第51回午後、視能訓練士国家試験の解答と解説➋

眼鏡作製技能士向けの問題

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どんな記憶でも、他の認知作業の干渉により一旦は意識から消えてしまいます

仕方がないことです。

しかし、『記憶の定着』を行う為には
時間と共に減衰していく記憶情報の中から、
定期的に保持情報を取り出す『検索練習』が欠かせません。

そして、まとめて一気にやる『集中学習』ではなく、
分散的に『反復学習』をすることで『記憶形成』が成されます。

誰の言葉かは忘れましたが、
『成功するかしないかの分岐は、純粋な忍耐力である』
ということですね。

息抜きも大切です。

失敗とは『心が完全に諦めた時』
心が死んだ時こそが失敗であると思うべき
です。

『失敗が人生の終了』だとは思わない事こそが良い結果に繋がります。

『失敗は経験』です。
出来ない事や理由よりも、出来る事や理由を考えましょう。

『どこで獲得した記憶なのか』を忘れたとしても、
私のブログが一助になれば幸いです。

問10.点眼について正しいのはどれか。

  1.  点眼後に瞬目させる。
  2.  点眼薬は涙腺から吸収される。
  3.  点眼瓶の先端を結膜に接触させる。
  4.  角膜上皮びらんがあると眼内移行が増加する。
  5.  2種類の点眼薬を用いる場合は5秒間の間隔をあける。

正解・・4

⦿ 主涙腺、副涙腺(Wolfring腺、Krause腺)は、涙を分泌する器官です。

⦿ 点眼薬は主に角膜から吸収されますので、瞬目により涙点か鼻腔、咽頭部へと流れ出てしまいますと効果が薄れてしまいます。

⦿ 点眼液の汚染を防ぐ為、点眼瓶の先端を結膜や睫毛に触れないように注意します。

⦿ 結膜嚢の最大保持容量は約30μℓであり、一般的な点眼薬1滴は30 ~50μℓです。それを超える量は眼外へと溢れ出てしまいます。

⦿ 眼表面の涙液全体が入れ替わる時間は約5分とされております。

⦿ 2種類以上の点眼薬を用いる場合には、粘性の低いものから(例:点眼、懸濁液、軟膏の順番)点眼します。

  • 点眼液の経路
    • 涙点経由・・涙点から排出し、全身循環へ移行。
    • 結膜経由・・結膜や眼瞼の脈管系から全身循環へ移行。
    • 角膜経由・・眼球内部から後部へ移行。
      • 角膜上皮から、角膜実質、角膜内皮へ浸透し、虹彩、水晶体へと到達します。
      • 虹彩の根部から、毛様体、脈絡膜、視神経乳頭部へと到達します。
      • 通常、角膜を透過し、眼内(房水中)に移行する量は少なく、初期の濃度1%程度です。

問11.眼心臓反射の治療薬はどれか。

  1.  β 遮断薬
  2.  浸透圧性利尿薬
  3.  アトロピン硫酸塩
  4.  炭酸脱水酵素阻害薬
  5.  副腎皮質ステロイド薬

正解・・3

⦿ 眼心臓反射・・眼球付近の手術をする際、眼球付近を走る三叉神経(眼神経、顎神経、下顎神経)への刺激から迷走神経(副交感神経)への影響により、心臓への徐脈や不整脈、場合により心停止を起こす反射です。

