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- 1級の学科試験問題、解答と解説
- 1.強度近視の要素のうち、最も影響力が大きいと考えられているのはどれか。
- 2.調節休止状態の裸眼で遠方視した際、横方向にぼやけるのはどの屈折状態か。
- 3.角膜乱視が C−3.00DAx180°の眼の全乱視を Javal’s rule を使って予測した場合、正しいのはどれか。
- 4.平成 17 年度厚生労働省研究報告書による、日本における視覚障害者1級原因疾患の第 1 位はどれか。
- 5.S+2.00D の遠視眼でピント合わせ力(調節力)4.0D の人の裸眼時における近点はどれか。
- 6.S+8.00D の眼鏡で正視状態になる人と S-8.00D の眼鏡で正視状態になる人がいる。それぞれその眼鏡を装用して、眼前 40cm にある視物にピントを合わせる場合、必要なピント合わせ量(調節量)は両者でどれくらいの差になるか。但し、角膜頂点間距離は両者とも 12mm であったとする。
- 7.中心窩での視力が 1.0 であると仮定すると、中心窩から 5°離れた部位ではどれくらいの視力が期待できるか。
- 8.視標の輝度が最も高いところが 200cd/m2 で、最も低いところが 50cd/m2 であった。この視標のコントラストとして、正しいのはどれか。
- 9.S+0.75D C-1.50D Ax180°の屈折補正で正視状態となる人が裸眼で乱視表を見た。調節休止状態であると仮定すると乱視表はどのように見えるか。
- 10.右 S-1.00D 、左 S-4.00D で正視状態となった。左右とも球面レンズで、それぞれ中心より 1cm 下方を通して近方を見させた場合、左右で生じるプリズム差として、正しいのはどれか。
- 11.光の干渉で生じるのはどれか。
- 12.+3.00D のレンズの手前 1m に物体があるとき、像距離として、正しいのはどれか。
- 13.グルストランドの模型眼について、誤っているのはどれか。
- 14.倒乱視のコノイドについて、誤っているのはどれか。
- 15.レンズについて、誤っているのはどれか。
- 16.-6.00D の球面レンズが 5mm 偏心しているときのプリズム作用として、正しいのはどれか。
- 17.次の文章で説明している眼鏡フレームの玉型デザインとして、正しいのはどれか。 「底辺が短い台形で丸みが強い」
- 18.次の文章で説明している眼鏡フレームのプラスチック素材として、正しいのはどれか。 「熱可塑性樹脂でエンジニアリングプラスチックの一種、強靭で寸法安定性に優れている。」
- 19.通称「オプチル」として眼鏡フレームに用いられているプラスチック素材の名称として、正しいのはどれか。
- 20.次に示す眼鏡フレーム素材を、比重の小さい順に並べた場合、正しいのはどれか。
- 21.眼鏡レンズの素材について、誤っているのはどれか。
- 22.二重焦点レンズについて、正しいのはどれか。
- 23.JIST7330:2022 眼鏡レンズの用語の、3.7 レンズの種類による分類で定義されていないのはどれか。
- 24.累進屈折力レンズについて、誤っているのはどれか。
- 25.眼鏡の使用上の注意について、誤っているのはどれか。
- 26.眼鏡の使用方法について、熱によるレンズへの影響が最も少ないのはどれか。
- 27.視覚障がいの等級で、1 級の障がいの程度はどれに基づいているか。
- 28.平坦な道が上り坂に見える可能性がある補正度数はどれか。
- 29.現用眼鏡と同度数で新しい眼鏡を作製した。数日経って現用眼鏡と比較すると見え方が違っている。原因として誤っているのはどれか。
- 30.処方箋の略記号の意味で誤っているのはどれか。
- 31.レンズメータの基準波長は e 線 546.07nm が用いられているが、望遠鏡式のコロナ(ターゲット)の色で正しいのはどれか。
- 32.近用眼鏡を作製する場合に、近用 CD を設定するために必要でないのはどれか。
- 33.屈折率 1.6 素材のレンズの前面をカーブ計で測定したら+7.00D であった。このレンズ前面の実際の面屈折力に近い度数はどれか。
- 34.プレフィッティングの終了したメタルフレームの加工時に、レンズカーブに合わせるためにリムカーブを修正した場合に生じる他の部分の修正箇所について、誤っているのはどれか。
- 35.楕円に近い形状のツーポイント加工の穴あけ位置や角度の影響について、誤っているのはどれか。
- 36.リムロックの無いねじ無しフレーム(シートメタルフレーム)加工について、正しいのはどれか。
- 37.チタンろう付けの注意点の説明として、正しいのはどれか。
- 38.フィッティングの目的について、誤っているのはどれか。
- 39.光学的フィッティングについて、正しいのはどれか。
- 40.鼻の角度(片側)が 30゜、片側の鼻にかかる眼鏡の重量が 10g とする。片側の鼻の面に垂直にかかる力をビッセルスの公式を用いて計算した。正しいのはどれか。
- 41.解剖学的フィッティングについて、正しいのはどれか。
- 42.フレーム装用時の美的要素について、誤っているのはどれか。
- 43.小児眼鏡のフィッティングについて、正しいのはどれか。
- 44.累進レンズの遠用ビジュアルポイントを正しく合わせたうえで、近用の心取りをミラー法で確認したところ、装用者の瞳孔中心とレンズの近用参照部の位置関係は、瞳孔が左右とも外側にあった。この時の対処として正しいのはどれか。
- 45.再フィッティングについて、誤っているのはどれか。
- 46.個人情報保護法について、正しいのはどれか。
- 47.薬機法に基づく医療機器の販売ついて、正しいのはどれか。
- 48.眼鏡処方箋を持参して眼鏡作製に来店したお客様への対応として、誤っているのはどれか。
- 49.7 歳の小学生が、眼鏡処方箋を持参し眼鏡作製に訪れた場合に対応として、正しいのはどれか。
