第51回午後、視能訓練士国家試験の解答と解説➍

眼鏡作製技能士向けの問題

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今後、『眼鏡作製技能士』の国家資格を持つ『視能訓練士:Certified Orthoptist、CO』が増えていくのではないでしょうか。

『視能訓練士』の受験資格は、指定された視能訓練士養成施設を必ず卒業しないといけませんが、『眼鏡作製技能士』は2年以上の実務経験で2級、5年以上で1級の受験資格が与えられます。

『眼鏡作製技能士』の国家資格は、新社会人として実際に働き始めてからでも試験に合格さえすれば取得できますので、ハードルはそこまで高くありません。

現段階では、教科書1冊(約300頁)全て覚えれば筆記は大丈夫な難易度(現場ではもっと沢山の眼鏡知識が必要ですが・・)ですので、資格取得のみに的を絞るのであれば、勉強さえすれば良いのです。

ダブルライセンスを持った『視能訓練士』に対して、眼鏡の知識が乏しい・・とか表面上では言っていられなくなるのです。

ダブルライセンスが当たり前の時代になった時に、『視能訓練士』の資格を持たない『眼鏡作製技能士』の優位性はどうなるでしょうか⁉

『視能訓練士』の国家資格を持たなくとも、同じレベルで会話が出来るくらいの医学的知識は『眼鏡作製技能士』にとって必要と考えます。

同じレベルにならないと、(公社)日本眼鏡技術者協会が推進している『眼科医や視能訓練士との連携』は難しいと考えます。

責任の所在が曖昧である名称独占の『眼鏡作製技能士』が、業務独占になるぐらいの変化が無ければつまらないな・・と思う今日この頃です。

それでは、

⇩【問30~問44まで(15問)の解答と解説です。】⇩

問30.眼圧に影響しないのはどれか。

  1.  運 動
  2.  屈 折
  3.  眼瞼圧
  4.  血糖値
  5.  麻酔薬

正解・・4

⦿ 運動・・重量挙げなどの全身に圧力が掛かる運動では、眼圧の上昇に影響があります

⦿ 屈折・・眼軸長の違いが眼圧に影響を与えると考えられます。

また、屈折というよりも、調節による縮瞳(隅角部が広がります)、水晶体の前面への膨らみなどは眼圧に影響を与えると考えられます。

⦿ 眼瞼圧・・房水の産出と排出のバランスが崩れますと眼圧に影響がでますが、眼瞼圧が一定の場合には直接的な眼圧への影響は強くないと私は考えます

⦿ 血糖値・・『血糖値の高さ』と『高眼圧症』の関連性は示唆さてはおりますが、明らかではありません。

⦿ 麻酔薬・・抗コリン作用や交感神経刺激作用があるものは眼圧を上昇させます。特に、閉塞隅角緑内障では禁忌とされます。

問31.隅角検査について正しいのはどれか。

  1.  眼圧に影響しない。
  2.  細隙灯顕微鏡で直接観察できる。
  3.  ステロイド緑内障では隅角は閉塞する。
  4.  ぶどう膜炎では周辺虹彩前癒着がみられる。
  5.  隅角の閉塞の評価に Scheie 分類が用いられる。

正解・・4、5

隅角を観察する為に、軽度の圧迫をします。

細隙灯(さいげきとう)顕微鏡は、間接型の検査です。

直接型では、主に隅角鏡を用います。

⦿ ステロイド緑内障・・副腎皮質ステロイド薬の長期使用により眼圧が上昇する、『開放隅角緑内障』です。

⦿ ぶどう膜炎・・テント状周辺虹彩前癒着peripheral anterior synechia:PAS)がみられます。

⦿ Scheie(シェイエ)分類・・隅角の狭さ(隅角構造のどこまで観察可能なのか)の評価法であり、grade0~Ⅳで分類します。

隅角閉塞は、gradeⅣになる程に高くなります。

⦿ Shaffer(シェイファー)分類・・隅角の広さ(隅角繊維柱帯と周辺虹彩との角度)の評価法であり、grade0〜4で分類します。

隅角閉塞は、grade4になる程に低くなります。

問32.視覚伝導路の図(別冊No. 5)を別に示す。動的視野検査で右同名半盲がみられたときの障害部位はどれか。

  1.  ①
  2.  ②
  3.  ③
  4.  ④
  5.  ⑤

正解・・3

視路と半盲の関係性は以下の図の通りです。

もし、障害部位⑤が一部の場合には、『左1/4半盲』や『左同名半盲、黄斑回避』になります。

視路と半盲

問33.コンタクトレンズ型電極を用いた ERG 検査で正しいのはどれか。

  1.  角膜保護剤をつければ点眼麻酔は不要である。
  2.  杆体反応を測定するには明順応が必要である。
  3.  フリッカー ERG は杆体機能を評価する。
  4.  多局所 ERG は暗順応下で測定する。
  5.  暗順応中も患者の様子に留意する。

