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快適な眼鏡のフィティングで重要となる要素がいくつかあります。
例えば、光学的要素、力学的要素、解剖学的要素、美観的要素などです。
それらも、眼鏡作製時のレンズカーブやレンズサイズなどが適正に加工されていない状態では、フィティングが上手くいかない事があります。
レンズ後側頂点から角膜頂点までの距離である、角膜頂点間距離(VD、vertex distance)を12mmに合わせる調整は、クリングスが可動式であれば加工後でも可能です。
装用時の前傾角を、遠用眼鏡の5°や常用眼鏡10°、近用眼鏡15°に合わせる調整も、丁番が調整できるものであれば加工後でも可能です。
しかし、前傾角を付けるのであれば、美観を考慮しつつ、チルト加工により縦方向に傾けてレンズを削ると良いです。
そして、そり角に関しても同様の事がいえます。事前に、チルト加工により水平方向に傾けて加工をすると良いです。
角膜頂点間距離(VD)が12mmの理由
VDが12mmであるのは、日本人にとって理想とされる距離です。
設計されたレンズの機能を十分に発揮させ、視野の広さや網膜像の大きさ、眼鏡の固定し易さ、睫毛の接触、美観的・・などの理由があります。
ですので、一般的な日本人の眼鏡調整は、特に指定が無ければ12mmで調整をした方が良いです。
大きくVDが離れている場合には、補正度数や収差にも影響があります。
装用時の傾斜角が5°~15°になる理由
一般的に、日常の視線は水平が多い訳ではありません。
少し、下方に向いている事が多くなります。
近方視では、更に下方へ向かいます。
眼鏡レンズにおいて、視線がレンズの光軸と一致する時に全ての収差が少なくなります。
その為、装用時のレンズ前傾角は、顔面に対して遠用眼鏡は5°、常用眼鏡は10°、近用眼鏡は15°とする事が基本とされています。
レンズのそり角とフレーム角
レンズの心取り点間距離(CD、centration distance)とフレームの玉形中心間距離(BCD、boxed centre distance)の大小関係により、光軸を並行に保つ光学的なそり角は変わります。
理由としては、視線はレンズ面に直交する事が望ましいからです。
レンズのそり角というのは、左右のレンズ光学に直交する面の成す角度であり、左右のリムが成すフロント角とは必ずしも一致するとはいえません。
CDがBCDより小さい場合、つまり、加工PD<FPDの場合には、レンズそり角θ<フロント角になります。
CD=BCDの場合には、レンズそり角θ=フロント角になります。
CDがBCDより大きい場合、つまり、加工PD>FPDの場合には、レンズそり角θ>フロント角になります。
レンズカーブとは
レンズカーブは以下の公式で表されます。
面屈折力D=(屈折率n-1)/曲率半径r[m]
例えば、8カーブを8Dカーブともいい、8.00[D]の面屈折力をもつレンズ面のことをいいます。
屈折率nは、クラウンガラスレンズの屈折率である1.523を用います。
つまり、レンズカーブは0.523を曲率半径r[m]で割った値となります。
3カーブの曲率半径は、0.17433[m]
4カーブの曲率半径は、0.13075[m]
5カーブの曲率半径は、0.10460[m]
6カーブの曲率半径は、0.08717[m]
のような値になります。
玉型形状によるフレームカーブ
フレームを真上から見た、見かけのカーブは玉型デザインで変わります。
スクエアのような四角い形状のカーブは、見かけのカーブよりも強くなります。
オーバルのような丸い形状になるほど、見かけのカーブよりも実際のカーブは緩くなります。ラウンドのカーブでは、実際のカーブは無くなります。
例えば、『面カーブ6D』のフレームを加工する際には、スクエアはそのままの『見かけの面カーブ6D』であっても、オーバルでは『見かけの面カーブ4D』となります。
これは、レンズのフチ厚の違いをイメージすると理解しやすくなります。
四角い程、フチ厚の差が大きくなり、ラウンドではフチ厚の差が殆どありません。
加工時のカーブ合わせの参考にすると良いですね。
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