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1.調節休止の状態で網膜共役点が眼前 0.25m の眼で正しいのはどれか。
A.S-4.00D の補正が必要な近視
B.S-3.00D の補正が必要な近視
C.S-2.50D の補正が必要な近視
D.S-0.25D の補正が必要な近視
解答・・A
【解説】
D=1/fから、1÷0.25=4.00となります。
共役点とは、2点を互いに入れ換えてもその関係に変化がない点をいいます。
光線は逆行しますので、物体(object)と像(image)の関係は入れ替えることができます。つまり、物体と像の位置を入れ替えても同様の結像が成り立ちます。2点が結像関係にあることを共役(conjugate)といい、その2点を共役点といいます。
2.正視状態の眼前に、S+0.50D C-0.50 Ax90°のレンズを置いた場合、どのような乱視の屈折状態になっているか。
A.近視性単性直乱視
B.近視性単性倒乱視
C.遠視性単性倒乱視
D.混合性倒乱視
解答・・A
【解説】
度数変換をしますと、C+0.50 Ax180°となります。
正視眼に、単性乱視 C+0.50 Ax180°のレンズを置きますと、遠くが見えづらくなります。つまり、近視状態になります。
強主経線が垂直方向ですので、直乱視です。
別解)
C+0.50 Ax180°のレンズを眼前に置くということは、C−0.50 Ax180°で補正される眼と考えることもできますので、近視性単性直乱視となります。
3.不同視について、正しいのはどれか。
A.軸性不同視の場合、不等像視の発生は少ない。
B.一般に、左右眼の屈折度差が 2.50D 以上のものをいう。
C.近視性不同視の方が不同視弱視になりやすい。
D.左右眼の像の大きさが異なることをいう。
解答・・A
【解説】
不同視と不等像視は異なります。
左右の度数差が2.00D以上を不同視といい、『屈折性不同視』と『軸性不同視』があります。
不同視弱視は、遠視度が強い片眼が使用されないことで視力が発達せず弱視になるものをいいます。
屈折性不同視の場合には、コンタクトレンズ装用による補正の方が不等像視が少ないといえます。
軸性不同視では、眼鏡補正しても『ナップの法則(Knapp’s law)』によると不等像の発生が少ないとされております。
そもそも、軸性不同視眼の割合は屈折性不同視眼と比べて多いといわれております。
とはいえ、光学的には『Knapp’s law』は正しいかもしれませんが、臨床的にはコンタクトレンズの方から受ける恩恵の方が大きいともいえます。
『ナップの法則』とは、補正レンズを後頂点位置と眼の第一焦点が一致するように装用すると、Shape factor(レンズの中心厚などによる要因)を無視した場合には、軸性屈折異常に対しての網膜像の大きさは変わらないという法則です。
補足ですが、
装用距離の違いによる像の位置関係を下図に示します。
装用距離が近づくほどに、像の位置が右側に移動して行きます。実際には、補正度数もマイナス寄りに変化する事に注意が必要です。
『ナップの法則』ではありませんが、補正レンズの距離が近いほど倍率変化が小さくなる事を、『屈折性不同視』と『軸性不同視』を例として、以下の図に示します。
不等像視に関しては、屈折性不同視ではCL補正が良く、軸性不同視では眼鏡補正でも良いという理由を図にしました。
4.眼のピント合わせ(調節)の主体となる筋はどれか。
A.輪状筋
B.縦走筋
C.瞳孔括約筋
D.眼輪筋
解答・・A
(個人的には答えが曖昧だと考えます。主体となる毛様体筋のMuller筋は輪状筋ですが、答えとして『輪状筋』となると、輪状筋は他にも沢山あり、全てが当てはまる訳ではありませんので正解なしといえるでしょう。)
【解説】
毛様体筋には、近方視の際に働くMuller筋(輪状筋)と、遠方視の際に働くBrucke筋(縦走筋)、放射状部である斜行筋があります。
調節に誘発されるのが縮瞳であり、『瞳孔括約筋』はその時に働く筋です。
5.眼前 1m から眼前 50cm の間が丁度明視域に入らないバイフォーカル眼鏡と調節力の組み合わせはどれか。遠用補正度数は全て±0.00D とする。
A.遠方は正視状態、加入度 2.00D のバイフォーカル、調節力は 1.00D
B.遠方は 0.50D の近視状態、加入度 1.50D のバイフォーカル、調節力は 1.00D
C.遠方は 0.50D の遠視状態、加入度 2.00D のバイフォーカル、調節力は 1.50D
D.遠方は 1.00D の遠視状態、加入度 2.50D のバイフォーカル、調節力は 2.00D
解答・・A
【解説】
選択肢A、バイフォーカル眼鏡の遠方部と近方部を別々に考えます。遠方部での明視域は、無限遠方~眼前1mです。近方部では、眼前50cm~33.3cmです。
6.Donders らの調査によると、60 歳の調節力はおよそ何 D か。
A.0.50D
B.1.00D
C.1.50D
D.2.00D
解答・・B
【解説】
60歳の調節力は、石原忍さんによると0.50D、Dondersさんによると1.00Dとなります。
7.白・黒それぞれ 1.5mm 幅の縦縞が描かれたオプトキネティックドラムを 1m の距離で回転させたところ、視運動性眼振(OKN)が観察できた。視力の評価として正しいのはどれか。
A.最低でも 0.1 の視力はある。
B.最低でも 0.2 の視力はある。
C.最低でも 0.4 の視力はある。
D.最低でも 0.8 の視力はある。
解答・・B
【解説】
OKN(optokinetic nystagmus)を誘発させることで、乳幼児や精神発達遅延者、心因性視力障害、詐盲者などの視力評価が可能となります。
1.5mm幅を、測定距離1mの距離で判別できているということを、馴染みのあるランドルト環で考えてみます。
測定距離5mで、1.5mm幅の判別可能(6割正解)なのを視力1.0としました。OKNドラムの縦縞も1.5mmで同じ幅です。
縦縞距離1mは、視力1.0距離5mの1/5です。