- 50.眼鏡店のホームページへ記載する文言として、誤っているのはどれか。
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1級の学科試験問題、解答と解説
2023年度眼鏡作製技能検定、1級合格者「学科試験(6月15日発表)」では113名でした。
1級の合格率は、113/300≒37.7%でした。(1級の実技試験合格者は68名:68/113≒60.2%[10月17日発表]、学科と実技の全体合格者は68/300≒22.7%)
1級の受験者数は前年比56%ですが、合格率が前年の2.5倍でしたので、昨年受験された方のリベンジがあったのかもしれません。
2級の受験者数は前年比139%でしたが、合格率が57.8%と前年とほぼ変わりません。様子見だった方々がより多く受験されたのだと感じます。(2級の実技試験合格者は710名:710/966≒73.5%[10月17日発表]、学科と実技の全体合格者は710/966≒44.0%)
2022年では、1級合格者「学科試験」は76名(合格率14.0%)、「実技試験」は26名(合格率34.7%)でした。合格率は、4.8%。
2022年の2級合格者は「学科試験、721名(62.3%)」×「実技試験、355名(52.1%)」= 合格率30.7%でした。
個人的には、1級も2級も難易度はそこまで変わらないと感じますが、数字でみると6倍?難しいようです。
1.強度近視の要素のうち、最も影響力が大きいと考えられているのはどれか。
A.眼軸が長くなる。
B.角膜の屈折力が増加する。
C.水晶体の屈折力が増加する。
D.外斜位の眼位ずれが大きくなる。
解答・・A
【解説】
屈折性近視か軸性近視かの判断は、正視眼での眼軸長測定が24mm~26mm程度である(1mmの違いで約3.00D)為できませんが、強度近視(−6.00D超え~−10.00D以下)では明らかに眼軸が長く軸性の要素が大きいと考えられています。
選択肢Aは「軸性近視」、選択肢BとCは「屈折性近視」、選択肢Dは「斜位近視」。
Gullustrandの模型眼では、+1.00Dの弱度遠視眼の眼軸を24mmとし、眼軸が1mmの伸長で約3.00Dの近視化としています。
2.調節休止状態の裸眼で遠方視した際、横方向にぼやけるのはどの屈折状態か。
① 近視性単性乱視の直乱視
② 近視性単性乱視の倒乱視
③ 遠視性単性乱視の直乱視
④ 遠視性単性乱視の倒乱視
A.①② B.②③ C.③④ D.①④
解答・・B
【解説】
横方向にぼやけるということは、「縦方向がぼやけ、横方向に伸びて見える」ということです。
近視眼では、強主経線が横方向の倒乱視。無調節状態の遠視眼では、弱主経線が横方向の直乱視。
3.角膜乱視が C−3.00DAx180°の眼の全乱視を Javal’s rule を使って予測した場合、正しいのはどれか。
A.C-3.00D Ax180°
B.C-3.25D Ax180°
C.C-3.50D Ax180°
D.C-3.75D Ax180°
解答・・B
【解説】
Javal’s rule(ジャバルの法則)とは、角膜乱視から全乱視の推定をする法則です。
角膜乱視が−2.00D Ax180°を境界に全乱視が強くなります。
全乱視(残余乱視)は、角膜乱視+水晶体乱視ですので、
【公式】・・(全乱視)=1.25×(角膜乱視)+(−0.50D Ax90°)
計算式)全乱視=1.25×(−3.00 Ax180)−0.50 Ax90=−3.75 Ax180+0.50 Ax180=−3.25D Ax180°
4.平成 17 年度厚生労働省研究報告書による、日本における視覚障害者1級原因疾患の第 1 位はどれか。
A.緑内障
B.強度近視
C.糖尿病性網膜症
D.網膜色素変性症
解答・・A
【解説】
- 失明の原因疾患(H17.厚生労働省)
- 1位:緑内障 (25.5%)
- 2位:糖尿病性網膜症 (21.0%)
- 3位:網膜色素変性症 (8.8%)
- 4位:病的近視 (6.5%)
5.S+2.00D の遠視眼でピント合わせ力(調節力)4.0D の人の裸眼時における近点はどれか。
A.無限遠方
B.眼前 50.0cm
C.眼前 25.0cm
D.眼前 16.7cm
解答・・B
【解説】
S+2.00Dの遠視眼ということは、2.00Dの調節力を使用して無限遠方視の状態になります。調節力が4.00Dあるということですので、更に残りの2.00Dの調節力を使用して近方視できるということですので、−2.00Dの近視状態での近点を求めますと【f=1/D】から眼前50cmとなります。
因みに、調節力が4.00Dということは、「年齢と調節力の関係(石原さんやDondersさん)」からおよそ40歳~45歳と推定できます。
6.S+8.00D の眼鏡で正視状態になる人と S-8.00D の眼鏡で正視状態になる人がいる。それぞれその眼鏡を装用して、眼前 40cm にある視物にピントを合わせる場合、必要なピント合わせ量(調節量)は両者でどれくらいの差になるか。但し、角膜頂点間距離は両者とも 12mm であったとする。
A.約 1.25D
B.約 1.00D
C.約 0.75D
D.約 0.50D
解答・・B
【解説】
◎ S+8.00D の眼鏡(装用距離12mm)で正視状態になる人の屈折異常値(装用距離0mm)は、1/(0.125−0.012)≒8.84956[D]≒8.85[D]
別解)8.00/(1−0.012×8.00)=8/0.904≒8.84956[D]』
調節Acをした後の(+8.85−Ac)を再び12mmの装用距離に換算しますと、1/{0.012+1/(+8.85−Ac))} になりますが、眼鏡度数+8.00(装用距離0.012m)と相殺された残りの度数「1/{0.012+1/(8.85−Ac))}−8.00」が「1/0.38」と一致します。
面倒な計算をしますとAc≒3.05となります。つまり、眼前0.4mを明視するための必要調節力は約3.05[D]です。 ・・・①
