。
- つまり、S+2.00Dのレンズ度数からマイナス寄りにしてS±0.00Dとなります。
【解説】
例えば、正視の人がS+2.00Dの眼鏡を掛けると、遠点は眼前50cmになりますよね。
それと一緒で、50cmの距離で静的検影法を行いS+2.00で『中和』する状態は正視状態となります。
この人に、裸眼の状態で行うと、反射光は『同行』します。S+2.00よりも強く入れると『逆行』します。
また、測定距離が離れると『逆光』しますし、近づくと『同行』します。
そして、入射光線が『収束光線』では、『同行』と『逆行』が入れ替わります。
【問2】開散光線による移動検影法を行った際、180°経線は40cmの距離で中和し、90°経線では25cmで中和した時の、眼の屈折補正値は?
- 180°方向は−2.5D、90°方向は−4.00Dですので、
- S−2.50 C−1.50 Ax180となります。
【解説】
移動検影法は、眼前にレンズを入れずに、測定距離を変えることで中和点から度数を求める方法です。測定距離の逆数がそのままの度数となります。
【問3】開散光線による静的検影法を66.6cmで行ったところ、S+3.00Dで中和する眼の屈折補正値は?
- 中和したレンズ度数S+3.00Dから、D=1/0.666≒1.50を引いた度数のS+1.50Dがその測定値となります。
【解説】
余談ですが、動的検影法とは、被検者が近点視物を固視している間に行う検影法です。
調節が介入する他、中和に巾(中和域)がありますが、縮瞳する為収差が少なく、測定距離が近い為、より正確な値が出やすいです。
但し、調節刺激(AS)に対する調節反応(AR)の違いで、反射光の種類は変わります。
これらが、静的検影法との違いです。
【問4】乱視測定で、放射線視標の濃さが均一にむらなく見える時は、乱視が補正されているといって良い?
- 最小錯乱円が網膜上に位置する場合には、乱視が残っていても乱視視標は均一に見えます。
- ですので、『必ず乱視が補正されている』とは言えません。
【解説】
『雲霧法による乱視測定』では、雲霧して『近視性の状態』にしてから放射線視標を見せないといけません。
また、乱視度数が合っていても、乱視軸がずれてしまうと、残余乱視という別の乱視が発生してしまいますので、濃く見える方向が変わります。
【問5】無調節状態の遠視性単性乱視の人が、裸眼の状態で放射線視標を見た時に、12時-6時と11時-5時の間が同程度に濃く見える場合のマイナスシリンダーの乱視軸は何度?
- 12時-6時から、30°を掛けた180°方向と11時-5時から150°の間である165°方向がプラスシリンダーの乱視軸となります。
- マイナスシリンダーでは垂直方向の75°となります。
【解説】
前焦線が165°であり、後焦線が75°となります。更には、調節介入すると濃く見える方向が無くなったり、垂直方向になったりもします。
ですので、一度、雲霧をし近視性の状態にしてから放射線視標を見せます。
【問6】クロスシリンダーを反転した場合の最小錯乱円の位置は変わりますか?
- 最小錯乱円の大きさは変わりますが、位置は変わりません。
【解説】
最小錯乱円が網膜上にある位置でクロスシリンダーを反転させますが、乱視度数を付加した場合には勿論、位置は少しずれます。
ですので、乱視度数を2段階付加したら、球面度数で帳尻を合わせます。等価球面度数SEの考え方ですね。
【問7】屈折補正値がS−3.00 C−1.50 Ax180°の眼に対して、クロスシリンダーテストにて乱視測定する際の、無調節状態での最小錯乱円視させる球面値は?
- 等価球面度数の計算です。球面度数に乱視の半分を足した値となります。S+C/2=−3.00+(−1.50/2)
- よって、S−3.75Dです。
【解説】
放射線を使った雲霧法では近視性の状態での測定で、クロスシリンダーによる乱視測定では、最小錯乱円視させた状態での測定となります。
【問8】バランステスト(Refractive Balance Test)の目的は?
- 左右の調節刺激ASを同じにする事です。
【解説】
左右眼で、別々に調節量をコントロールする事は一般的には出来ません。これはHeringの法則です。
- 外眼筋の神経支配に関連した法則
- シェリントン(Sherringon)の相関神経交配法則(ともひき筋)
- 筋収縮に作用する神経刺激を1つの筋が受け取った時には、それと拮抗の関係にある筋は同時に筋弛緩に作用する神経刺激を受けます。
- ヘリング(Hering)の法則(ともむき筋)
- 両眼筋は同じ神経分枝の支配を受けているので、一眼だけ他眼と無関係に動かす事は出来ません。
- シェリントン(Sherringon)の相関神経交配法則(ともひき筋)
【問9】カバーテストでカバーされない眼に動きがあるその眼は斜位?それとも斜視?
- 斜位であれば動きませんので、斜視で確定です。
【解説】
アンカバーテストのみでは斜視か斜位の判別は出来ません。
カバーテストで反対の眼に動きがあっても、再度カバーすると動かない(優位眼が交代する)ような交代性斜視もあります。
【問10】赤マドックス桿を右眼前に装用させ斜位測定をした時に、赤の横線が固視している光よりも上方に見える斜位の種類は?