正解・・5

⦿ ERG (electroretinogram)・・網膜電図であり、網膜(視細胞、双極細胞)の診断をします。

⦿ 暗順応検査では前明順応を行い測定しますが、ERG検査で杆体反応を測定するには暗順応させることにより錐体の働きを抑え、杆体の反応をみることができます。

⦿ フリッカーERG・・フリッカー刺激を用いて、網膜全体の錐体細胞系を評価します。

⦿ 網膜全体ではなく、網膜の一部の反応をみる局所ERGと多局所ERGは明順応下で行い、錐体系の機能を評価します。

他局所ERGは一度に多数の部位からのERGを測定できます。

⦿ 通常、ERG検査では、散瞳し、20~30分以上の暗順応後に記録します。暗い部屋では体調不良などの早期発見に留意しなければなりません。

問34.3歳児健康診査を規定する法律はどれか。

  1.  学校保健安全法
  2.  健康増進法
  3.  児童福祉法
  4.  身体障害者福祉法
  5.  母子保健法

正解・・5

母子保健法の第十二条により、『1歳6ヶ月児健康診査』と『3歳児健康診査』が定められております。

  • 第十二条
    • 市町村は、次に掲げる者に対し、厚生労働省令の定めるところにより、健康診査を行わなければならない
      • 一 満一歳六か月を超え満二歳に達しない幼児
      • 二 満三歳を超え満四歳に達しない幼児

問35.患者確認で誤っているのはどれか。

  1.  姓で呼ぶ。
  2.  氏名を名乗ってもらう。
  3.  氏名と生年月日で行う。
  4.  氏名と診察券番号で行う。
  5.  小児、高齢者では家族にも患者氏名を言ってもらう。

正解・・1

患者さんの誤認があってはなりません。同性同名の患者さんが同じ現場にいることもあります。

問36.リスクマネージメントで誤っているのはどれか。

  1.  患者の安全が最優先である。
  2.  医療安全マニュアルを作成する。
  3.  患者の安全に医療者全員が責任を持つ。
  4.  エラー報告から関連部署への報告が重要である。
  5.  インシデントは事故が起きていないため報告は不要である。

正解・・5

⦿ 『インシデント』では、医療事故を未然に防ぐ為に報告をします。

⦿ 『アクシデント』では、医療事故の再発防止の為に報告します。

問37.接触感染するのはどれか。

  1.  アデノウイルス
  2.  インフルエンザウイルス
  3.  風疹ウイルス
  4.  マイコプラズマ
  5.  麻疹ウイルス

正解・・1

  • 主な感染経路
    • 接触感染・・アデノウイルスなど
    • 飛沫感染・・インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、マイコプラズマなど
    • 空気感染・・麻疹ウイルス、結核菌、帯状疱疹ウイルスなど

問38.自覚的屈折検査でないのはどれか。

  1.  雲霧法
  2.  検影法
  3.  レンズ交換法
  4.  クロスシリンダー法
  5.  赤緑テスト(2色テスト)

正解・・2

⦿ レチノスコープを用いる検影法は、他覚的屈折検査です。

⦿ 検影法の復習

例えば、被検者(正視眼)の眼前にS+1.00のレンズを置いて開散光線束を用い、測定距離50cmで被検者の反射光を観察した時には『同行』の動きとなります。

測定距離50cm、眼前にS+2.00のレンズを置いた時には『中和』となり、S+2.00よりもプラス寄りの強い度数では『逆光』となります。

検影法、同行

問39.成人の眼瞼挙筋機能検査で正常下限値[mm]はどれか。

  1.   2
  2.   4
  3.   8
  4.  10
  5.  15

正解・・4

⦿ 眼瞼挙筋の測定は、上眼瞼の下縁が、下方視と上方視でどの位移動するかで評価します。

眼瞼挙筋機能の正常値は10mm以上平均値は15mm以上です。

問40.網膜中心動脈閉塞症について正しいのはどれか。

  1.  眼球運動時痛を伴う。
  2.  視力は徐々に低下する。
  3.  cherry-red spot がみられる。
  4.  副腎皮質ステロイド薬投与が奏功する。
  5.  血流が改善すれば視機能の予後は良好である。