◎ S-8.00D の眼鏡(装用距離12mm)で正視状態になる人の屈折異常値(装用距離0mm)は、1/(0.125+0.012)≒−7.29927[D]≒−7.30[D]
別解)−8.00/(1−0.012×(−8.00))≒−7.29927[D]
調節Acをした後の(−7.3−Ac)を再び12mmの装用距離に換算しますと、1/{0.012+1/(−7.30−Ac))} になりますが、眼鏡度数−8.00(装用距離0.012m)と相殺された残りの度数「1/{0.012−1/(7.30+Ac))}+8.00」が「−1/0.38」と一致します。
面倒な計算をしますとAc≒2.085977となります。つまり、眼前0.4mを明視するための必要調節力は約2.086[D]です。 ・・・②
①と②の必要調節力の差は、3.05−2.086=0.964[D]ですので、正解は約1.00[D]です。
7.中心窩での視力が 1.0 であると仮定すると、中心窩から 5°離れた部位ではどれくらいの視力が期待できるか。
A.0.1
B.0.2
C.0.3
D.0.5
解答・・C
【解説】 正解が曖昧な問題と考えます。
中心視力が1.2の場合には、視線のずれが2°で視力0.4~0.5、5°ずれで視力0.1~0.3であると考えられており、正解の幅が広く感じます。錐体細胞数の分布範囲との関係性があり、細胞数と視角とのグラフでは放物線を描きます。
教科書的には、
2°ずれで視力0.5
5°ずれで視力0.3
10°ずれで0.2
20°ずれで0.1 となります。
以下に、斜視角の程度を参考していただく為に、「ヒルシュベルク法」の角膜反射の位置をそれぞれ示します。
8.視標の輝度が最も高いところが 200cd/m2 で、最も低いところが 50cd/m2 であった。この視標のコントラストとして、正しいのはどれか。
A.60%
B.70%
C.80%
D.90%
解答・・A
【解説】
視標のコントラストは、74%以上であることとJISで規定されております。問題文の視標はその基準を満たしているのかを計算してみます。最高輝度とは白い部分、最低輝度とは黒い部分です。
【公式】・・コントラスト[%]=(最高輝度−最低輝度)/(最高輝度+最低輝度)×100
(200−50)/(200+50)=150/250=60/100 から、正解は60%です。そして、JISの基準は満たされておりません。
また、実際にはコントラストが一定ではない日常生活と、コントラストが一定で視力測定された場合の違いを把握することは視覚の質を知るために不可欠です。
9.S+0.75D C-1.50D Ax180°の屈折補正で正視状態となる人が裸眼で乱視表を見た。調節休止状態であると仮定すると乱視表はどのように見えるか。
A.縦方向のラインが濃く見える。
B.横方向のラインが濃く見える。
C.斜め方向のラインが濃く見える。
D.全体的に同じような濃さに見える。
解答・・D
【解説】
等価球面度数は0であり、最小錯乱円視をしている状態ですが、乱視の未補正のために全方向にぼやけます。
もし仮に、調節が関与した場合には、前焦線よりも後焦線が網膜に近くなり「縦方向のライン」が濃く見えます。
10.右 S-1.00D 、左 S-4.00D で正視状態となった。左右とも球面レンズで、それぞれ中心より 1cm 下方を通して近方を見させた場合、左右で生じるプリズム差として、正しいのはどれか。
A.左 3ΔB.U.
B.左 3ΔB.D.
C.左 5ΔB.U.
D.左 5ΔB.D.
解答・・B
【解説】
近見ですが、調節性輻輳がない事を前提に、プレンティスの公式「P[Δ]=h[cm]×D[D]」から、右眼は1ΔBD、左眼は4ΔBDとなりますので、左右で残るプリズム量は左 3ΔBD。
11.光の干渉で生じるのはどれか。
A.青空や夕焼け
B.コントラスト感度の低下
C.歪み計で観察されるパターン
D.製品の形状検査で観察されるパターン
解答・・D
【解説】
青空や夕焼け・・レイリー散乱。
レイリー散乱を起こしている青空は偏光。雲が白いのはミー散乱。
コントラスト感度の低下・・網膜色素変性症などの遺伝性網膜疾患、白内障のような透光体混濁、糖尿病網膜症などの網脈絡膜疾患や緑内障、ぶどう膜炎などの炎症疾患などによるもの。
歪み計で観察されるパターン・・偏光。
製品の形状検査で観察されるパターン・・干渉縞を見ることで、測定サンプルの表面形状や透過波面形状の検査を行う。
12.+3.00D のレンズの手前 1m に物体があるとき、像距離として、正しいのはどれか。
A.+250mm
B.+333mm
C.+500mm
D.-143mm
解答・・C
【解説】
符号に気を付けて、屈折の式「n’/s’−n/s=n’/ f’」から、1/s’−1/(−1)=3
計算しますと、s’=1/2=0.5[m] となります。
◎ 符号規約・・同じ曲率でも凸面と凹面では性質が異なりますので、それらを明確に区別するために符号規約が必要となります。値を「正」とするのか「負」とするのかを、以下のルールで決定します。
- 符号規約
- 光線は左方から屈折面、反射面に入射する。
- 長さの量は、頂点の右や光軸の上にあるときは正、頂点の左や光軸の下を負とする。
- 角度は、光軸から光線へ最小角で回転して一致させるとき、時計回りの方向を正、反時計方向を負とする。(右眼、左眼ともに水平方向に向かって右側を0度、垂直方向を90度、左側を180度とするTABO式では、時計回りを負、反時計回りを正とする)
13.グルストランドの模型眼について、誤っているのはどれか。
A.角膜の屈折率は硝子体の屈折率より高い。
B.角膜前面の曲率半径は角膜後面の曲率半径より大きい。
C.角膜前面の屈折力は眼球光学系全体の屈折力より小さい。
D.弛緩時の眼球光学系全体の屈折力は Listing の模型眼の屈折力より大きい。
解答・・D
【解説】
角膜実質の屈折率は1.376、硝子体と房水の屈折率は1.336、水晶体の屈折率は1.386です。
角膜前面の曲率半径は7.7mm、角膜後面の曲率半径は6.8mmであり中心部が周辺部に比べてやや薄い凹レンズです。