- 右下斜位であり、左上斜位です。
【解説】
右眼にはマドックスロッドにより点光源が横に伸びた状態で見え、左眼には点光源がそのまま見えている状態となります。
【問11】40cmの距離にて、左眼に6△BDを装用させ上下に分離させ、水平斜位の測定をした際に、下の視標が右に1cmずれて見える時の斜位は?
- 下の視標は右眼で見えている視標となり、内斜位となります。
- 1△で1m先が1cmずれて見えますので、40cmで1cmずれを1mでのずれで考えますと、プリズム量は2.5△となります。
- よって、2.5△内斜位となります。
【解説】
フォングレフェによるプリズム分離法での斜位測定で、分離させる為に必要となるプリズム量の目安は、上下では6△であり、水平では10~12△です。
【問12】ハーゼ理論(独)によるポラテスト法とは?
- 検出されたプリズムは原則として完全補正し、それが固視ずれの固定化を防ぐという考え方
- ハーゼ教授(ベルリン眼鏡光学専門学校)らによると、斜位は三段階に分類され、十字テストやその他のチャート全て使う必要があります。単独では補正出来ません。
【解説】
大まかにざっくりと、ドイツではハーゼ理論など完全補正が良いとされ、アメリカでは完全には補正せず部分補正が良いとされています。
【問13】正視で裸眼状態の人が、裸眼状態での近方では1△の外斜位、S+1.00Dを付加した近方では5△の内斜位だった場合のGradient AC/Aは?
- Gradient法による、Stimulus AC/A比=調節性輻輳 ÷ 調節刺激の変化から、
- 6÷1ですので、AC/A比は6[△/D]となります。
【解説】
Gradient AC/A比の標準値は4±1ですので、ちょっと高めです。輻輳過剰の傾向があります。
おそらく、近方眼鏡ではプリズム処方よりも球面調整で十分だと思われますが、Gradient法は計算しやすいが、あくまで目安です。
【問14】PD62の正視で裸眼状態の人が、遠方1△の外斜位、近方40cmでの近方4△の外斜位だった場合のCalculated AC/Aは?
- Calculated AC/A=PD[cm]+(近方斜位−遠方斜位)/調節刺激の変化量から、
- 計算する時の符号は、EXO(外斜位)はマイナス、ESO(内斜位)はプラスです
- 6.2+(−4−(−1))/2.50=6.2−1.2=5.0[△/D]となります。
【解説】
Gradient AC/A比の測定距離は同じなのに対し、Calculated AC/Aでは測定距離が異なります。その為、近接性輻輳が介入する可能性があります。
【問15】完全補正値S+1.50D、調節力2.00Dの眼に対し、S+1.00 Add2.50で二重焦点レンズの処方をした時の明視域は?
- 遠方部では、無限遠方~眼前66.6cm
- 近方部では、眼前50cm~眼前25cm
【解説】
この場合に、眼前66.6cm~眼前50cmの間は見えない距離となります。つまり、遠方部と近方部の境目で視界がジャンプします。
【問16】近方赤緑視標にて加入度を測定した時に、遠用測定値にS+2.50Dを加入した時の濃さが赤だった場合は?
- 加入度数が強いので、弱くする。
【解説】
実際には、高齢者では色収差が少なくなり赤緑の判別が難しくなりますのであまりこの方法は用いられませんが、理論的な事は知っておくべきだと考えます。
【問17】コンタクトレンズの度数、曲率半径、厚み、直径はどんな測定機器を使う?
- 度数は、レンズメーター
- 曲率半径は、ラジアスコープ
- 厚みは、シックネスゲージ
- 直径は、Vチャンネルゲージ
【解説】
因みに、フィティング状態を確認する為には、スリットランプを使用します。
【問18】コンタクトレンズ装用前は『角膜測定値:44.00D@180° 46.00D@90°、屈折度数:S−1.00 C−2.00 AX180』がコンタクトレンズ装用後に『角膜測定値:43.00D@180° 44.00D@90°』となる場合の予想される屈折度数は?
- 角膜測定値がS+1.00 C+1.00 Ax180°へ変化していますので、装用前のS−1.00 C−2.00 AX180に足すと装用後の屈折度数が予測できます。
- よって、C−1.00 AX180°がコンタクトレンズ装用後の屈折度数です。
【解説】
十字を書いてスコア表記で考えると良いです。角膜の180°経線方向は+2.00寄りに、90°経線方向は+1.00寄りに変化しています。
【問19】ハードコンタクトレンズの装用により、角膜カーブが全体的にフラットになった場合の屈折度数は?
- 全体的という事で、乱視度数ではなく球面度数のみがプラス側へ変化します。
【解説】
角膜のカーブが平らになると、角膜屈折力は弱くなります。オルソケラトロジーなどがこの症例にあたります。
【問20】ソフトコンタクトレンズの含水率が高くなるとどうなる?
