単焦点レンズのフィッティング

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

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レンズの光軸と視線が一致する場合

第1眼位において、レンズの光学中心を視線が通過するのが望ましいという事はよく知られています。眼鏡レンズの光軸と視線が一致したときは、収差が最も小さくなります。

レンズの光軸と視線が一致する

レンズ後面に対する「入射角θ」が小さい場合には「sinθ≒θ」と近似が成り立ちます。

スネルの法則

レンズの光軸と視線が一致しない場合

一方で、眼鏡レンズの光軸と視線が一致しない場合には、「sinθ=θ−θ3/3!+θ5/5!−θ7/7!+θ9/9!−・・・」というような収差が発生します。

第2項まで(θ3まで)を考慮した3次収差を「Seidelザイデルの5収差(球面、コマ、非点、湾曲、歪曲)」といい、θ5以下の収差を総称して高次収差といいます。

レンズの光軸と視線が一致しない

眼球回旋点は角膜頂点から後方13mmに設定され、上図の場合にはいくら眼球が回旋してもレンズの光軸と視線が一致することはありません。

以下のような場合(例:前傾角10°の図)も一致することはありません。

意気込みは感じられますが、惜しいです。もうちょっと!!

レンズの光軸と視軸が一致しない

「レンズの光学中心」と「視線」の高さは合っていますが、レンズの光軸とずれてます。

非球面レンズをうまく調整しようとして、このような間違った調整をしていませんか!?

実際は、「非球面設計レンズ」でも、光学中心の半径10mmのエリアは「球面設計」だったりもします。理由は、中心でレンズ度数が安定して測定できることや、調整のし易さなどからです。

正しい瞳孔位置とレンズ光学中心の位置

先ずは、加工前のプレフィッティングをしっかりします。これが出来ていないと、レンズ加工をしっかり行う事ができません。

ざっくりとした「プレフィッティング」の流れは以下の通りです。

  1. 美観的な調整をします。
    • 瞳孔の高さ・装用位置を決めます。
    • フロントの水平、角膜頂点間距離、前傾角による印象など
  2. 光学的な調整をします。
    • 装用時前傾角を使用用途に合わせて5°(遠用)~10°(常用)~15°(近用)にする
    • 角膜頂点間距離を12mmにします(基本的には)。
    • そり角は180°にします(基本的には)。
  3. 他に・・力学的・解剖学的な調整をします。

美観的には、正面から見たときのフロントの傾きは左右の瞳孔中心を通る線を基準とし、高さはボクシング・システムにおける玉形上下幅の下端から5分の3の位置になるようにします。

美観的調整の条件

5分の3の高さにする根拠は、黄金比(1:1.618)と白銀比(1:1.414)です。おおよそ1:1.5です。

黄金比と白銀比

フレームの天地幅を (a+b) として、瞳孔中心が玉形上下幅の下端からの位置を b として表にまとめます。「a:b=2:3」

瞳孔の高さなどを合わせ装用位置が決まりましたら、使用用途に合わせて傾斜させた角度を考慮してレンズの光学中心の高さを決めます。

眼鏡レンズの光軸と視線が一致するときに収差が最小となりますので、眼鏡レンズの光軸を遠用(5°)、常用(10°)、近用(15°)で傾斜させます。

第一眼位において、以下のように「レンズ光学中心」と「瞳孔」の高さを同じにはしません。レンズの光軸と視線が一致しないからです。

装用時の前傾角に合わせて(ヒトの日常は水平ではなくやや下方に向く、近方視線はさらに下方)レンズの光学中心の位置を偏位させて加工します。

レンズの光軸と視線が一致するように加工するためには、以下のような計算が必要です。

レンズの光軸と視線が一致する

例えば、遠用眼鏡で前傾角が5°の時には、遠用ビジュアルポイントから「tan5°≒2.187mm」下方にレンズの光学中心を合わせて加工しなければなりません。

常用眼鏡で前傾角が10°の場合には4.408mm、近用眼鏡で前傾角が15°の場合には6.699mm偏位して加工します。

水平基準線からの、レンズ光学中心の高さ(計算値)

瞳孔の高さを玉形上下幅の下端から5分の3に合わせ、傾斜角を考慮した位置に光学中心がくるように加工しないといけないので、そこから2mm~6mm下方に偏位して加工作製します。

玉形上下幅と前傾角による光学中心の位置を計算しますと、以下のようになります。

例えば、天地幅30mmの常用眼鏡10°では、水平基準よりも約1.41mmも下方で作製しないといけません。天地幅が45mm以上の眼鏡でようやく水平基準より0.09mm上方での位置になります。

また、前傾角が5°変わる毎に約2.2mmの上下変化があることもわかります。

眼鏡を使用して緩くなっていくことを考慮しますと(2mm〜3mm下がる位置)、表の値から2mm〜3mm位UPして作製しても良いと考えます。

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