よって、視力1.0×1/5=0.2となります。
8.ランドルト環の通常黒い部分の輝度が20cd/m2、背景及び切れ目の通常白い部分の輝度が180cd/m2であった。この視標のコントラスト(%)で正しいのはどれか。
A.20%
B.40%
C.60%
D.80%
解答・・D
【解説】
コントラスト[%]
=(最高輝度−最低輝度)/(最高輝度+最低輝度)×100
=160/200✕100=80[%]
JISでは視標コントラストを74%以上と規定しておりますので、この視標コントラストはJIS基準を満たしています。
9.雲霧法による乱視測定では、マイナス円柱レンズの補正軸は何に基づいて決定されるか。
A.前焦線の方向
B.後焦線の方向
C.最小錯乱円の大きさ
D.前焦線から後焦線までの間隔
解答・・B
(個人的には、解答が不適切と考えます。〇〇の方向というのは蛇足であり、誤解を招きます。正確には、後焦線の方向に基づき決定されますが、補正軸自体はその90°と垂直方向となります。)
【解説】
例えば、下図のような近視性複性倒乱視で考えてみます。
放射線視標では、弱主径線による後焦線方向(水平方向)が濃く見えます。
マイナス円柱レンズの補正軸は、弱主経線方向(垂直方向)です。
ボヤケが起こる前焦線を乱視補正により、網膜上に近づけていくことで乱視補正を行います。
10.S+0.50D C-1.00D Ax180°のクロスシリンダーを利用して加入度を測定することにした。仮の加入度として S+2.00D を入れて測定を始めたところ、被測定者は縦線が濃く見えると答えた。測定者の対応として正しいのはどれか。
A.加入度を+2.00D で決定する。
B.加入度を+1.75D にして再度縦横の線の濃さを比較させる。
C.加入度を+2.25D にして再度縦横の線の濃さを比較させる。
D.C-0.25D Ax180°を加え再度縦横の線の濃さを比較させる。
解答・・C
【解説】
通常、システム検眼機械による、近方加入度テストでは以下のようなレンズが付与されます。
『S+0.50 C−1.00 Ax90°』のレンズが付与されます。
初めは『横線が濃く』見え、更に加入度数を付加し続けると『縦線と横線が同じ濃さ』に見える加入度数があり、更に加えますと『縦線が濃く』見えます。
問題文の付加するレンズ『S+0.50 C−1.00 Ax180°』は、通常のシステム検眼器(上図)での強主経線と弱主経線が逆になります。
つまり、初めは『縦線が濃く』見え、加入度数を加え過ぎると『横線が濃く』見える・・・というような、一般的なシステム検眼器でみられる反応の逆になります。
11.平面鏡による反射像について正しいのはどれか。
A.倒立実像ができる。
B.鏡に近づくと像は遠ざかる。
C.法線を下ろした同じ距離の所に虚像ができる。
D.観察者から見た物体と像の方向は同じになっている。
解答・・C
【解説】
以下のような、左右反転した正立虚像ができます。
12.非点収差の説明で誤りが含まれているのはどれか。
A.光軸上にある物体から発した光線束のうち、
B.レンズの垂直な断面を通る光線束の方が、
C.レンズの水平な断面を通る光線束に比べて、
D.より強く屈折してしまうことが原因で発生する。
解答・・A
【解説】
選択肢A~Dまでを、1つの文として読みます。
『A. 光軸外にある物体から発した光線束・・』が正しく、非点収差を図にしますと、以下のようになります。
『球面収差』や『コマ収差』が除外された場合でも、物点がかなり軸から離れますと、結像が非点的(astigmatic)になります。この収差を『非点収差』といいます。
ザイデルの5収差と色収差を以下に示します。
13.正しいのはどれか。
A.眼の光軸と眼鏡レンズの光軸がずれていると非点収差が顕著に表れる。
B.眼球光学系は共軸系である。
C.中心窩は最良像が得られる光軸上にある。
D.照準線は眼の入射瞳中心と固視点を結ぶ線である。
解答 D
【解説】
眼の『光軸』と『視軸』は異なります。
光軸とは、眼球の前極と後極を結んだ線であり、中心窩から5°鼻側になります。
視軸とは、注視点と中心窩を結んだ線です。
共軸系とは、光軸が1本のみで構成される光学系をいいます。Gullstrandの模型眼も共軸系となります。
14.プルキンエ・サンソン像で正しいのはどれか。
A.水晶体後面からの倒立虚像
B.水晶体前面からの正立虚像
C.角膜後面からの正立実像
D.角膜前面からの倒立実像
解答・・B
調節は、Purkinje-Sanson像(プルキニエ・サンソン像や、パーキンジー像とも呼ばれる)により観察できます。
暗室でローソクの光を見ている被検者の瞳孔を観察しますと、3つのローソク像が確認できます。
第1像は最も明るい角膜反射による直像、
第2像は水晶体前面による最も大きい薄い直像、
第3像は水晶体後面の反射による最も小さい倒像です。
調節時には、第2像が第1像に近づく事から、水晶体前面の湾曲変化によりピントが合わせられたと考える事ができます。
本来、角膜と水晶体での反射は以下のような4つがあります。
しかし、確認できるのが3つである理由は、角膜による2つの反射が1つに見える為です。
15.屈折補正レンズについて、正しいのはどれか。
A.トーリックレンズは円柱面をレンズの前面と後面に配している。
B.レンズメーターは前面頂点屈折力を測定している。
C.頂点間距離を変えても、補正レンズを修正すればよい。
D.補正レンズの物体焦点を遠点に一致させる。
解答・・C
【解説】
レンズ設計では、レンズ前面を球面、後面をトーリック面にした内面トーリックが主流です。
眼鏡補正後の網膜像の方向による倍率差が小さく済むため、不等像を抑える事ができるからです。
選択肢C、『頂点間距離を変えても、補正レンズを変えれば良い』というのに関しては、疑問が残ります。
何故、角膜頂点間距離が12mmとしているのかには理由があります。『度数換算について・・・』などの条件を問題中に入れず、単純に『良い』としてしまいますと誤解が生まれます。
16.S-2.00D C-1.50D Ax90°の 90°方向の度数はどれか。