角膜系の屈折力は43.053D(角膜前面の屈折力は48.83DD、角膜後面の屈折力は−5.882D)、眼球光学系全体の屈折力は58.636D。
眼球光学系全体の屈折力(弛緩時)は、Listing の模型眼で60D、Gullustrandの模型眼で58.636D。
◎ 精密模型眼、略式模型眼、省略眼の順に簡素化されます。模型眼とは、眼の光学的構造を数値化したもので、「Helmholtzの模型眼」や「Gullstrandの模型眼」、「LeGrandの模型眼」などがあります。正式眼とは、眼球の光学定数(屈折率、曲率半径、位置など)を実測値をもとにさだめたものです。省略眼とは、単純な構造に置き換えて光学定数を定めたもので、「Dondersの省略眼」や「Lawrenceの省略眼」、「Listingの省略眼」などがあります。
14.倒乱視のコノイドについて、誤っているのはどれか。
A.後焦線は垂直方向になる。
B.強主経線は水平方向である。
C.最小錯乱円は各焦線の物理的距離の中間にできる。
D.水平方向の光線束より垂直方向の光線束の方が集光位置は遠い。
解答・・A →【 正解なし( 2023年6月14日変更)】
【解説】
● 倒乱視の強主経線は水平方向であり、前焦線は垂直方向になります。
● 弱主経線は垂直方向であり、後焦線は水平方向です。よって選択肢「A」は誤りです。
● 最小錯乱円は、前焦線と後焦線の中間位置から「やや前焦線寄り」に位置しますが、ほぼ中間です。厳密には、選択肢「C」も誤りです。
過去の2級検定試験(2022年)では、「問7、選択肢C:最小錯乱円は前焦線側にややずれている。」は「正しい」と出題されています。
15.レンズについて、誤っているのはどれか。
A.円柱レンズは平行光線束を入射させたときに焦点を結ばない。
B.トーリックレンズは経線方向により異なる曲率半径の屈折面を持つ。
C.トーリックレンズは後面がトロイダル面なので前面頂点屈折力を測定する。
D.クロスシリンダーレンズはマイナス円柱レンズとプラス円柱レンズとを軸を直交させて重ね合わせたものと同じ効果になる。
解答・・C
【解説】
トーリックレンズのトロイダル面は、両主経線の倍率差が少なく済むために通常は後面側で設計されます。トロイダル面が後面であればレンズ後面の頂点屈折力を測定します。
トロイダル面とは、半径rの円を半径Rで回転させて生じる曲面のことです。toroidalには、「円環面(torus)の形」や「円環面体」の意味があります。
トーリックレンズは、その側面を切った形状で異なる曲率半径(最大『R+r』と最小『r』)をもちます。
16.-6.00D の球面レンズが 5mm 偏心しているときのプリズム作用として、正しいのはどれか。
A.0.83Δ
B.1.2Δ
C.3Δ
D.30Δ
解答・・C
【解説】
プレンティスの公式 P[Δ]=h[cm]×D[D] に当てはめますが、偏心した単位「cm」に注意です。計算しますと、P[Δ]=0.5[cm]×6.00[D]=3.00[Δ]
17.次の文章で説明している眼鏡フレームの玉型デザインとして、正しいのはどれか。 「底辺が短い台形で丸みが強い」
A.オート
B.オーバル
C.オクタゴン
D.ウエリントン
解答・・D
【解説】
オート(なす)(ティアドロップ)の基本形は三角形です。オーバルは丸型。オクタゴン(8角形)は多角形。ウェリントンは四角形です。
18.次の文章で説明している眼鏡フレームのプラスチック素材として、正しいのはどれか。 「熱可塑性樹脂でエンジニアリングプラスチックの一種、強靭で寸法安定性に優れている。」
A.アセテート
B.セルロイド
C.エポキシ樹脂
D.ポリカーボネート
解答・・D
【解説】
ポリカーボネート(PC)は、熱可塑性樹脂でエンジニアリングプラスチックの一種です。強靭で寸法安定性にも優れ、透明感があり割れにくいですが、アルコール系の有機溶剤に弱い。
アセテート(CA)は、比重1.25~1.32(15℃)。難燃性で維持管理がしやすく、紫外線の影響も受けにくい。透明性が高く着色性にも優れている。セルロイドと比べると復元性が小さく衝撃強度がやや劣ります。吸水性のため寸法の安定性に多少の不安があり、汗による白濁も起こり得ます。
セルロイド(CN)は、比重1.32~1.35(15℃)。可燃性があり維持管理が難しい(消防法危険物第5類)。着色性に優れ、衝撃性も強く、常温では弾力性が強いが、60℃以上で柔らかくなり次第に弾力性がなくなります。130℃以上で内部気泡が生じ、170℃~190℃で発火します。経年変化に伴い樟脳が昇華し弾性が失われます。紫外線で黄変・ひび割れが生じ、アルコール系の有機溶剤に弱い。
エポキシ樹脂(EP)は、比重1.1~1.2(15℃)。寸法安定性に優れ、復元性も大きく、加熱により伸長性がでて冷えて元の形状に戻りますが、急速な冷却は厳禁です。
19.通称「オプチル」として眼鏡フレームに用いられているプラスチック素材の名称として、正しいのはどれか。
A.グリアミド
B.エポキシ樹脂
C.ポリカーボネート
D.ポリフェニルサルフォン
解答・・B
【解説】
グリアミド(ナイロン系)には、TR90などがあります。優れた弾力性があり、軽量な素材です。フィッティングにおいて変形させることが難しく微妙な調整に向かないものもあります。
エポキシ樹脂(EP)は、「オプチル」として眼鏡素材に用いられます。アンガー社(オーストリア)の「Optylマーク」があります。
20.次に示す眼鏡フレーム素材を、比重の小さい順に並べた場合、正しいのはどれか。
A.真鍮、チタン、金、プラチナ
B.真鍮、プラチナ、チタン、金
C.チタン、金、プラチナ、真鍮
D.チタン、真鍮、金、プラチナ
解答・・D
【解説】
比重は、チタン(4.54)、真鍮(8.7前後)、純金(19.3)、プラチナ(21.45)の順に大きくなります。
真鍮(黄銅)は、銅(63~65%)、亜鉛(35~37%)で構成される銅合金です。パッド芯などに使用されます。