⦿ 眼心臓反射の治療薬には、副交感神経の活動を抑える抗コリン作用のある『アトロピン硫酸塩』を使用します。

問12.基底外方 4 Δ、基底上方 3 Δのプリズムの合成系(Δ)で正しいのはどれか。

  1.  2
  2.  3
  3.  4
  4.  5
  5.  6

正解・・4

⦿ 三平方の定理・・2辺の長さをaとb、斜辺の長さをbとする直角三角形において【 a2+b2=c2が成り立ちます。

よって、プリズム合成は、√42+√32=√16+√9=√25=5[Δ]となります。

因みに、角度はtanθ=3/4から、θ=tan-1(3/4)≒36.870°となります。
右眼:5Δ B36.87°、もしくは、左眼:5Δ B163.13°

問13.+0.50D cyl−2.00D 180°の前焦線の位置[D]で正しいのはどれか。

  1.  −1.50
  2.  −1.00
  3.  −0.50
  4.  ±0.00
  5.  +0.50

正解・・1

個人的には、このレンズ自体の前焦線の度数は『+0.50D』だと考えます。

スコア表示、前焦線と後焦線

このレンズで補正される眼の屈折異常要素『S−0.50 C+2.00 Ax180°』だとしても、強主経線は『+1.50D』、弱主経線は『−0.50D』となります。

問14.眼鏡倍率について正しいのはどれか。

  1.  物体からレンズまでの距離とレンズから像までの距離の比である。
  2.  屈折矯正下の網膜像の大きさと標準的な網膜像の大きさの比である。
  3.  屈折矯正下の瞳孔径の大きさと標準的な瞳孔径の大きさの比である。
  4.  屈折矯正下の網膜像の大きさと非屈折矯正下の網膜像の大きさの比である。
  5.  屈折矯正下の瞳孔径の大きさと非屈折矯正下の瞳孔径の大きさの比である。

正解・・4

⦿ 眼鏡倍率(spectacle magnification:SM)・・裸眼時の網膜像に対する、眼鏡装用時の網膜像の大きさの割合をいいます。

特に、標準的な網膜像と、眼鏡装用時の網膜像との大きさの比を『相対眼鏡倍率』といいます。

S.M.が1以上では拡大、1未満では縮小を意味します。

眼鏡倍率
  • Mp・・装用距離やレンズ度数による要因
  • Ms・・レンズ厚などの形状による要因

問15.近赤外線領域の波長を用いないのはどれか。

  1.  OCT
  2.  光学式眼軸長測定
  3.  無散瞳眼底カメラ
  4.  オートレフラクトメータ
  5.  フルオレセイン蛍光眼底造影

正解・・5

フルオレセイン蛍光眼底造影では青色光を用い、インドシニアグリーン蛍光眼底造影では近赤外線領域を用います。

⦿ 光干渉断層計(OCT)・・近赤外線を照射し、網膜を断層像で観察する検査

⦿ 光学式眼軸長測定・・涙液表面から網膜色素上皮までの視軸を測定することができます。

光軸での測定(角膜表面から内境界膜)には『Aモード超音波検査法』があります。

⦿ 無散瞳眼底カメラも、オートレフラクトメーターも、観察光に近赤外線光を使用し、赤外線ビデオカメラにて映像を観察します。

問16.Goldmann 視野計の背面レバーの図(別冊No. 1)を別に示す。レバーをこの状態に設定したときに、加入した ND フィルタ[dB]と視標輝度[asb]の組合せで正しいのはどれか。

  1.   0 dB 1,000 asb
  2.   2 dB 630 asb
  3.   5 dB 315 asb
  4.  10 dB 100 asb
  5.  20 dB 10 asb

正解・・1

視野計 ゴールドマン型ペリメーターの背面レバーは以下の通りです。

⦿ 視標輝度1000[asb]を、減光フィルターにて60段階の切換が可能です。
a b c d e・・0.40、0.50、0.63、0.80、1.00、の5段階
1 2 3 4・・0.0315、0.10、0.315、1.00、の4段階
=- ・・0.0001、0.01、1.00、の3段階

背面レバーの図では、レバーが全て右側にあり、『e』『4』『』の組み合わせですので、1000[asb]×1.00×1.00×1.00=1000[asb]となります。