- 装用感が良くなり、酸素透過率が上がります。
- その反面、外部影響を受けやすく(破れやすい)、汚れやすくなります。
【解説】
含水率が50%以上のものを『高含水コンタクトレンズ』、50%未満のものを『低含水コンタクトレンズ』といいます。
【問21】フリッカー視野検査って何ですか?
- 視点を点滅させ(周波数を変え)、ちらつきを感じなくなる時の点滅回数(輝度や頻度)を限界フリッカー値(CFF、critical flicker fusion frequency)といいます。そのCFFがどの位かを測る検査です。
- 眼の疲れや視神経の感度を測り、視神経疾患を調べます。
- 正常値は40~50Hzです。25Hz以下は視神経疾患が疑われます。
【解説】
1Hzでは、1秒間に1回光ります。その1秒あたりの点滅回数が増える程、感知できなくなります。人はおよそ70Hz以上でちらつきを感じなくなります。
蛍光灯でもフリッカー現象を起こします。東日本では50Hz、西日本では60Hzの交流電源ですが、そのおよそ2倍(例えば東京50Hzなら100Hz)で点滅しております。
【問22】遠見の、虚性相対輻輳力(NRC)テストでぼやけ(blur)が一般的には生じない理由とは?
- 調節の介入がない為です。
- 完全矯正値が間違っている場合には、ぼやけが生じます。
【解説】
BIプリズムを付加していくと、網膜像は鼻側にずれ、開散を促します。その虚性融像性輻輳(NFC)の限界に達すると、調節介入がある場合にはその調節を緩める事で開散しますので視標は『ぼやけ』ます。しかし、一般的には(理論上)調節の介入は無いものとしますので『ぼやけ』る事無く(調節性開散の限界に達し)『分離(break)』します。
近見のNRCテストでは虚性調節性輻輳(NAC)を生じさせる為『ぼやけ』が生じます。
【問23】シェアードの基準に従い、必要なプリズム量を計算すると?[近方:水平斜位9△BI、実性相対輻輳のぼやけ8△、虚性相対輻輳のぼやけ22△]
- △=(2P−R)/3= (18−8)/3=3.3△BI
- Pは斜位、Rは余力
【解説】
余力(Reserve)とは、斜位を補正した後、残っている融像性輻輳の事です。輻輳余力と開散余力の2つがあります。
外斜位の余力は、輻輳余力であり実性相対輻輳力になります。内斜位の余力は、開散余力であり虚性相対輻輳力となります。
【問24】パーシバルの基準に従い、必要なプリズム量を計算すると?[近方:水平斜位9△BI、実性相対輻輳のぼやけ8△、虚性相対輻輳のぼやけ22△]
- P=(L−2S)/3= (22−16)/3=2△BI
- Lは大きい相対融像力、Sは小さい相対融像力
【解説】
Sheardの基準では『正常な両眼視を維持する為には、輻輳余力または開散余力が斜位の2倍の量と等しいか、またはそれ以下でなければならない』としています。
Parcivalの基準では『全相対融像幅の中央1/3の間をドンダーズ線が通過するのが、正常な両眼視の条件』としています。
パーシバルの基準では、正常な両眼視に関して斜位値を考慮していないという事を留意すべきです。
【問25】同時視、融像、立体視の定義とは?
- 同時視の定義は『両眼の網膜に形成された左右同じでない網膜像を同時に感覚できる能力』
- 融像の定義は『融合、合体、結合する作用、プロセス』
- 立体視の定義は『両眼視差のある両眼のそれぞれの像が融像されて生じる相対的奥行知覚』
【解説】
クロードワースは1910年頃に両眼視を『第1段階の同時視』『第2段階の融像』『第3段階の立体視』と分類しました。
ただし、両眼視の程度は、立体視や大型弱視鏡で検査した場合に判明する事で、人の自然の両眼視発達における体系ステップを意味するものではありません。
『深径覚』とは第3次元である奥行きを認識する感覚のことで、『立体視』と『遠近感覚』があります。
遠近感覚は融像されない複視の状態でも、単眼の状態でも生じます。つまり、立体視≠遠近感覚です。
【問26】眼球回旋点から40cm離れた距離を両眼単一視するための輻輳角は?
- メートル角(MA)=1/回旋点から注視点までの距離[m]ですので、
- 1/0.4=2.5メートル角(MA)
【解説】
メートル角(Meter angle)とは、
正中正面(Median plane)上眼1メートルの固視物に輻輳した時の輻輳角を1メートル角(MA)としています。
MAの長所は、調節力と同じ数値で輻輳角を表せる点です。
しかし、両眼の回旋点が、臨床上測定困難である事や、PDも考慮していない点は注意しなければなりません。
【問27】PDが60cmの被検者が80cm前方(両眼回旋点の中間距離から)の視標を両眼視している時の輻輳角をMAで表すと?
- メートル角=1/0.8=1.25MA
【解説】
因みに、輻輳量を表すには、MAとPDを掛ければ良いです。
この問題では、輻輳量=1.25MA×6.0cm=7.5△となります。
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