ブルーライトカットのレンズを再度考えよう

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

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『ブルーライトカットのレンズ』が2011年頃に話題となり十数年も経ちますが、未だに勘違いされている方が多く感じます。

最近、たまたま多いだけだとは思いますが、一ヶ月以内に同じ事を何回も尋ねられます。

『ブルーライトはカットした方が眼に良いんでしょ?』

『眼が疲れるからブルーライトをカットしたい!』

などです。

どこかで、そのような情報が流れたのかもしれません。

結論から申し上げますと、『良いとも悪いとも言えませんし、眼精疲労軽減の効果も分かりません』です。

科学的根拠がありませんので、そう言わざるを得ません。

そもそも、ブルーライト(青色光)とは波長 380nm~495nm の光であり、可視光線の波長領域(約380nm~780nm)にも含まれております。

光の基礎知識

光は電磁波の一種であり、可視光線と呼ばれる範囲(約380nm~780nm)の波長では『光』として知覚する事ができます。

更には、波長の違いにより、色相の違いとして知覚する事もできます。

プリズムレンズによる色分散

例えば、光の三原色である『Red』『Green』『Blue』が加法混色されると、『白色』になります。

白く見える物体は、RGBが全て反射されており、
黒く見える物体は、RGBが反射されずに吸収されている状態です。

また、明所と暗所では比視感度も異なります。

明所視と暗所視では、働く視細胞の箇所が異なるためです。

暗所では、赤色よりも青色の方が鮮やかに明るく見えますが、これを『プルキニエ現象』といいます。

ブルーライトの正体

ブルーライト(青色光)が、380nm~495nm 波長である以上、カットされたレンズでは『黄色く見え』、『青い反射』があります。

見え方も黄色く変わりますし、見栄えも青く反射する事で変わります。

変わらない『ブルーライトカットレンズ』はありませんし、カット率が低いものだと考えられます。

また、

ブルーライトが、LED液晶画面から特に多く発せられているという事もありません。

そうであれば、画面の色味バランスが悪く、青く見える筈です。

LED照明にも当然含まれており、むしろ、青空や海の方がブルーライト(青色光)が多く含まれているといえます。

眼精疲労

ブルーライトで目が疲れるのであれば、青空を眺めていると眼が疲れるという事になります。

パソコン作業での眼精疲労の原因は、ブルーライトによるものというよりも、調節による割合の方が高いのではないかと考えられます。

ブルーライトがカットされたレンズによりLED液晶画面がクッキリ見えやすく感じたとしても、眼精疲労の軽減とイコールとはなりません。

近方視による、輻輳過剰や輻輳不全、眼位異常や調節異常もあるかもしれません。

特に画面が眩しく感じられるのであれば、角膜混濁や虹彩異常、網膜錐体異常などの眼疾患なども考えられます。

2021年4月に発表された日本眼科学会では、

『小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません』・・・とあります。

しかし、

『小児が長時間近くを見ていても、ブルーライトをカットすれば大丈夫というのは誤りだ』とする意図は伝わりますが、『発育への悪影響』とする根拠がありません

生体リズムへの影響

ブルーライトを浴びる事で『セロトニン』が生成され、身体が目覚めてしまうという事があります。

夜間にもブルーライトを浴びてしまうと、睡眠障害が起こり、体内時計に影響があるといわれます。

それは事実として、ブルーライトを浴びる事で身体が目覚めるのであれば、日中にブルーライトをカットしても良いものなのでしょうか。

夜だと勘違いし、眠気に襲われないのでしょうか。

完全にブルーライトをカットしている訳ではなく、補助的なものだと考えると影響は殆どないものだと考えられますが、その理論では日中のブルーライトカットは避けた方が良さそうです。

生活リズムを整え、夜の決まった時間帯に寝たい場合には照明自体を少し暗くし、ブルーライトカット眼鏡を使用するのも良いです。

逆に、夜にどうしても頑張らなくてはならない場合には使用を控えた方が良さそうです。

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