更に、レバーが全て右側にありますので、『0dB』となります。

⦿ 視標面積[mm2]の切換は6段階です。
0ⅠⅡⅢⅣⅤ・・1/16、1/4、1、4、16、64

洗浄

問17.健常者で測定した暗順応検査の結果(別冊No. 2)を別に示す。前明順応を行わないで測定した暗順応曲線の結果はどれか。

  1.  ①
  2.  ②
  3.  ③
  4.  ④
  5.  ⑤

正解・・3

⦿ 暗順応(Dark adaptation)・・明所視から暗所視への時間的移行プロセスを暗順応と定義しております。

⦿ ほぼ完全に暗順応するのに要する時間は約10分、明順応では1~2分とされております。

⦿ 明順応は、光が当たると直ちに起こる視物質(ロドプシン=オプシンとレチナール)の褪色、暗順応は、褪色により失われた感受性を再び回復させる再合成によると考えられております。

錐体細胞に存在する視物質・・フォトプシン
杆体細胞に存在する視物質・・ロドプシン

⦿ 通常の暗順応曲線では、先行して明順応をさせてから、暗順応の過程を調べます。

暗順応の過程は、網膜色素変性症、小口病、白点状網膜症、ビタミンA欠乏症などの夜盲症により異なります。

問題文のように、前明順応を行わない場合には、第一次曲線が測定されずに、第二次曲線の波形が観測される筈です。

Kohlrausch(コールラウシュ)の屈曲点

問18.低照度下で増大するのはどれか。2つ選べ。

  1.  球面収差
  2.  光覚閾値
  3.  青色の比視感度
  4.  限界フリッカ値
  5.  コントラスト感度

正解・・1、3

低照度下では、瞳孔径が大きくなりますので球面収差が増大します。

また、錐体から杆体の働きに切り替わりますので、青色の比視感度が増大します。(プルキンエ現象)

問19.眼球運動に関する法則でないのはどれか。

  1.  Donders の法則
  2.  Hering の法則
  3.  Imbert-Fick の法則
  4.  Listing の法則
  5.  Sherrington の法則

正解・・3

  • 眼球運動に関する法則
    • 第3眼位に関連・・Donders の法則、Listing の法則
    • 外眼筋の神経支配に関連・・Sherrington の法則(ともひき筋)、Hering の法則(ともむき筋)

⦿ Imbert-Fick(インバート・フィック)の法則・・眼圧計の眼圧測定時、液体で満たされた無限に薄い膜の球内圧力は、角膜表面を平面にする為に必要となる圧力とほぼ近似できる。

但し、実際の角膜厚は無視できる程に薄くはありませんので、この法則には当てはまりません。

しかし、近年の非接触型眼圧計では、角膜生体力学を考慮した眼圧補正が行われております。

⦿ Donders(ドンデルス)の法則・・ある第3眼位に到達する為に関与したねじり運動の量は、眼球がどのようにその斜め眼位に到達したかに関係なく一定である。

⦿ Listing(リスティング)の法則・・第1眼位から第3眼位へのどんな眼球回転でも、眼位に直交する平面(Listingの平面)の単一斜軸のまわりに生じる眼球回転で説明される。

Listing平面上にある軸周りを1回転で得られますので、『水平、垂直、回旋』の3Dから、『水平、垂直』の2Dの単一回転とした平面として表すことが出来ます。

Listingの法則では、第一眼位と第三眼位での補正乱視軸の相違が考えられます。

⦿ Hering(へリング)の法則・・両眼筋は同じ神経分岐支配を受けているため、一眼のみを他眼と無関係に動かすことは出来ないという法則。ともむき筋。

例えば、両眼性の向き運動では、カメレオンのように左右別々に動かす事はできません。

⦿ Sherrington(セエリントン)の相関神経交配法則・・筋収縮に作用する神経刺激を1つの筋が受け取る時には、その拮抗筋は同時に弛緩作用する刺激を受け取るという法則。ともひき筋。

問20~問75は、後半に続く・・

文字が多く画像が少ないブログですが、是非、次回を楽しみにしてくれたら嬉しいです。

コメントくれたら一層の励みになります。
よろしくお願いします。

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