A.-3.50D
B.-2.00D
C.-1.50D
D.-0.50D
解答・・B
【解説】
スコア表記しますと、以下のようになります。
90°方向の度数は−2.00[D]です。
17.ボクシングシステムで以下のような表記があった場合、玉形中心間距離として正しいのはどれか。[54□18-138]
A.54mm
B.72mm
C.108mm
D.138mm
解答・・B
【解答】
FPD=54+18=72
18.眼鏡フレームの素材として使用されるポリカーボネートに関する以下の記述において誤っているのはどれか。
A.熱可塑性樹脂である。
B.強靭で寸法安定性に優れている。
C.アルコールなど有機溶剤に対する耐性も優れている。
D.割れにくいのでスポーツ用ゴーグルなどに多く使用されている。
解答・・C
【解答】
ポリカーボネート(PC)は、ハードコンタクトレンズに以前良く使用されていたPMMA(アクリル)に比べますと透明度は落ちます。それでも十分な透明性を持つエンジニアプラスチックの一種です。
透明性(ガラスと同等、可視光線透過率80~90%)もあり、紫外線にも強く、ガラスの200倍以上の耐衝撃性があります。吸水性が低く、変形しづらく、寸法安定性に優れています。着火しても燃え広がらず、自己消化性をもちます。
但し、有機溶剤や界面活性剤に弱く、ひび割れや変形を起こすことがあります。
傷に弱く(HBの鉛筆硬度並み)、傷が付くと透明性も失われます。
19.「K14」と表示のある眼鏡フレームの金属部分の全重量が 26g であった。このフレームに使われている純金の重量として正しいのはどれか。眼鏡フレームの金属部分は全て「K14」とする。
A.13.0g
B.15.2g
C.18.2g
D.22.1g
解答・・B
純金は24K(Karat、カラット)です。
最大が24である理由は、24分率が由来であり、宝石の1Ct(0.2g)と語源は同じです。
カラットの語源は、イナゴマメの実(Kertion)であると考えられております。
『金』は展性と延性に優れておりますが、純金(24K)のままではフレームの強度が保てませんので、合金として使用されます。
14/24が純金ですので、26[g]×14/24≒15.17[g]
20.次の眼鏡フレームの表面処理に関する記述のうち、「イオンプレーティング」の説明で正しいのはどれか。
A.光の干渉現象を利用した発色原理である。
B.色着けされた樹脂をスプレーガンで吹き付け、その後焼き付けて乾燥させる。
C.酸性の液中に、めっきする金属をイオン化して溶融し、眼鏡フレームを陰極につるして通電する。
D.めっきしたい金属を高真空中で蒸発させてイオン化し、フレームの表面に加速・衝突させることでめっきする。
解答・・D
【解説】
選択肢Aは、シャボン玉やCDなどの虹色が例として挙げられます。
選択肢Bは『溶剤吹き付け塗装』で、多品種小ロットに向いておりますが、色ムラができやすいです。
選択肢Cは『湿式めっき』で、豊富なカラー付けができます。
選択肢Dは『イオンプレーティング(乾式めっき)』で、イオン化することにより密着性が高い膜を形成することができます。眼鏡では主にチタンフレームに施され『IP』と表示されます。
21.累進レンズの構造について、誤っているのはどれか。
A.累進帯が長くなるほど非点収差の勾配は小さくなる。
B.加入屈折力の変化をレンズの側方や周辺部で調整することを光学的変調と言う。
C.ミンクヴィッツによると累進帯左右に生じる非点収差は加入度数勾配の3倍となる。
D.累進レンズ周辺部の非点収差は曲率半径の異なる部分を滑らかにしたために生じる。
解答・・C
【解説】
二重焦点レンズとは違い、累進多焦点レンズでは中間部に累進帯を設けたことで収差が発生します。
ミングヴィッツ(Minkwitz)さんは、この累進レンズ面の光学を数学的に解析しました。
その結果によりますと、累進面の中央子午線における加入屈折力の傾斜ΔAddと、その中間累進帯の側方部に発生する非点収差の傾斜ΔAstの間には、『2×ΔAdd=ΔAstの関係がある』としました。
これを『Minkwitzの法則』といいます。
この加入屈折力の勾配を緩くするには、『中間累進帯長を長くする』か、『加入屈折力を小さくする』という2つの方法が考えられます。
22.プラスチック及びガラスレンズの素材について、誤っているのはどれか。
A.ガラス眼鏡レンズ素材の屈折率は 1.523 からある。
B.プラスチック眼鏡レンズ素材の屈折率は 1.76 まである。
C.プラスチック眼鏡レンズの販売比率は約 85%以上となっている。
D.一般的にレンズ素材の屈折率が大きいほどアッベ数は小さくなる。
解答・・ー
(全て正解)
【解答】
ガラスレンズ素材の屈折率は1.523~1.90であり、プラスチック素材は1.50~1.76まであります。(2022年現在)
プラスチックレンズ製品のシェアは97%を超えます。
23.多焦点レンズの小玉に対する JIS の定義について、誤っているのはどれか。
A.丸小玉
B.アイデアル A 型小玉
C.カーブドトップ小玉
D.ストレートトップ小玉
解答・・B
【解説】
多焦点レンズは『視覚的に分割された二つ以上の異なる屈折力をもつように設計されたレンズ』と定義され、multifocal lens(マルチフォーカルレンズ)とよびます。
累進レンズは『レンズの一部または全体にわたって屈折力が連続的に変化する非回転対称面を持つレンズ』と定義され、PAL(progressive addition lens)とよびます。
24.インディビジュアルレンズについて、誤っているのはどれか。
A.必ず各種計測をする前にフィッティングを行う。
B.装用状態によって変化する実効度数が処方度数になるように修正するレンズである。
C.注文に必要なデータは度数以外では装用時前傾角及び左右の PD と頂点間距離である。
D.度数が強くなるほど実効度数への修正が大きくなるので、処方度数と確認度数の差が大きくなる。
解答・・C
【解説】
注文時に必要なデータには、『そり角』も必要となります。