洋白も銅合金で、銅(64%)、ニッケル(18%)、亜鉛(18%)の化学構成比です。洋白の比重は8.75で銀白色です。耐食性、耐熱性、耐酸性、バネ性が良く、丁番やリムロック、ネジなどに使用されている。
21.眼鏡レンズの素材について、誤っているのはどれか。
A.ガラスレンズの多くは射出成形により作製される。
B.プラスチックレンズの多くは熱硬化性の成型方法となっている。
C.眼鏡レンズの素材は基本的に屈折率が高くなると比重も大きくなる。
D.本格的に採用された最初のプラスチックレンズ素材は CR-39(ADC 樹脂)である。
解答・・A
【解説】
ガラスレンズは融解させ金型にでプレスする「プレス成形」が用いられます。ガラス素材を「射出成形」するのは難しいです。
「射出成形」はプラスチックレンズの作製で用いられます。熱可塑性樹脂である成形材料が、シリンダー内で溶かされながらスクリュー回転の圧により金型に注入され冷えて固まります。
屈折率とは、光が物質中を透過する進行速度が真空中と比べて遅くなる割合のことです。
眼鏡レンズの屈折率を高くする為の添加物として、チタン化合物やバリウム化合物(以前は酸化鉛)を用いますので比重が大きくなります。比重とは、水の質量と比較した重さのことです。
22.二重焦点レンズについて、正しいのはどれか。
A.像の跳躍は、小玉の光学中心にて発生する。
B.小玉上部がストレートトップの形状は B 型と分類される。
C.エグゼクティブの二重焦点レンズは、像の跳躍が顕著である。
D.スラブ・オフ加工のレンズには、スラブ・ラインが外見上の特徴となる。
解答・・D
【解説】
像の跳躍(イメージジャンプ)とは、二重焦点レンズに於けるプリズム作用による明視できない範囲のことです。調節力があっても無くても加入度数が強ければ起こる可能性も高くなります。
像の跳躍は、遠用部(台玉)と近用部(小玉、セグメントsegment)との境界で発生します。小玉上部の形状により、ストレートトップのA型、カーブドトップのB型などと分類されます。
エグゼクティブ型のレンズは、遠用部と近用部の境界での面の傾きがなく、プリズムが生じない形状となるため「像の跳躍」は生じません。
スラブ・オフ加工とは、左右レンズに屈折度数の差がある場合に起こる上下プリズムの差を回避する加工法です。
スラブ・オフの加工方法としては、ダミーレンズを貼り遠方部を傾けてレンズ前面を加工した後にダミーレンズを剥がして近用部に発生する上下プリズムの差が少なくなるようにレンズ後面を磨いて完成させます。前後に傾けて削りますので、「スラブ・ライン」とよばれる外観上の境界が水平に発生します。
23.JIST7330:2022 眼鏡レンズの用語の、3.7 レンズの種類による分類で定義されていないのはどれか。
A.単焦点レンズ
B.多焦点レンズ
C.屈折力変化レンズ
D.逆累進多焦点レンズ
解答・・D
【解説】
「屈折力変化レンズ」とは、「累進屈折力レンズ」と「逆進屈折力レンズ(近々両用など)」を包括する用語です。
「累進多焦点レンズ」の中間帯には厳密には焦点が存在しないため、現在のJIS規格では慣用語として記載があるのみです。
24.累進屈折力レンズについて、誤っているのはどれか。
A.累進帯の子午線から外れた領域には球面収差が生じる。
B.外面累進はレンズ中心の子午線上の曲率半径が変化している。
C.フリーフォーム加工装置の開発によって内面累進が可能になった。
D.一般的にレンズ各部のレンズメータによる測定度数は装用度数と異なる。
解答・・A
【解説】
ミンクヴィッツ(Mink)によりますと、レンズ両側方部に加入屈折力勾配の2倍の非点収差が発生します。『 2×(ΔAdd:加入屈折力の傾斜)/ΔY=(ΔAst:中間累進帯の側方部に発生する非点収差の傾斜)/ΔX 』。
また、ノーマル歪(normal strain)である「正方形を長方形(縦方向や横方向)に歪ませる成分」と、スキュー歪(skew distortion)という「正方形を菱形(斜め方向)に歪ませる成分」があります。skewには「斜め、傾斜、歪んだ」という意味があります。
25.眼鏡の使用上の注意について、誤っているのはどれか。
A.中近レンズでの車の運転時、バックでは注意を要すると伝えた。
B.調光レンズの濃度は紫外線の強さや気温により濃度が変化することを伝えた。
C.ハードコートのみで染色されたカラーレンズはお湯に浸けると退色する可能性を伝えた。
D.ナイロン糸でレンズを固定する眼鏡では、1年を目安にナイロン糸を交換することをおすすめした。
解答・・A
【解説】
累進屈折力レンズは側方部にユレや歪みがありますので、運転や操縦に慣れが必要となります。
中近両用レンズの用途は室内用であり、その為の設計となります。運転用であれば遠近両用レンズであり、中近両用レンズで運転してはいけません。
26.眼鏡の使用方法について、熱によるレンズへの影響が最も少ないのはどれか。
A.眼鏡をかけたままサウナに入った。
B.眼鏡をかけたままドライヤーを当てた。
C.眼鏡をかけたまま焚火に近づいて当たった。
D.炎天下の駐車場で眼鏡をかけたまま車から離れた。
解答・・D
【解説】
サウナ(80~100℃)、ドライヤー(100~120℃)、焚火(1000℃前後)、炎天下の駐車場(50℃前後)。
27.視覚障がいの等級で、1 級の障がいの程度はどれに基づいているか。
A.視力の悪い方の眼の視力値
B.視力の良い方の眼の視力値
C.視力の悪い方の眼の視力値と周辺視野角度
D.視力の良い方の眼の視力値と周辺視野角度
解答・・B
【解説】
1級の障がい程度は「視力の良い方の眼の視力(万国式試視力表)が0.01以下」です。2級~5級の程度では「視力の良い方の眼の視力値と周辺視野角度」が基準となります。6級では「視力の良い方の眼の視力値」です。
令和4年4月に特別障害者手当に関して、厚生労働省から「視力障害の認定基準」の一部改正がありました。
