第46回午後、視能訓練士国家試験の解答と解説

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

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1.上眼窩裂を通過するのはどれか。2つ選べ。

  1. 眼神経
  2. 眼動脈
  3. 顔面神経
  4. 前庭神経
  5. 外転神経

正解・・1、5

眼窩と頭蓋内を結ぶ穴は、上眼窩裂、視神経管、下眼窩裂があります。

上眼窩裂、視神経管、下眼窩裂

上眼窩裂を通るものは、動眼神経(Ⅲ)、滑車神経(Ⅳ)、三叉神経第1枝(Ⅴ1)の眼神経、外転神経(Ⅵ)、上眼静脈。

視神経管を通るものは、視神経、眼動脈。下眼窩裂を通るものは、三叉神経第2枝(Ⅴ2)の眼窩下神経、眼窩下動静脈。

2.診療情報の開示が許される状況はどれか。

  1. 同僚との噂話
  2. 家族内での会話
  3. 患者からの請求時
  4. ソーシャルネットワーク
  5. 患者名のみを秘匿しての開示

正解・・3

「診療情報」とは、診療の過程で、患者の身体状況、病状、治療等について、医療従事者が知り得た情報をいいます。「診療情報の提供」は、口頭による説明、説明文書の交付、診療記録の開示等具体的な状況に即した適切な方法により、患者等に対して行われなければなりません。

「診療記録」とは、診療録、処方箋、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約その他の診療の過程で患者の身体状況、病状、治療等について作成、記録又は保存された書類、画像等の記録をいいます。「診療記録の開示」とは、患者等の求めに応じ、診療記録を閲覧に供すること又は診療記録の写しを交付することをいいます。

第三者の利益を害するおそれがある場合や、患者本人の心身の状況を著しく損なうおそれがある場合には、診療情報の提供を拒み得ることもあります。

3.神経伝達物質でないのはどれか。

  1. ドパミン
  2. セロトニン
  3. アドレナリン
  4. アセチルコリン
  5. テストステロン

正解・・5

テストステロンは、男性の性的特徴(骨格や筋肉、体毛など)の発達を刺激するステロイド性ホルモンです。

4 平衡機能に関与しないのはどれか。

  1. 眼 球
  2. 小 脳
  3. 中 耳
  4. 耳石器
  5. 三半規管

正解・・3

中耳は、鼓膜から伝わる振動を耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)を経由し内耳へと増幅して伝える働きがあります。

平衡感覚は中耳ではなく内耳にあり、三半規管(回転、平衡感覚)、前庭(傾き)、蝸牛(聴覚)から成ります。

外耳、中耳、内耳

5.中心窩に存在するのはどれか。

  1. 視細胞
  2. 双極細胞
  3. 水平細胞
  4. アマクリン細胞
  5. 網膜神経節細胞

正解・・1

双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞は、内顆粒層にあります。

中心窩の構造

視細胞の核は外顆粒層にあります。視細胞層には錐体(cone)と杆体(rod)があります。

6.ボツリヌス毒素の薬理作用はどれか。

  1. 鎮痛作用
  2. 局所麻酔作用
  3. 抗てんかん作用
  4. 交感神経遮断作用
  5. 神経筋接合部伝達阻害作用

正解・・5

ボツリヌス(Botulism:ラテン語のソーセージ Botulusに由来)の菌は毒素の抗原性によりA~Gの7型に分類されます。ヒトのボツリヌス中毒はA、B、E、F型菌により起こり、日本では主にE型菌が食中毒の原因細菌となります。

ボツリヌス毒素は、神経筋接合部でアセチルコリンの放出を阻害するため、筋肉の収縮が抑制されます。アセチルコリンは、筋肉を動かすときにアセチルコリン受容体に結合することで筋肉を収縮させる作用があります。

7.身体障害者認定基準において周辺視野の測定に用いられる視標はどれか。

  1. V/4
  2. I/4
  3. I/3
  4. I/2
  5. I/1

正解・・2

周辺視野では明るいⅠ/4 いちのよん視標、中心視野では暗いⅠ/2 いちのに視標が用いられます。Ⅰ(小)~Ⅴ(大)は光源の大きさ、1(暗)~4(明)は明るさを示します。

8.小児の正常な発達で正しいのはどれか。

  1. 6か月で追視をする。
  2. 7か月で首がすわる。
  3. 9か月で寝返りをうつ。
  4. 11 か月でつたい歩きをする。
  5. 1歳でボールを蹴る。

正解・・4

追視は2ヶ月、首がすわるのは3~4ヶ月、寝返りは5~6ヶ月、7~8ヶ月でおすわりやハイハイなどの粗大運動がみられます。

両眼視の発達では、大きな視物の固視は生後1週間で可能、中心窩固視は生後6ヶ月位、調節は生後3~4ヶ月位、眼球運動は生後4~6ヶ月位、離反運動は生後1ヶ月~6ヶ月、両眼視に必要となる条件は生後6ヶ月位までには整い、それらを使うことで洗練かつ強固になり、正常な両眼視により正確な遠近感が生まれる。このような立体視は生後5歳~8歳位までに完成するといわれています。