25.眼鏡の取り扱いや使用環境について、誤っているのはどれか。
A.冷凍庫に出入りするお仕事なのでハードコートレンズをおすすめした。
B.顔が見やすいように眼鏡をかけてヘアードライヤーを使用する。
C.汚れを取りやすくするためでもお湯で洗浄してはいけない。
D.眼鏡の手入れは最初に水洗いすることをおすすめした。
解答・・B
【解説】
選択肢Bは、気持ちはわかりますが、60℃以上ではクラックの原因になります。他にも、例えば、防曇スプレーを早く乾かしたいからドライヤーを使うなんていうのも禁忌です。
選択肢Cは、プラスチックレンズは吸水性があります。コーティングも痛みます。
選択肢Dは、レンズ表面の塵や埃を洗い流してから優しく水気を拭きましょう。
26.望遠鏡について、誤っているのはどれか。
A.ガリレオ型では正立像が得られる。
B.ケプラー型は地上望遠鏡にも使用される。
C.オペラグラスに一般的に使用されるのはケプラー型である。
D.ガリレオ型では凹レンズでも拡大像が得られる原理を応用している。
解答・・C
【解説】
オペラグラスは『ガリレオ式』であり、双眼鏡は『ケプラー式』となります。
どちらも『屈折式望遠鏡』ですが、接眼レンズに凹レンズを用いる『ガリレオ式』か、凸レンズを用いる『ケプラー式』かで異なります。
ガリレオ式やケプラー式などの『屈折式望遠鏡』は下図のようになります。
ガリレオ式は、『正立像』ですが、倍率を上げると極端に視野が狭くなります。地上用に向いております。
『対物レンズ』と『接眼レンズ』までの距離は、『対物レンズ』の焦点距離よりも近い位置に『接眼レンズ』を設置しないといけません。
ケプラー式は、『倒立像』ですが、倍率を上げても視野はあまり狭くなりません。視野が広く、天体用に向いてます。
『対物レンズ』と『接眼レンズ』の距離は、それぞれの焦点距離を足した分が必要となります。その結果、大型になり易いです。
下図のように、レンズの代わりに鏡を用いた『反射式望遠鏡』もあります。例としては、ニュートン式やグレゴリー式、カセグレン式、ナスミス式などがあります。
27.お客様に好感を持たれる聞く姿勢として、誤っているのはどれか。
A.楽しい話には声のトーンを上げる。
B.少し前のめりになった姿勢で話を聞く。
C.目を見て話すと緊張するので視線を逸らす。
D.「はい」「本当ですか」など相づちをうつ。
解答・・C
【解答】
『楽しい話には声のトーンを上げる』ではなく、『楽しい話では声のトーンが自然に上がる』のではないでしょうか・・。
この選択肢Aが正しいとするのであれば、『楽しくない話(トーンが上がらない話)でも印象を良くする為にはトーンを上げましょう』という事になりませんか・・。深読みし過ぎでしょうか。
印象とは別ですが、加齢に伴い、蝸牛内の有毛細胞の死滅により、高音域から聞こえづらくなりますね。その場合には、あえて低音で話さなければなりません。
目を見てこちらが緊張するのは論外ですが、見過ぎて相手を緊張させてもいけません。調節の関与が処方に影響します。
声のトーンや大きさ、早さは、相手に合わせると良いでしょう(ミラーリング効果)。
『本当ですか』を相槌で使う場合には、『はい』や『ありがとうございます』、『かしこまりました』などで言い換えた方が良いと私は考えます。
28.デスクワーク中心の仕事用メガネをご希望している。測定値は以下のとおりである。近々累進レンズ(-1.00D 加入)でカバーできない距離はどれか。【屈折補正値:左右とも S-5.00D、ADD+2.50D 調節力 2.00D】
①30cm
②45cm
③65cm
④80cm
A. ①のみ B. ①と② C. ③と④ D. ④のみ
解答・・D
【解説】
屈折補正値はありますが、実際の処方値が無く、出題者の意図を汲み取る事が難しい問題です。
処方値を『S−2.50 Add-1.00』とし、Ac=2.00とした場合では、以下の計算で出せます。
遠方・・1/(5.00-(2.50+1.00))=1/1.5≒0.66[m]
近方・・1/(2.5+2.00)=1/4.5≒0.22[m]
よって、明視できる範囲は、眼前66cm~眼前22cm。
もし仮に、処方値を『S−3.00 Add-1.00』とし、Ac=2.00とした場合では、眼前1m~33cm(半分Ac=1.00使用)~25cm(最大Ac=2.00使用)となります。
問診内容がありませんので、一概には言えませんが、この処方の方が良いと思います。(55歳と仮定した場合、Add−1.00よりもAdd−1.50が妥当だと思いますが・・。)
29.2021 年のムードを表すテーマ―カラーに選定されたのはどれか。
A.フレッシュブルー
B.ディライトピンク
C.バイタルイエロー
D.ゼロホワイト
解答・・D
一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)が決めた2021年の色は、『はじまりの色、希望のホワイト』、『ゼロホワイト(Zero White)マンセル値N9.5』です。
一般投票での2021年の色は『コロナ禍の不安な気持ちを表すグレー』でした。予めLAFCAにて選ばれた15色の中からのWEB投票によるもので、グレーが全体の26.9%を占めました。
『ゼロホワイト』と組み合わせて活用する色はアソートカラーとアクセントカラーがあります。
アソートカラーとしては『フレッシュブルー』と『インサイトグレー』です。アクセントカラーとしては『ディライトピンク』Jolly Coralです。
JAFCAが決めた2022年の色は、『明るい希望を描く、光満ちるコーラル』、『ジョリーコーラル(Jolly Coral)マンセル値10R.7/11.6』です。
30.現在、レンズメーターに用いられている基準波長で正しいのはどれか。
A.435.83nm
B.486.13nm
C.546.07nm
D.587.56nm
解答・・C
【解答】
屈折率は、測定する波長により異なります。1984年制定のISO7944 では、基準波長をヘリウムd線(587.56nm)及び水銀e線(546.07nm)の2種類が使用を認められておりました。