正解・・3

⦿ 網膜中心動脈閉塞症・・網膜動脈の閉塞が数分以上続くと網膜の虚血性変化が起こります。

急激な高度の視力障害や、一過性視力障害が起こります。

予後は良くありません。網膜の虚血が30分以上続くと、網膜機能は回復しません

数時間後には、網膜の浮腫状混濁、黄斑部の白色、中心窩は赤く(桜実紅斑:cherry-red spot)見えます。

⦿ 桜実紅斑(おうじつこうはん)、cherry-red spot・・中心窩には神経線維層・神経節細胞がありませんので白濁しません。網膜色素上皮・脈絡膜が透見されて赤く見えます

問41.硝子体手術の適応となるのはどれか。2つ選べ。

  1.  黄斑円孔
  2.  原発開放隅角緑内障
  3.  中心性漿液性脈絡網膜症
  4.  網膜色素変性
  5.  裂孔原性網膜剝離

正解・・1、5

硝子体手術が適応される例は、黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剝離、硝子体混濁、などです。

問42.球後視神経炎について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1.  視力低下はない。
  2.  中心暗点がみられる。
  3.  視神経乳頭は発赤する。
  4.  弓状神経線維が障害される。
  5.  限界フリッカ値が低下する。

正解・・2、5

⦿ 視神経乳頭炎・・眼球に近い部分の視神経の障害です。眼底に視神経乳頭の発赤、腫脹、境界不鮮明などが見られます。

⦿ 球後視神経炎・・眼球から遠い部分の視神経の障害です。眼底に異常は認められません。

問43.サルコイドーシスでみられるのはどれか。2つ選べ。

  1.  前房蓄膿
  2.  口腔内アフタ
  3.  樹枝状角膜炎
  4.  豚脂様角膜後面沈着物
  5.  両側肺門部リンパ節腫脹

正解・・4、5

⦿ サルコイドーシス・・眼症状では、ぶどう膜炎に多くみられます。診断では、胸部X線上両側リンパ節腫脹、ツベルクリン反応陰性、Kveim反応陽性、生検でリンパ節、皮膚、結膜。

⦿ 虹彩毛様体炎(前部ぶどう膜炎)・・虹彩面上にサルコイド結節、前房混濁、角膜裏面に羊脂様沈着物、虹彩後癒着を生じます。

⦿ 網脈絡膜炎(後部ぶどう膜炎)・・眼底に黄白色のろうそくのしずく、網膜静脈周囲炎が見られ、網膜出血を起こすこともあります。真珠の首飾り状の硝子体混濁が見られます。

⦿ ベーチェット病・・ぶどう膜炎口内アフタ、皮膚症状、外陰部潰瘍を主徴とします。眼症状では、虹彩毛様体炎での前房蓄膿や、網脈絡膜炎、眼底血管炎などがあります。

問44.後部硝子体剝離が原因となるのはどれか。2つ選べ。

  1.  硝子体出血
  2.  硝子体動脈遺残
  3.  網膜静脈閉塞症
  4.  網膜ドルーゼン
  5.  裂孔原性網膜剝離

正解・・1、5

⦿ 硝子体剥離・・硝子体が網膜から剥離したものです。硝子体の液化により、硝子体のゲル部分が網膜から剥離し、前方に移動します。特に、後部に起こるものを『後部硝子体剥離』といいます。

剥離の発症時に、網膜血管を損傷しますと出血します。

剥離しない部分が残りますと、その網膜の一部分を牽引して裂孔を形成し、網膜剥離を起こす危険があります。

⦿ 硝子体動脈遺残・・硝子体の先天異常であり、胎生7ヶ月で吸収されるべき硝子体動脈が残存したものです。

⦿ ドルーゼン(drusen)・・眼底黄色斑で、硝子疣です。夜盲とは無関係であり、老人に見られるBruch膜の疣(いぼ)状の隆起です。

加齢により、網膜色素上皮は不均一、Bruch膜は肥厚し、血液網膜柵の機能は低下します。脈絡膜は非薄化しドルーゼンが形成されます。

問45~問75は、後半に続く

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