適正に評価できるように、「両眼の視力の和」から「良い方の眼の視力」による認定基準の変更と、視野障害の認定基準に「ゴールドマン型視野計(動的視野測定)」のほかに、「自動視野計(ハンフリーなどの静的視野測定)」が追加されました。また、2つの障害での認定基準に「視野障害」が追加、3つの障害には改正がなされました。
⦿ 動的視野測定・・視標の大きさや明るさを決めておき、この視標を動かし見えなくなる箇所の境界、境目を描く方法。視野全体の把握をする。
⦿ 静的視野測定・・視標の位置を固定し、視標の明るさなどを変化させ、その位置での視角の感度を測定する方法。主に30°以内の視野測定をし、測定方法のプログラム化が行われているため「自動型視野計」とも呼ばれます。
平成30年7月には既に、視覚障害(視力障害、視野障害)に関する身体障害者手帳の認定基準の見直し(両眼視力の和→良い方の視力への変更・・など)が厚生労働省からされております。
28.平坦な道が上り坂に見える可能性がある補正度数はどれか。
A.右:S±0.00D C-1.00D Ax180° 左:S±0.00D
B.右:S±0.00D C-1.00D Ax90° 左:S±0.00D
C.右:S±0.00D C-1.00D Ax45° 左:S±0.00D C-1.00 Ax135°
D.右:S±0.00D C-1.00D Ax135° 左:S±0.00D C-1.00 Ax45°
解答・・C
【解説】
例えば、選択肢B「右:S±0.00D C-1.00D Ax90° 左:S±0.00D」では、右側が手前に感じられます。
選択肢C「右:S±0.00D C-1.00D Ax45° 左:S±0.00D C-1.00 Ax135°」では下図のように上り坂のような感覚になります。
奥行き感覚では、上記の網膜像の変化以外にも、旧眼鏡度数での慣れにより「サイロー(SILO)」が生じることもあります。
サイロー(SILO)・・Small In Large Out とは、増加した輻輳要求に対して融像が維持された時、視標が小さく、近づいたように視覚される(SI)現象。逆に、増加した開散要求に対する融像維持では視標が大きく、遠のいて視覚される(LO)現象。
29.現用眼鏡と同度数で新しい眼鏡を作製した。数日経って現用眼鏡と比較すると見え方が違っている。原因として誤っているのはどれか。
A.角膜頂点間距離
B.装用時前傾角
C.光学中心の高さ
D.パッドの当たり
解答・・D
【解説】
パッド当たりの違い自体は光学的要素に影響がありませんが、2次的に装用距離などが変わると見え方に違いがでます。
30.処方箋の略記号の意味で誤っているのはどれか。
A.左眼:O.S.
B.両眼:O.D.
C.加入度数:Add
D.円柱、乱視の表示:Cyl
解答・・B
【解説】
右眼:O.D.(Oculus Dexter)、左眼:O.S.(Oculus Sinister)
両眼:O.U.(Uterque:ラテン語)、B(Bilateral/Both:英語)
31.レンズメータの基準波長は e 線 546.07nm が用いられているが、望遠鏡式のコロナ(ターゲット)の色で正しいのはどれか。
A.黄緑
B.青紫
C.橙
D.赤
解答・・A
【解説】
波長λe=546.07nmは黄緑色です。
32.近用眼鏡を作製する場合に、近用 CD を設定するために必要でないのはどれか。
A.装用時前傾角
B.レンズ設計
C.作業距離
D.遠用 PD
解答・・A
【解説】
「装用時前傾角」は、近用眼鏡では15°ぐらいに調整しなければなりませんが、近用CDを決めるためには必要なく、遠用ビジュアルポイント(DVP:distance visual point)を決定するために必要な値です。
前傾角による偏位量yを計算しますと、遠用眼鏡5°ではDVP(distance visual point)より2.2mm下、常用眼鏡10°は4.4mm下、近用眼鏡15°は6.7mm下となります。
近用の心取り点間距離(Centration Distance)は、「近用CD=遠用PD×(作業距離[mm]-12)/(作業距離[mm]+13)」で計算されます。
選択肢B「レンズ設計」では、累進レンズでは近用CDを設定するために必要ですが、私的には△です。
33.屈折率 1.6 素材のレンズの前面をカーブ計で測定したら+7.00D であった。このレンズ前面の実際の面屈折力に近い度数はどれか。
A.9.00D
B.8.00D
C.7.00D
D.6.00D
解答・・B
【解説】
カーブ計にて測定された値は、屈折率1.523のクラウンガラスを想定しているため、実際の面屈折率Dとは異なります。
【計算式】
(D:実際の屈折力)=(D0:カーブ計の指針値)×(n2−1)/(1.523−1.0)
D=7.00×(1.6−1)/(1.523−1)≒8.03[D]
34.プレフィッティングの終了したメタルフレームの加工時に、レンズカーブに合わせるためにリムカーブを修正した場合に生じる他の部分の修正箇所について、誤っているのはどれか。
A.フロントそり角の修正が必要な可能性がある。
B.テンプル開き角の修正が必要な可能性がある。
C.テンプル傾斜角の修正が必要な可能性がある。
D.テンプルチップ曲げ位置の修正が必要な可能性がある。
解答・・C
【解説】
リムカーブ(水平方向)の修正は、基本的にはテンプル傾斜角(垂直方向)への影響はありません。リムカーブの修正時、もしも垂直方向に歪む場合には余計な方向へ力が加わってのことかと思います。
また、調整時には、以下のように「そり角」と「フロント角」の違いに留意しなければなりません。
35.楕円に近い形状のツーポイント加工の穴あけ位置や角度の影響について、誤っているのはどれか。
A.ブリッジ側の穴あけ位置や角度は玉型の水平度に影響する。
B.テンプル側の穴あけ位置や角度はテンプル開き角に影響する。
C.テンプル側の穴あけ位置や角度はレンズのそり角に影響する。
D.ブリッジ側の穴あけ位置や角度は左右レンズ面のねじれに影響する。
解答・・C
【解説】
レンズの「そり角」に影響するのは、ブリッジ側の穴あけ位置や角度です。