1991年4月に基準波長を水銀e線に統一する決議がなされ、日本国内では1998年1月以降、基準波長を水銀e線(546.07nm)にすることになりました。
レンズ素材の色収差の度合いを示す『アッベ数』もそれに準拠し、水銀e線基準のアッベ数に統一されました。
基準波長により定義が異なりので、ご参考に以下に示します。
① ヘリウムd線を基準波長とした場合のアッベ数(νd)は以下のようになります。
『νd=(nd-1) / (nF-nc)』
nd:ヘリウムd線(587.56nm)の屈折率
nF:水素F線(486.13nm)の屈折率
nc:水素C線(656.27nm)の屈折率
② 水銀e線を基準波長とした場合のアッベ数(νe)は以下のようになります。
『νe=(ne-1) / (nF’-nc’)』
ne:水銀e線(546.07nm)の屈折率
nF’:カドミウムF’線(479.99nm)の屈折率
nc’:カドミウムC’線(643.85nm)の屈折率
31.フレームサイズ 54□16、玉型最大径 56mm のフレームを用いて、下記のプリズム眼鏡を作製する場合、最低限必要なレンズ生地径で正しいのはどれか。ただし、レンズ光学中心は生地レンズの幾何学中心にあるものとし、レンズ生地径は加工上2mm の余裕を必要とする。【処方値】PD:64mm、R)S-4.00D 1.0ΔBI L)S-4.00D 1.0ΔBI
A.65mm
B.63mm
C.61mm
D.59mm
解答・・D
【解説】
プレンティスの公式から、1.0[Δ]÷4.00[D]=0.25[cm]
つまり、左右共に、光学中心が耳側に2.5mmズレた位置でそれぞれ1.0ΔBIになります。
よって、作製PDを5mm広げた69mmで眼鏡作製する事で左右それぞれ1.0ΔBIとなります。
その時の必要レンズ径を求めますと、
FPD-PD+最大径+2mm=(54+16)-(64+5)+56+2=59[mm]となります。
但し、偏心によるプリズム処方は球面設計のみで、非球面設計レンズでは特注品としてメーカー発注をしましょう。
32.屈折率 1.60、曲率半径 10.46 cm のプラスチック球面レンズのカーブ値と、実際の面屈折力の正しいのはどれか。
A.4 カーブ 面屈折力 4.59D
B.4 カーブ 面屈折力 5.35D
C.5 カーブ 面屈折力 5.74D
D.5 カーブ 面屈折力 6.69D
解答・・C
【解答】
面屈折力を求める公式『D=(n-1) / r』から、
D=(1.60-1)/0.1046≒5.7361[D] となります。
特に、Dカーブは、クラウンガラスの屈折率(n=1.523)を用います。つまり、Dカーブの公式は『Dカーブ=(1.523-1) / r』となりますので、
Dカーブ=(1.523-1) / r=0.523/0.1046=5カーブ となります。
因みに、4カーブの曲率半径は(1.523-1)/4=0.13075[m]となり、4カーブの面屈折率は(1.60-1)/0.13075≒4.5889[D]となりますので、問題文が仮に『屈折率1.60、曲率半径13.075cmのカーブ値と面屈折力は?』の場合には、正解はAとなります。
そもそもの公式を知らないと、引っ掛け問題にもなりませんね。
33.偏心加工について正しい組み合わせはどれか。
① レンズの光学中心を幾何学中心からずらすことを偏心と言う。
② 心取りのための偏心量は余裕を考慮しなければ必要最小径とレンズ直径の差となる。
③ 心取りのための偏心量をプリズムに換算して非球面レンズのプリズム注文を行った。
④ 球面レンズでのプリズム注文と偏心注文は結果的には同じことである。
A.①② B.②③ C.③④ D.①④
解答・・D
【解答】
選択肢②の偏心量は、必要最小径とレンズ直径の差を2で割った値です。
選択肢③については、レンズ径が足りなく加工できない場合には、拡大径の指定をするか、小さい玉型サイズへのご変更を提案してみましょう。
大枠での偏心は、必要以上にレンズが厚くなります。また、フレームの大きさが、お顔(心取り点間距離CD)に合っていないという可能性もあります。
34.パターン及びパターンレス加工機について誤っているのはどれか。
A.パターン加工機ではカーブ指定が出来る。
B.パターンレス加工機ではカーブ指定が出来る。
C.パターン加工機では型板中心が加工軸の中心となる。
D.パターンレス加工機では名称の通り型板(パターン)は必要でない。
解答・・D
【解説】
パターンレス加工機は、玉型データを直接加工機に送信して加工するものをいいます。近年の主流ですので、眼鏡作製従事者はご存知の通りです。
35.手摺り加工や特殊加工について誤っているのはどれか。
A.ガラスレンズでは鏡面加工が出来ない。
B.最新の加工機ではバフなしでも鏡面加工が出来る機種がある。
C.レンズの一部を不透明のすりガラス状に模様加工することをサンドブラスト加工と呼ぶ。
D.レンズコバを斜めにカットして鏡面仕上げをすることをファセット加工やダイヤカット加工と呼ぶ。
解答・・A
【解説】
ガラス素材で鏡面仕上げをする際には特に熱が発生します。濡らした耐水サンドペーパーなどで艶出しをすると良いです。
レンズコバの斜めカットは、『メッツ加工』や『コバカット』とも呼ばれます。
36.JIS T 7337 に基づくプリズム処方の無い単焦点レンズのプリズムインバランス(左右プリズム相対誤差)について誤っているのはどれか。
A.屈折力±3.37D までの水平成分の許容誤差は±0.67Δである。
B.屈折力±3.37D 以上の水平成分の許容誤差は±(0.15×S)Δである。
C.屈折力±5.00D までの垂直成分の許容誤差は±0.50Δである。
D.屈折力±5.00D 以上の垂直成分の許容誤差は±(0.1×S)Δである。
解答・・B
【解答】
選択肢Bで正しいのは、『屈折力±3.37D 以上の水平成分の許容誤差は±(0.2×S)Δ』です。
プリズム処方無しですので、以下の表で『プリズム成分の値、0.00以上2.00以下』の所をみます。
例として、プリズム無しの、左右レンズ度数が、
