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ブルーライトをカットすることに効果はあるのでしょうか?
個人的には、ブルーライトカットの効果については全く信じておりません。
サーカディアンリズム(生物に存在する約24時間周期)や眼精疲労も、PC画面からのブルーライトによる影響というよりも、パソコン作業による集中や興味・関心が原因だと考えております。
眼の疲れや睡眠障害などの健康問題も、原因は他にあると考えております。
眼鏡業界に携わる多くの人間は「効果はないだろう」と思っています。それは、PCレンズが普及した経緯を知っているからです。これは眼鏡業界の闇だと個人的には思っています。
例えば、「眼鏡の国家資格」を取得するような勉強熱心な者であるほどに、その意味は容易に理解できると思います。
眼の疲れや生体リズムが乱れる原因はブルーライト以外の理由で全て説明できます。特にブルーライトによる影響とは考えておりません。
最近ではブルーライトカットに効果がないという研究結果が数多く出ています。
この記事では、ブルーライトカットに効果がないという主張の根拠と、それに対する反論をいくつか紹介します。
ブルーライトカットに効果がないという主張
ブルーライトカットに効果がないという主張の根拠として、以下のような研究結果などが挙げられます。
2023年8月、オーストラリアのメルボルン大学などの研究チーム
ブルーライトカット眼鏡の効果に関する世界中の研究を分析した結果、ブルーライトカット眼鏡は、非ブルーライトカット眼鏡と比べて、目の疲れや視力、網膜の保護、睡眠の質などに有意な差はないということがわかりました。
この研究は、国際的な医療評価プロジェクトであるコクラン共同計画(国民保健サービスの一環:英)が発行するデータベース「Cochrane Library」に掲載されました 。
ブルーライトカット眼鏡は、ブルーライトの10~25%を遮断するだけであり、デジタルデバイスから放出されるブルーライトの量自体が自然光から放出される量の約1,000分の1程度に過ぎないことも考えると、その効果はほとんど期待できないと報告しています。
また、ブルーライトカット眼鏡を使用することで、色彩感覚やコントラスト感覚が低下する可能性も示唆しています。
アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チーム
ブルーライトと赤色光を比較して、睡眠に与える影響を調べました。
その結果、ブルーライトは赤色光よりも睡眠の質を低下させることはなく、逆に睡眠の効率を高めることがわかりました。
この研究では、ブルーライトはメラトニン(夜に分泌されることで睡眠を促すホルモン)の分泌を抑制することはありませんでした。
2019年に米国のミシガン大学の発表
この研究では、3つのグループ(ブルーライトカットメガネを着用、通常のメガネを着用、メガネを着用しないグループ)に分けて、夜間にデジタルデバイスを使用した後の睡眠の質やメラトニンの分泌量を測定しました。
その結果、3つのグループの間には、睡眠の質やメラトニンの分泌量に有意な差が見られませんでした。
2020年に日本の東京大学が発表したもの
ブルーライトカットフィルターを貼ったスマートフォンと、貼っていないスマートフォンとで、目の疲れや視力低下にどのような違いがあるかを調べました。
その結果、目の疲れや視力低下に有意な差はありませんでした。
イギリスのエクセター大学とキール大学の研究チーム
ブルーライトが目に与える影響を調べました。
その結果、ブルーライトは目の細胞にダメージを与えることはなく、逆に目の機能を向上(眼の細胞の代謝を活性化、老化や病気に対抗する力を向上)させる事がわかりました。
ブルーライトカットに効果がないという主張に対する反論
ブルーライトカットに効果がないという主張に対する反論として、以下のような点が挙げられます。
睡眠への影響は個人差がある
ブルーライトが睡眠に影響しないという研究結果は、一般化できるものではありません。睡眠への影響は個人差がありますし、他の要因も関係します。
例えば、デジタルデバイスを使う時間や頻度、使う場所や環境、使う内容や目的などです。また、デジタルデバイスから発せられる光だけでなく、周囲の明るさや色温度も睡眠に影響します。したがって、ブルーライトカットが睡眠に効果があると感じる人もいるでしょう。
目への影響は長期的なものである
ブルーライトが目に悪くないという研究結果は、短期的なものであり、長期的な影響はまだ分かっていません。
目の細胞は再生能力が低く、一度ダメージを受けると回復しにくいです。
ブルーライトは高エネルギーの光であり、目に入ると光化学反応を起こします。この反応は目の細胞に酸素ラジカルを発生させ、酸化ストレスを引き起こします。酸化ストレスは目の細胞を傷つけ、網膜や水晶体などの構造や機能に影響を与えます。これが長期的に続くと、加齢黄斑変性や白内障などの目の病気のリスクを高める可能性があります。
したがって、ブルーライトカットが目に効果があると考える人もいるでしょう。
まとめ
ブルーライトカットに効果がないという主張と、それに対する反論を紹介しました。
ブルーライトカットに関する研究はまだ進行中であり、結論は出ていません。ブルーライトカットの必要性や効果は個人差がありますし、他の要因も考慮する必要があります。
ブルーライトカットをするかどうかは、自分の体調や感覚に合わせて判断することが大切です。
最後に
ブルーライトカットよりも重要なのは、デジタルデバイスの使い方です。
長時間同じ姿勢で画面を見続けることが、眼精疲労や首肩こりなどの原因になります。また、寝る前に画面を見ることが、睡眠の質や量に悪影響を及ぼします。
そのため、デジタルデバイスを使用する際には、以下のような工夫をすることがおすすめです。
- 画面から目を離して休憩する(20分ごとに20秒間)
- 画面から適度な距離を保つ(40~60cm)
- 画面の明るさや角度を調整する
- 涙液の分泌を促す目薬やサプリメントを利用する
- 寝る2~3時間前にデジタルデバイスを使用しない
- 寝室にデジタルデバイスを持ち込まない
ブルーライトカットは科学的な根拠がないということを知って、デジタルデバイスの使用方法を見直してみましょう。
目や睡眠の健康に配慮することで、より快適な生活を送ることができます。
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