36.リムロックの無いねじ無しフレーム(シートメタルフレーム)加工について、正しいのはどれか。
A.溝の部分に細丸やすり等を使用して面取りする方が望ましい。
B.レンズサイズをデモレンズと同じに加工すれば他に考慮すべき問題はない。
C.溝の深さを 1mm 以上にする方が外れにくくなって加工組み立てもしやすくなる。
D.レンズサイズを小さくしながら加工する場合に、小さくしすぎた場合の救済方法はない。
解答・・A
【解説】
以下のようなシートメタルフレームでは、レンズの溝部分が金属と接するためバリに注意する必要があります。そのため、細い丸やすり等で溝部分の角を落とした方が良いです。
37.チタンろう付けの注意点の説明として、正しいのはどれか。
A.「ろう」は、温度変化に対応しやすい軟ろうを使用する。
B.修理する素材を赤く熱することで強度の高いろう付けとなる。
C.チタン素材の表面は酸化しにくいため空気中でのろう付けが可能である。
D.素材へ直接「ろう」を流し込むことができないため、補助部品として合金テンプルを介する。
解答・・D
【解説】
眼鏡では融解温度が450℃以上の「硬ろう」を使用します。チタン素材は特に酸化しやすく、酸化被膜を取り除くチタン用のフラックスを使用することでろう付けが可能になりました。
38.フィッティングの目的について、誤っているのはどれか。
A.光学的フィッティングでは、視線とレンズ幾何学中心が一致するように調整する。
B.解剖学的フィッティングでは、筋組織、血管、神経が少ない箇所の見極めが必要となる。
C.力学的フィッティングでは、過度の圧力を抑え摩擦力によって調整することが重要である。
D.美観的フィッティングでは、装用者のイメージ構築に大きな影響を与えるフレーム位置の調整が必要となる。
解答・・A
【解説】
光学的フィッティングでは、視線(視軸)と光軸が一致するように調整します。
選択肢Aでは、「レンズ幾何学中心」≠「レンズ光学中心」です。
39.光学的フィッティングについて、正しいのはどれか。
A.角膜頂点間距離が広がるほど歪曲収差は小さくなる。
B.注視野は、角膜頂点間距離が広がるほど大きくなる。
C.装用時前傾角のズレは非点収差を発生させ、変化量はマーチンの式で求められる。
D.光学的なそり角は、玉形中心に光学中心がない場合、左右フレームのなすフロント角と
常に一致する。
解答・・C
【解説】
基本的には、角膜頂点間距離が近いほど「視野の広さ」や「収差」などの点で良くなります。
選択肢Cでは、「そり角(レンズ)」≠「フロント角(フレーム)」であり、レンズのCD(centration distance)とフレームのBCD(boxed centre distance)の大小で関係性が変わります。
● マーチンの式は、球面レンズの「光軸」と「視軸」の「前傾 θ°」による屈折効果を表します。レンズ屈折率をn、球面度数をDとして計算します。
【マーチンの式:計算例】 レンズの屈折率1.60、レンズ度数−8.00[D]、前傾10°の度数効果を計算しますと、「S−8.00」が10°の前傾で「S−8.17 C−0.54 Ax180°」となります。
40.鼻の角度(片側)が 30゜、片側の鼻にかかる眼鏡の重量が 10g とする。片側の鼻の面に垂直にかかる力をビッセルスの公式を用いて計算した。正しいのはどれか。
A.5g
B.10g
C.20g
D.30g
解答・・C
【解説】
FN=FB/sinθ=10/sin30°=10/(0.5)=20[g]
41.解剖学的フィッティングについて、正しいのはどれか。
A.頭部形状は左右で異なっていても、基本的には左右対称に調整をする。
B.テンプルチップは、耳介後方下部の乳様突起に当てるように調整をする。
C.パッドが軟骨を圧迫すると、呼吸の妨げや声質の変化、軟骨の変形につながる。
D.鼻の側面には、血管や神経が走っているので、パッドで押さえるように調整する。
解答・・C
【解説】
耳介後側(乳様突起)には突き出た箇所(乳様突起)があり、先セルで圧迫されてはいけません。解剖学的フィッティングには、「骨格」「血管」「筋肉」の箇所を理解することが重要です。
42.フレーム装用時の美的要素について、誤っているのはどれか。
A.黄金比や白銀比などが美的要素に用いられる。
B.眼鏡のフロント部の上下幅は、眉からあごまでの 1/3 程度を基準とする。
C.眼鏡のフロント部の横幅は、眉尻にかかる左右の鉛直線間の幅を基準とする。
D.眼鏡のフロント部の水平は、レンズが濃い色のサングラスでは左右の瞳孔中心を基準とする。
解答・・D
【解説】
黄金比は1:1.618(約5:8)、白銀比は1:1.414(約5:7)です。
選択肢Dでは、濃いカラーレンズでは「目の位置」ではなく「眉のライン」に合わせます。
43.小児眼鏡のフィッティングについて、正しいのはどれか。
A.小児の鼻根は低いので、パッドはリム上方に位置したものが良い。
B.ブリッジ・智・テンプルは、堅牢性よりも調整しやすく変形しやすいものが良い。
C.テンプルは、テンプルチップ部が耳介全体を固定する二段曲げの巻手や縄手タイプも良い。
D.小児は大人よりも下方視が多くなるため、玉形は下方への注視野が確保された形状が必要となる。
解答・・C
【解説】
小児では、鼻根が低いためパッドはリム下方に位置したものが良く、視点が低く上方視が多くなりますので玉形は天地幅のあるものが良いです。
44.累進レンズの遠用ビジュアルポイントを正しく合わせたうえで、近用の心取りをミラー法で確認したところ、装用者の瞳孔中心とレンズの近用参照部の位置関係は、瞳孔が左右とも外側にあった。この時の対処として正しいのはどれか。
A.装用時前傾角を大きくする。
B.角膜頂点間距離を広くする。
C.累進帯長の長いレンズに変更する。
D.顎を少し引いて近方視するように指導する。
解答・・B
【解説】