『S−4.00 C−1.00 Ax180』と『S−3.50 C−0.50 Ax180』
の場合の許容誤差を求めてみます。
先ずは、以下のようにスコア表記をします。
水平方向と垂直方向でそれぞれ、絶対値が大きい度数を識別します。水平方向では『4.00』、垂直方向では『5.00』です。
水平方向の屈折力は3.37Dより大きいので、水平成分プリズム許容差は、±(0.2×SMax)=±(0.2×4.00)=±0.8Δ となります。
垂直方向の屈折力は5.00D以下ですので、垂直成分のプリズム許容差は、±0.50Δ となります。
37.チタンろう付けの注意点で誤っているのはどれか。
A.高温(800℃以上)の過熱を避ける。
B.素材を赤くしてろうを溶けやすくする。
C.酸化被膜を取り除くチタン用フラックスを用いる。
D.直接ろうを流せないので、合金素材の補助棒を介してろうを流す。
解答・・B
【解説】
チタンは酸化されやすく、透明で堅固な酸化被膜を形成します。その為、耐食性があるのですが、ろう付けでは厄介です。
その為、チタン専用のフラックスを用いて、補助棒にてろうを差します。(『置きろう』という、ろう板を置いて付ける方法もあります。)
ローを流したい方の素材を高温にします。
因みに、チタンの酸化被膜は透明であり、加熱などにより酸化した被膜の厚みにより、赤や黄、青や紫などに見えます。
38.フィッティングの目的について、誤っているのはどれか。
A.光学的フィッティングでは、視線とレンズ光軸が一致するように調整する。
B.力学的フィッティングでは、過度の圧力を抑え摩擦力によって調整することが重要である。
C.解剖学的フィッティングでは、筋組織、血管、神経が少ない箇所の見極めが必要となる。
D.美観的フィッティングでは、美観に関わるリムに対しての瞳孔位置やフロントの傾き、装用時前傾角などを調整するが、角膜頂点間距離は美観的フィッティングには含まれない。
解答・・D
【解説】
角膜頂点間距離が近い場合、鼻が高く彫りが深く見え、暑苦しく感じられ易いです。
角膜頂点間距離が遠い場合、鼻が低く平坦に見え、間の抜けた表情に感じられ易いです。
39.光学的フィッティングについて、正しいのはどれか。
A.角膜頂点間距離が広がるほど歪曲収差も大きくなる。
B.注視野は、角膜頂点間距離が広がるほど大きくなる。
C.そり角は、左右フレームのなすフロント角で求めることが出来る。
D.装用時前傾角のズレは球面収差を発生させ、変化量はマーチンの式で求められる。
解答・・A
【解説】
選択肢C、そり角とは、視軸とレンズ光軸を一致させたとき、光軸に直交する左右レンズ面の成す角度をいいます。
つまり、レンズ基準の『そり角』と、フレーム基準の『フロント角』とは異なるという事です。
選択肢D、そもそも眼鏡レンズでの『球面収差』はあまり問題にはなりません。問題となる単色光収差は、『非点収差』と『歪曲収差(ディストーション)』です。
マーチンの式は、『非点収差』の補正効果変化を表す式です。以下の①式と、②式の2つです。
屈折率n、度数D[dtr]の球面レンズを、視線に対して角度θ°傾けた時のDt(メリジオナル断面屈折力)とDs(サジタル断面屈折力)は以下のように計算できます。
Dt=D×(1+(2n+1)/2n×sin2θ) ・・・①
Ds=D×(1+1/2n×sin2θ) ・・・②
非点収差(astigmatism) AS=Dt−Ds=D×sin2θ ・・・乱視
『マーチンの式』計算【例】
屈折率1.5、−4.00[D]、前傾角10°の場合
Dt=D×(1+(3+1)/3×sin210)=−4.161
Ds=D×(1+1/3×sin210)=−4.040
よって、『S−4.00』は、『S−4.04 C−0.12 Ax180』の屈折へと変化します。
『前傾角10°』で計算しましたが、もし仮に『そり角が10°』の場合には、『S−4.04 C−0.12 Ax90』へと変化します。
40.鼻の角度(片側)が 30゜、片側の鼻にかかる眼鏡の重量が 15g とする。片側の鼻の面に垂直にかかる力をビッセルスの公式を用いて計算した場合、正しいのはどれか。
A.15g
B.20g
C.25g
D.30g
解答・・D
【解説】
『重量FB』は、『パッドを広げようとする力Fz』と『鼻の面に垂直に掛かる力FN』に分解できます。
その関係性は、ビッセルスの公式『FN=FB/sinθ』として表せます。
θ=30°、FB=15gの場合
FN=15/sin30°=30gとなります。
以下の値は良く使用しますね。
sin30°=1/2、sin45°=√2/2、sin60°=√3/2、sin90°=1
cos60°=1/2、cos45°=√2/2、cos30°=√3/2、cos0°=1
平方根の語呂合わせです。
√2=1.41421356・・・(ひとよひとよにひとみごろ)
√3=1.7320508・・・(ひとなみにおごれや)
√5=2.2360679・・・(ふじさんろくおーむなく)
41.解剖学的フィッティングについて、正しいのはどれか。
A.パッドは、鼻骨と軟骨の両方で支えるようにする。
B.テンプルチップは、耳介後方下部の乳様突起には添わせないように調整をする。
C.鼻の側面には、血管や神経が走っているので、パッドで押さえるように調整する。
D.皮膚から分泌される汗や皮脂は、フレームとの接触面の摩擦係数が大きくなるように作用する。
解答・・B
【解説】
鼻パッドが軟骨に乗り圧迫しますと、呼吸の妨げや、軟骨の変形などにも繋がります。
鼻部周辺には、鼻根筋や鼻筋、皺眉筋、上唇鼻翼挙筋があります。
これらの筋肉で囲まれる、三角形の筋肉が無い箇所にパッドが乗るようにするのが望ましいです。
テンプルチップの調整は、耳介付根の下部のみが軽く触れるようにし、側頭骨に添わせ、耳介には触れず少し余裕を持って合わせるのが理想であり、耳介後方下部の乳様突起を避けるように先セルに逃がしを付ける調整が良いとされております。
選択肢D、摩擦係数には『静止摩擦係数』と『動摩擦係数』があります。摩擦力は以下の公式で表され、摩擦係数が大きいと摩擦力も大きくなります。