9.自動体外式除細動器AEDについて正しいのはどれか。

  1. 医師の指示が必要である。
  2. 電極パッドは皮膚に密着させる。
  3. 8歳未満の小児には使用できない。
  4. 電気ショック中も胸骨圧迫は継続する。
  5. 電気ショックを行えるのは1回のみである。

正解・・2

自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator:AED)は、自動音声の案内に従い使用できるため医師の指示なしで使用できます。心停止の際には、救助隊が現場到着する前に一分でも早くAEDを使用することで救命率を大幅に上げることができます。

AED(自動体外式除細動器)

AEDは、静止した心臓を電気ショックで再起動させるものではなく、電気ショックにで一時静止させることで正常な拍動の再開を促すものである。胸骨圧迫は、自動的に拍動が再開しない場合には行うよう音声指示が流れます。もしくは、AED機器が心室細動ではないと診断した場合に除細動を行わず胸骨圧迫を行う音声指示が流れます。

10.対光反射の中枢があるのはどれか。

  1. 視 床
  2. 中 脳
  3. 小 脳
  4. 延 髄

正解・・2

対光反射は中脳に直接投射される非膝状体系視覚路で処理されるため、対光反応ではなく対光反射というのが適当。

動眼神経(Ⅲ)、滑車神経(Ⅳ)は、中脳から発生しています。

三叉神経(Ⅴ)、外転神経(Ⅵ)、顔面神経(Ⅶ)、内耳神経(Ⅷ)は、橋から発生。

舌咽神経(Ⅸ)、迷走神経(Ⅹ)、副神経(Ⅺ)、舌下神経(Ⅻ)は、延髄から発生。

11.ERGが確定診断に有用なのはどれか。

  1. 白内障
  2. 緑内障
  3. 視神経炎
  4. 網膜色素変性
  5. 虚血性視神経症

正解・・4

網膜の機能を評価する網膜電位図(Electroretinography:ERG)は、光刺激により誘発された網膜電位を波形として記録し、その波形の変動を視標として評価する方法です。網膜色素変性症の確定診断にはERGの波形が初期から消失しているか、a波b波の振幅低下を示します。

12.夜盲の原因とならないのはどれか。

  1. 小口病
  2. 白点状網膜症
  3. 網膜色素変性
  4. サルコイドーシス
  5. ビタミン A 欠乏症

正解・・4

夜盲症の原因としては、小口病、眼底白点症、網膜色素変性症、ビタミンA欠乏症、がん関連網膜症、眼球鉄錆症などがあります。ERGは夜盲の発見に対して有効です。

夜盲症の原因

13.眼軸長について正しいのはどれか。

  1. 超音波の B モードで測定する。
  2. 正視眼の眼軸長の値は 27.0〜28.0 mm である。
  3. 眼軸長は角膜の曲率半径で補正する必要がある。
  4. 白内障が強い場合は超音波の方が光学式より適している。
  5. 超音波では角膜前面から網膜色素上皮までの距離を測定している。

正解・・4

Bモード超音波検査法では網膜剥離や硝子体の状態を確認できます。

Aモード超音波検査法での測定範囲は角膜前面から内境界膜までで、接触式でばらつきがありますが、白内障が強い場合には光学式よりも適しています。

光学式眼軸長測定は涙液前面から網膜色素上皮までの距離を測定し、非接触の測定形式で、再現性が高く短時間で測定可能です。

14.EOGに反映する機能をもつ細胞はどれか。

  1. 視細胞
  2. 双極細胞
  3. 神経節細胞
  4. アマクリン細胞
  5. 網膜色素上皮細胞

正解・・5

眼球電図(Electrooculogram:EOG)は、網膜色素上皮より角膜側のプラスと脈絡膜側のマイナスとの電位差が眼球運動により変化することを利用し、角膜網膜電位の分圧を記録する方法です。

15.定量的に全斜視角を検査できるのはどれか。

  1. Krimsky 法
  2. Hirschberg 法
  3. Maddox 正切尺法
  4. single prism cover test
  5. alternate prism cover test

正解・・5

Krimskyクリムスキー法は、ペンライト光源などの角膜反射が瞳孔中心になるプリズム量を求めることで顕性斜視角を求める方法です。Hirschbergヒルシュベルグ法は、角膜反射の1mmのずれを約7°として顕性斜視角を測定する方法です。Krimsky法もHirschberg法も常に両眼開放の状態で測定します。

角膜反射光

single prism cover test(SPCT:単眼プリズム遮蔽試験)は カバー・アンカバーによる顕性斜視角の測定ですが、alternate prism cover test(APCT:交代プリズム遮蔽試験)は交互カバーによる全斜視角の測定です。

16.

随時更新中・・・

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