ミラー法で瞳孔の位置が近用参照部よりも外側にある場合には、前傾角を小さくするか、頂点間距離を大きくします。瞳孔の位置が上側にある場合には、顎を出し気味にし視線を下方にしてもらう、視物の高さを下げてもらうなどの指導も必要です。下方回旋力の能力は通常20°であるが、不足している場合には累進帯長を短いものに変更します。
45.再フィッティングについて、誤っているのはどれか。
A.再フィッティングでは、常に眼鏡の劣化状態を考慮して調整する。
B.左のテンプル開き幅が不適切で狭いときは、左のパッドが片当たりしている。
C. 両方のパッドに痛みが有っても、原因はテンプル開き幅やテンプルチップも考えられる。
D.左のテンプルチップの下曲げ角度が不適切で強すぎるときは、右のパッドが片当たりしている。
解答・・B
【解説】
選択肢B、左のテンプル幅が狭い場合のパッドは右側が強く当たります。
選択肢D、左の下曲げ角度が強いと左側のテンプルが持ち上げられますので、右のパッドが強く当たります。
46.個人情報保護法について、正しいのはどれか。
A.個人情報取扱事業者とは、法人、集合住宅の管理組合、自治会などすべての営利・非営利組織が含まれるが、同窓会は対象外となっている。
B.個人情報の対象となる個人識別符号には、パスポート番号や免許証番号など公的な番号があるが、住民票コードなどは対象外となっている。
C.商品発送などの発送伝票に指名(正:氏名)・住所等を記載してもらう場合は、利用目的の公表や、本人への通知は必要ない。
D.個人情報を第三者に提供する場合に限り、原則として本人の同意は必要ない。
解答・・C →【 正解なし( 2023年6月14日変更)】
【解説】
選択肢Aでは「同窓会」も対象。選択肢Bでは、個人を特定できる「住民票コード」も対象。
選択肢Cでは、利用目的が明らかな商品発送の氏名・住所などの記載は「通知・公示」の必要はありません。よって、「選択肢Cは正しい」ですが、問題文の誤字は正しくありません。
今回の試験は「漢字検定」などではありませんので、このくらいの誤字・脱字は許してあげたくなります。文脈から誤字であることが容易にわかりますので、、、。
47.薬機法に基づく医療機器の販売ついて、正しいのはどれか。
A. コンタクトレンズの販売業は、許可制となっている。
B. 一般医療機器の販売・賃貸業は、許可制となっている。
C. 眼鏡の販売業は、営業所の所在地の都道府県知事への届出制となっている。
D. 補聴器の販売業は、その営業所の所在地の都道府県知事への許可制となっている。
解答・・A
【解説】
薬機法による医療機器の分類を以下にまとめます。
選択肢A、コンタクトレンズは「高度管理医療機器」であるため厚生労働大臣の許可が必要です。
選択肢B、「一般医療機器」の届出・許可は不要です。
選択肢C、眼鏡は「一般医療機器」であり届出・許可は不要。
選択肢D、補聴器は「管理医療機器」であり都道府県知事への届出は必要ですが、許可は不要です。
48.眼鏡処方箋を持参して眼鏡作製に来店したお客様への対応として、誤っているのはどれか。
A.外斜視を認めたので、眼鏡処方箋の度数はそのままで、プリズムを追加して眼鏡を作製した。
B.眼鏡処方箋記載の乱視軸が、誤っていると思われたので、発行元の眼科医療機関に確認の電話を入れた。
C.視機能に影響しない程度の薄いカラーを入れる程度であれば原則として眼科医療機関に確認しなくてもよい。
D.瞳孔間距離の記載がなかったので、眼鏡処方箋発行元の医療機関に連絡のうえ承諾を得て、眼鏡店で計測し眼鏡を作製した。
解答・・A
【解説】
眼科処方箋は治療の意味もありますので、度数を勝手に変えてはいけません。
AC/A比が標準である「基本的外斜位タイプ」では、視機能訓練が最も効果的です。V.T.の実施が困難である場合にはBIプリズム処方が行われたりもしますが、器質的である危篤な疾患(多発性硬化症、重症筋無力症、過去の斜視手術など)との区別も必要であり、装用テストで患者さんに見え方に不安がある場合には眼科さんに相談することで「連携」しなければなりません。
49.7 歳の小学生が、眼鏡処方箋を持参し眼鏡作製に訪れた場合に対応として、正しいのはどれか。
A.作製した眼鏡は、必要時のみの使用で良いと説明した。
B.眼鏡作製後、保証期間内には必ず眼科医療機関を受診するように説明した。
C.最近の子供は ICT 機器を使用することが多いので、ブルーライトカット眼鏡を勧めた。
D.保証期間内の破損の場合、作製後ある程度の期間が過ぎていても同じ度数での作り替えであれば、再度眼鏡処方箋を発行してもらう必要はない。
解答・・B
【解説】
選択肢A、必要時のみの使用で良いのかどうかは、眼鏡処方箋の発行元へ確認しないとわかりません。
選択肢C、ICT(Information and Communication Technology)とは情報通信技術のことです。ブルーライトは日中は浴びた方が良いと考えます。特に7歳では、ブルーライトをカットをしても近くを長時間見ている行為は良くありません。
選択肢D、仮に保証期間が1年である場合、数ヶ月で度数が変化する頻度は少なくありません。
50.眼鏡店のホームページへ記載する文言として、誤っているのはどれか。
① 当店には、国家検定資格である眼鏡作製技能士が複数名在籍しています。
② 当店は、より良い眼鏡を作製するために眼科医療機関との連携を密に行っております。
③ 当店には、眼鏡作製技能士が在籍しておりますので、屈折異常や視機能の異常検出などの検査が可能です。
④ 当店は、より良い眼鏡を作製するために、通常の視力の測定以外に、両眼視検査や色覚検査を行っています。
A.①② B.②③ C.③④ D.①④
解答・・C
【解説】
「測定」は眼鏡店で可能ですが、「検査」は基本的には不可です。
行ってはいけない「医行為」として、「屈折測定」や「視力測定」は医行為ではありませんが、その結果から「近視」、「遠視」、「乱視」、「調節障害」などと判断することは「医行為」となり眼鏡店で行うことは医師法で禁止されています。
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