摩擦力 F[N]=摩擦係数[μ]×垂直抗力[N]
42.フレーム装用時の美的要素について、誤っているのはどれか。
A.黄金比とは、日本古来の建築にも用いられた比率。約 5:8。
B.白銀比とは、コピー用紙などにも用いられる比率。約 5:7。
C.眼鏡のフロント部の上下幅は、眉からあごまでの 1/3 程度を基準とする。
D.眼鏡のフロント部の横幅は、眉尻にかかる左右の鉛直線間の幅を基準とする。
解答・・ー
【解説】
日本古来の建築に用いられていたのは白銀比であり、大和比ともいいます。例えば、『金堂正面の幅』、『五重塔の庇(ひさし)』などがこの比率になっております。近似値は1:√2(約5:7)です。
黄金比の近似値は1:1.618(約5:8)であり、『サグラダ・ファミリア』や『パルテノン神殿』、『凱旋門』など・・この比率になっております。
選択肢CとD、美的要素での判断基準は曖昧です。装用状態での印象は変わりますが、何を望むのかによります。
黄金比と白銀比のそれぞれの関係性を考えます(下図参照)と、単純に間をとって良いのかは疑問があります。それぞれ独自の意味があり独立しており、中途半端になる気もします。
もし、そんなに厳密ではなく、その必要もなく、文化の違いや感性の違いという事で間をとって良いのであれば『約2:3』を1つの基準に出来そうです。
43.フィッティングの実務について、正しいのはどれか。
A.プラスチック材質は内部まで十分に温めるために、高温で短時間の加熱をする。
B.クリングスパッドの位置調整には、パッド調整用ヤットコを用いて位置と角度を同時修正する。
C.角膜頂点間距離に左右差があるケースでは、テンプルの開き幅の調整が左右アンバランスなことが原因のひとつに考えられる。
D.テンプルの開き幅の調整では、こめかみ部分の接触は強めにして、耳より 1/3 程度の部分で接触させ、後頭部方向へカーブをつける。
解答・・C
【解説】
プラスチック素材は徐々に固くなり、変質していきます。
素材が製造後初期の柔らかい状態では、加熱せずとも、概ね芯金もありますので固定されますし、曲がりますし、一時的には調整できたかのようになります。
ただし、熱可塑性樹脂であるプラスチック素材は、温める事で軟化し、冷える事で硬化します。熱を内部まで十分に温めないままでの調整は、素材が元に戻ろうとしてしまいます。
選択肢B、パッド調整用ヤットコは『パッド面の角度』、クリングス位置の調整は『先細ヤットコ』を使用します。
パッド調整用ヤットコで位置調整をしますと、クリングス根元から全体が動きやすく、折れやすくなります。場合によっては、指でクリングスを支持しながら位置調整せざるを得ない事もありますが、基本は位置調整と角度の調整は同時に行わず、工具を分けましょう。
選択肢D、こめかみ部分の接触を強めにしますと、側頭動脈を圧迫するだけではなく、眼鏡が前に押し出されるような力も発生します。
44.累進レンズの遠用ビジュアルポイントを正しく合わせたうえで、近用の心取りをミラー法で確認したところ、装用者の瞳孔中心とレンズの近用参照部の位置関係は、瞳孔が左右とも上方にあった。この時の対処として、もっとも正しいのはどれか。
A.装用時前傾角を小さくする。
B.角膜頂点間距離を狭くする。
C.累進帯長の長いレンズに変更する。
D.顎を少し引いて近方視するように指導する。
解答・・A
【解説】
ミラー法では、以下のような状態での確認になります。
但し、ミラー法は不確定で曖昧な要素を含んでいる事に注意が必要となります。
ミラー法は、被検者の前に〇印が付いた鏡を置き(作業距離に合わせて)、近用アイポイントを通して〇印を注視してもらい、鏡に写る近方視線を確認します。
被検者と正対しないといけません。また、アイポイントシールが水平に貼られている事などが前提条件となります。
また、作業距離が正確でなくてはなりません。
作業距離が『勘違い』や『思い違い』などで変わりますと、近方視線の位置もズレます。
問題文中では、瞳孔の位置が『左右とも上方』との事ですが、『真上』なのか『外側』か『内側』かでもその対処法は変わります。
何も考えず、上図のような状態とします。
選択肢A以外は、より視線がズレる事になります。
以下に、『頂点間距離』と『前傾角』の違いによる近方視線を示しますので、頭の中でイメージしてみましょう。
調整による視線合わせは、頂点間距離の違いによる『視野』や『歪み』、『下方回旋量』なども変化します。
『頂点間距離』や『前傾角』の他にも、『そり角』や『作業距離』でも近方視線は変わります。
また、内や外方向、上下方向の斜位や斜視がある場合には近方視線が合わせづらくなります。
45.最終フィッティング(納品時)について、誤っているのはどれか。
A.遠用単焦点レンズでは、ミラー法による確認は重要である。
B.光学的な確認の前に、顧客が望む装用位置となっているかも含めた美観的な確認をおこなう。
C.顧客の要望による全体のきつめ・緩めの調整は、テンプルチップの抱き込み具合で調整する。
D.力学的には安定固定するチカラをチェックするが、全体でどれだけとなっているかも重要だが、左右のバランスを整えることが最終目標となる。
解答・・A
【解説】
選択肢A、ミラー法は近方視線の確認をする方法ですので、遠用単焦点レンズでは必要ありません。
フィッテングの要素は主に、『光学的』『力学的』『解剖学的』『美観的』があります。
プレフィッテングの時点でそれらの要素は、可能な範囲で完成していないといけません。
『プレフィッテング』で眼鏡調整がしっかりできていれば、『最終フィッテング』ではそれらの確認と微調整が最小限で済みます。左右でのバランスを整える作業に集中できます。
46.個人情報保護法について、誤っているのはどれか。
A.商品発送などの発送伝票に指名・住所等を記載してもらう場合は、利用目的の公表や、本人への通知は必要ない。
B.個人情報とは、生存する個人に関する情報、すなわち、個人が特定できるもののことである。
C.個人情報を利用する際は、できるだけ具体的な利用目的を特定する必要がある。
D.個人情報を第三者に提供する場合、原則として本人の同意は必要ない。
