医学系の練習問題、其の壱

眼鏡作製技能士向けの問題

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【問】眼は、『眼球』、『視神経』、『眼球付属器』から成り立ちますが、眼球付属器は?

A 水晶体
B 結膜
C 網膜

【解答】B

【解説】

Aは『眼球』の『内容物』であり、Cは『眼球』の『外壁(内膜)』となります。

  • 眼球
    • 外壁
      • 外膜・・角膜、強膜
      • 中膜・・ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)
      • 内膜・・網膜
    • 内容
      • 水晶体
      • 硝子体
      • 眼房
  • 視神経・・視路
  • 眼球付属器・・眼瞼、涙器、結膜、眼筋、眼窩、眉毛

【問】透光体は無血管ですが、正常眼における無血管組織は?

A 角膜
B 結膜
C 網膜

【解答】A

【解説】

眼内に入る光の経路上で、角膜、房水、水晶体、硝子体は血管がありません

角膜や水晶体への栄養補給は、血管からではなく、主に房水からのグルコースをエネルギー源としています。

【問】調節に関わりの深い組織は?

A 虹彩
B 毛様体
C 脈絡膜

【解答】B

【解説】

調節により虹彩は縮瞳しますが、直接的な関わりではありません。

調節の仕組みは、毛様体の輪状筋が収縮し、毛様体小帯が緩み、水晶体が自身の弾力により膨らむ(主に前方)ことで屈折力が増します。このことで手前にピントが合うようになります。

【問】正常な角膜に関する記述は?

A 実質が厚みの90%を占める
B 10層構造である
C 約20Dの屈折力を有する

【解答】A

【解説】

角膜は、上皮、ボーマン膜、実質、デスメ膜、内皮の5層から成ります。

10層から成るのは網膜です。

  • 網膜の構造
    1.  網膜色素上皮
    2.  視細胞層・・視細胞(錐体と桿体)がある
    3.  外境界膜・・視細胞とミューラー細胞が閉鎖提で接着
    4.  外顆粒層
    5.  外網状層・・水平細胞が横の連絡をする
    6.  内顆粒層・・双極細胞が視細胞と神経節細胞とを連絡する
    7.  内網状層
    8.  神経節細胞層
    9.  神経線維層
    10.  内境界膜

約20D(19.11D、最大調節時33.6D)の屈折力を有するのは、水晶体です。

【問】正常な角膜内皮に関する記述は?

A 1mm2当たりの細胞数は、約3000個以上存在します
B 細胞の形状は五角形です
C 角膜上皮と同様、再生します

【解答】A

【解説】

正常な細胞の形状は六角形であり、再生しません。

脱落した際には、周囲の細胞が伸展し欠損部を補うため、細胞の形状は大きさも不揃いとなり、細胞数は加齢と共に減少していきます。

角膜内皮の細胞数が減少しますと、房水が角膜内に入り透明性が失われていきます。

角膜で再生するのは、角膜上皮とデスメ膜です。ボーマン膜と角膜内皮は再生能力がありません

【問】角膜に分布している神経は?

A 動眼神経
B 顔面神経
C 三叉神経

【解答】C

【解説】

三叉神経は12対ある脳神経の1つであり、第1枝(眼神経)、第2枝(上顎神経)、第3枝(下顎神経)とに分かれます。

脳神経とは、脳から出て頭蓋骨の孔を通り全身に分布する末梢神経であり、運動や知覚などの機能に関係している神経です。

  • 12対の脳神経
    1.  嗅神経
    2.  視神経
    3.  動眼神経・・眼球運動(内直筋、上直筋、下直筋、下斜筋)、開眼(上眼検挙筋)、瞳孔(瞳孔括約筋)、調節(毛様体筋)に関わる
    4.  滑車神経・・上斜筋
    5.  三叉神経・・前頭部、眼、鼻の感覚に関わる
    6.  外転神経・・外直筋
    7.  顔面神経・・顔の表情や味覚に関わる
    8.  内耳神経
    9.  舌咽神経
    10.  迷走神経・・胸腹部の内臓に関わる
    11.  副神経
    12.  舌下神経

【問】水晶体に関する記述は?

A 眼球組織の中で最も大きな屈折力を有している
B 可視光線のみを選択的に透過し、紫外線と赤外線領域をほとんど吸収する
C 主成分は、65%の水と34%のたんぱく質である

【解答】C

【解説】

最も大きな屈折力を有しているのは角膜(約43D)です。

紫外線の多くは角膜と水晶体で吸収されますが、赤外線は吸収されずに透過します。

例えば、オートレフラクトメーターは、近赤外線で眼底を照射し、その脈絡膜での反帰光を電気工学的に検出しています。

【問】水晶体の加齢変化は?

A 黄変し、特に可視光線の長波長領域の透過率が低下する
B 前後径の厚みが減る
C 紫外線の透過率が低下する

【解答】C

【解説】

加齢に伴い、水晶体核は蛍光物質と黄色物質が増加し、可視光の短波長域の透過率が特に低下し、紫外線の透過率も低くなります。

水晶体核は、胎生期から中心部に存在し、20代には、その外周に新たな核が形成されていきます。それが成人核です。

厚みはわずかに増加し、前方へ変移します。

【問】硝子体に関する記述は?

A 中年以降にゲルの液化が進み、前方に収縮する現象が起こる
B 視神経乳頭周辺部や黄斑部での接着は弱く、網膜剥離が起こりやすい
C 10%の膠原(こうげん)繊維と90%の水により構成されたゲル形状である

【解答】A

【解説】

乳頭周辺や黄斑部の接着は強くなります。

硝子体は、眼球容積の80%を占めます。

構成は99%の水、0.9%の低分子物質(塩化ナトリウム、アスコルビン酸など)、0.1%の高分子物質(ヒアルロン酸コラーゲン、可溶性蛋白質など)から成ります。

【問】散瞳が起こる状況は?

A 調節や輻輳が作用したとき
B 高齢になったとき
C 副交感神経を麻痺させたとき

【解答】C

【解説】

近見三反応は、調節と輻輳、縮瞳です。

瞳孔径は明所で3~4mmですが、新生児では小さく、10~20歳代で最大となり、高齢者では小さくなります。

散瞳は、驚きや喜びなどの感情でも起こります。疲労時や眠気により縮瞳します。

交感神経支配の『瞳孔散大筋』が収縮した時に散瞳しますが、副交感神経支配の『瞳孔括約筋』が抑制(麻痺)されたときにも起こります

【問】房水の産出と排水経路に関する記述は?

A 毛様体で産出され、前房に分泌される
B 隅角にある繊維柱帯を通り、シュレム管に入る
C 最終的には、集合管から下鼻道に流出する

【解答】B

【解説】

房水は、主に毛様体突起の上皮細胞から産出され、後房から瞳孔を通り前房に入ります。

下鼻道に流出するのは涙液です。

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