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望遠鏡などの場合なら無限遠方が見えるの?
真空状態の屈折率は1.0と学校で習いましたが、空気がある所の屈折率は1.0ではなく、微妙な変化が常にあります。気温やジェット気流などの理由も加わり、大気は揺らいで見えます。その結果、無限遠方は見る事ができません。
望遠鏡などで天体観測する時には、大気の揺らぎ(シンチレーション)が邪魔になります。
どんよりした日は気流が穏やかで大気の揺らぎが少ないといわれております。逆に、良く晴れた日は、雲が無く大気が安定していない為に大気が揺らぎ、シーイングが悪いです。
水平線までの距離は何キロなの?
地球の半径を6370㎞として、身長170cmとした場合はおよそ4. 65㎞先の距離となります。以外と近いですね。
東京スカイツリーの展望台(450m)では75.7㎞先となります。
遠く離れるほど、シーイングが悪くなります。
天体なら別ですけど、地上では、限りなく遠い距離を見ようとしても限界があり有限になります。
視力2.0ってどの位の見え方なの?
視力1.0とは、5m先の直径7.5mmの輪の切れ目1.5mm(Landolt環)がわかるかどうかの最小分離閾です。
視力1.5では直径5mmの切れ目が0.1mm、視力2.0では直径3.75mmの切れ目が0.75mmの正答が5分の3以上となります。
視力(形態覚)の種類は、
- 最小分離閾・・・2つの点、又は2つの線が分離して見分けられる
- 最小可読閾・・・文字の判読が出来る
- 最小視認閾・・・1つの点、又は1つの線の存在がわかる
- 副尺視力・・・線のズレがわかる
・・・などがあります。
視力の表し方は、
- 小数視力
- 分数視力
- logMAR視力(Logarithm of Minimum Angle of Resolution)
・・・などがあります。
小数視力で1.0とは、全体が視角5分の大きさの、太さと間隔1分を見分ける事ができる力としています。そして、視力を視角の逆数で表します。日本でお馴染みの『0.1』や『0.2』という表記です。
視力=1 / 視角[分]
分数視力『20/20』や『6/6』とは、小数視力1.0の事です。
検査距離の20フィート(約6m10cm)や、6フィート(約183cm)を分子で表す表記法です。アメリカやヨーロッパで使われています。(1フィートは30. 48cmです。フィートは足(フット)の大きさに由来する身体尺というから驚きですね。日本だとちょっと大きめ・・・)
小数視力を分数視力で表した例をいくつか挙げますと、小数視力0.5は『20/40』や『6/12』と表記し、小数視力0.1は『20/200』や『6/60』と表記します。
logMAR視力は少し特殊です。小数視力や分数視力のように、視角の逆数では表しません。算術的な解析の為に用いられるものです。
例えば『視力0.1と0.2』の差も、『視力0.9と1.0』の差も、数字的には同じ0.1でも各段階の間隔が均一ではなく等価ではありません。0.9と1. 0の差の方が小さいです。下のLandolt環を見てみると、確かに0.9と1.0の差の方が小さい感じしませんか?
例えば、地上にある4㎞先の物体を見た時の輪の切れ目で考えると、大きさ3.75×4000÷5=3000[mm]、つまり直径3mの大きさの輪っか切れている方向がわかるのが視力2.0です。
弱度の遠視
弱度の遠視の人は無調節状態での焦点が眼後にありますので、遠くを見る時には、調節する事で網膜にピントを合わせています。更に調節する事で手前にピントが合うようになります。
その間で、理論上は無限遠方にピントが合う瞬間が必ずありますよね。でも実際は視力2.0でも、大気の揺らぎ(シンチレーション)などにより無限遠方は見えないのです。
この大気の揺らぎのようなものは、眼の中(角膜や水晶体など)でも起こるとされております。
大気の揺らぎを解決する補償光学
大気の揺らぎをリアルタイムで補正して光学機器本来の性能を発揮できるようにした技術が補償光学と呼ばれるものです。
元々、補償光学装置は軍事目的に開発されたものです。補償光学装置は地上の望遠鏡でも回析限界に近い分解能を得る事が出来ます。
イメージとして、揺らいだ波面を制御装置などにより、補正された波面に変換して送り出すようなものです。
これらの技術などにより、鮮明な眼底像を得る事が出来ています。
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