解答・・D
【解説】
個人情報保護法の正式名称は『個人情報の保護に関する法律』です。
当初は、5,000人を超える個人情報を有している企業や事業者のみが対象でしたが、改正が2015年9月に公布され、2017年5月に施行されたことにより、全ての企業や事業者が対象となりました。
個人情報を第三者に提供した場合やされた場合には、3年間の記録・保存が必要となります。
また、個人情報について、立入検査や指導・助言、勧告や命令に従わない場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科されることもあります。
47.薬機法について、正しいのはどれか。
A.高度管理医療機器の販売・賃貸業は許可制となっている。
B.薬機法では、眼鏡とコンタクトレンズの販売業は届出制となっている。
C.カラーコンタクトレンズは雑貨品扱いのため、薬機法による承認は必要とされない。
D.補聴器は管理医療機器に区分され、営業所の所在地の都道府県知事への許可制となって
いる。
解答・・A
【解説】
薬機法の正式名称は『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律』です。
以前は『薬事法』と呼ばれておりましたが、2014年の法改正により略称が変わりました。
- 眼鏡用レンズ、聴診器など・・『一般医療機器』
- 極低リスク
- 国際分類、クラスⅠ
- 『届出』『許可』は不要となります。
- 補聴器、血圧計など・・『管理医療機器』
- 低リスク
- 国際分類、クラスⅡ
- 都道府県知事への『届出』が必要となります。
- コンタクトレンズ、埋込型心臓ペースメーカーなど・・『高度管理医療機器』
- 高・中リスク
- 国際分類、クラスⅢ・Ⅳ
- 厚生労働大臣の『許可』が必要となります。
48.眼鏡処方箋を持参して眼鏡作製に来店したお客様への対応として、正しいのはどれか。
A.処方箋通りの度では見にくいとの訴えがあったので、度を変更して作製した。
B.処方箋は遠用のみであったが、お客様が遠近両用を希望したために、遠近両用で作製した。
C.処方箋通りの度では見にくいとの訴えがあったので、眼鏡を作製せず、再度眼科受診するように伝えた。
D.処方箋通りの度では見にくいとの訴えがあったが、眼科には連絡せずに、処方箋通りの眼鏡を作製した。
解答・・C
【解説】
『眼の状態を診断する目的』での視力測定は『医行為』である為、眼鏡店では禁止されております。
ただし、眼鏡作製する為に『見え方の確認』を目的とする場合には、視力測定は『容認されるという解釈』がされるようになりました。
正直、意味がわかりません。法律の抜け穴のような印象を受けます。
以前から長い間、眼鏡技術者と眼科医との間には、意見の相違があるからでしょうか。国家資格化されましたが、業務独占ではなく名称独占であり、何だかんだで未だはっきりしません。眼科専門医との連携は言葉だけのように感じます。
因みに、眼鏡技術者側の意見は、『以前から眼鏡店で検眼が行われ、眼鏡作製がされている現状を追認して欲しい』という事です。
眼科医側の主張は、『検眼は医行為であり、眼鏡店で見えにくさが改善してしまうと、本来、治療が必要な人の医療機関への受診する機会を逃してしまう。治療されずに放置されてしまうことが問題だ』という事です。
眼鏡の国家資格化での重要課題は、治療が必要かどうかの見極めがしっかりできる医学的知識を有する眼鏡士を育成する事だと感じます。
ただし、それにもそれ相応の責任と問題があります。誤診による賠償責任などです。
49.4カ月前に眼鏡を作製した 10 歳の児童が、学校が発行した受診勧奨用紙を持って、眼鏡の更新を希望して再来店した場合の対応として、正しいのはどれか。
A.眼鏡レンズを交換、更新し、顧客に納品する際には、受診勧奨用紙に視力、矯正視力の結果を記載し、該当する屈折病名を選び、コメント欄に「必ず眼科を受診する事」と添えて店名のみを記入して保護者に手渡さなければならない。
B.4か月後の更新であるため、問診は必要だが、AC/A 比やアイポイントはほとんど変化しないため測定する必要はない。
C.4カ月で眼鏡を更新する場合は、わずかでもアイポイントの変化に応じてフレームも更新しなければならない。
D.再来店したときに、10 歳の児童であること、受診勧奨用紙を持参していることから、眼科受診を勧める。
解答・・D
【解説】
選択肢A、屈折病名を選ぶことは診断に該当します。
選択肢B、AC/A 比という、調節性輻輳の比率は生涯ほぼ固定ではありますが、それ以外は固定ではありません。視力測定をしましょう。
選択肢C、わずかなアイポイントの変化で枠を変えないといけないのであれば、初めの枠はどう選んだら良いのでしょうか。
50.最近物がダブって見えるために眼鏡を作りに来店したお客様への対応として、正しいのはどれか。
A.両眼視検査を行い、外斜視と診断し、眼科受診を勧めた。
B.両眼視検査を行い、外斜視と診断し、脳外科受診を勧めた。
C.プリズム眼鏡にて複視の症状がとれるため、プリズム眼鏡を作製した。
D.「急に物がダブって見えるようになった場合には、病気の可能性もある」と説明して、まず眼科受診をするように勧めた。
解答・・D
【解説】
『診断』は医療行為に該当しますので、行ってはいけません。
『近視』、『遠視』、『乱視』、『調節障害』という判断を眼鏡店でする事も、医師法上では禁止されております。
厚生労働省医政局長通知(医政発第0726005号、2005年)を参照。
しかしながら、これらの言葉は、お客様から『近視ですか?』や『乱視ですか?』などと日常的に飛び交います。
測定をした上で、しっかりとした根拠があるのにも関わらず、『近視です。』や『乱視があります。』と言えないのは、とてもナンセンスです。
では、眼科では、どのように『近視』、『乱視』などと判断しているのかといいますと、眼鏡店と殆ど変わりません。とても残念です。
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