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『度数が合っているかどうか、測定して欲しい』とよく言われます。
その度に毎回、思うのは、『用途が変われば、眼鏡の度数は変わるよな!?』『合っているのかの是非は、不便を感じているのかどうかだよな!?』・・・と、いつも心の中で思ってしまいます。
そして、必ずこう問い掛けます。『何かご不便は感じてますか?』『会議などで遠くが見えづらかったり、近くが疲れたりはありますか?』というような問診から始まります。
『最近見えづらいから、測定して欲しい』とか『疲れる』とか、『見え方に問題は無いけど、免許更新通るか測定して欲しい』とかならわかるんですけどね・・・。
そもそも、度数が合っていない場合には、何らかしらの問題が生じている筈です。『取りあえず、測定してくれ』と聞いてくる方に限って、前回データと同じ屈折度数だったりするんですよね。視力も前回とほぼ変わらずみたいなね・・・。
簡単に度数[D]の説明をします。
屈折力[D]=1÷焦点距離[m] となります。
例えば、+1.00Dのレンズの焦点距離は1m、+2.00Dのレンズの焦点距離は50cm、+4.00Dの焦点距離は25cmとなります。眼の要素が+1.00Dの近視は−1.00Dの強さのレンズで完全に矯正されます。眼の要素が−2.00Dの遠視は+2.00Dのレンズで完全に矯正されます。
合っていない眼鏡について考えてみました。
合っていない眼鏡の主な症状として『見たい所が見えない』『疲れる』『距離感がおかしい』『歪む』『頭痛や肩こり、羞明』などがあります。しかしながら、気になるようであれば、眼科さんで受診される事をおすすめ致します。専門分野が眼鏡店と眼科さんでは違います。
眼鏡の度数は見たい距離(注視距離)により変わります。
ここで、近視と遠視の定義を説明しておきますと
- 近視の定義・・・無調節状態で、無限遠方から入ってきた光が、網膜前方に焦点を結ぶ眼
- 遠視の定義・・・無調節状態で、無限遠方から入ってきた光が、網膜後方に焦点を結ぶ眼
としています。
解説としては、『無調節状態』とは『水晶体が膨らんだ状態ではない』という事です。『無限遠方』とは『平行に』という事です。『網膜前方』とは『網膜の手前』の事で、『網膜後方』とは『網膜の後ろ側』を意味しています。
決して、近くが見えるから遠視とか、遠くが見えるから遠視とかいうわけではありません。遠視でも調節力を使えば近くが見えます(随意遠視)。近くが見えるから老視ではないというのも誤りです。手前にピントを合わせる力である調節力が3D(~4D)以下の状態を老視といいます。近視はずっと老視にならないという事になり誤りとなります。
『老視ですか?』ともよく質問されますが、調節力は小学校高学年をピーク(12~14D)に下がる一方です。45歳過ぎたら大体みんな老視で、手前が見えるかどうかは別となります。
遠視用とか近視用の眼鏡とかの言い方は、言っている本人しかわかりません。例えば、近視用の眼鏡とは『近くが見える眼鏡?』それとも『近視用の近視矯正眼鏡?』どちらの意味でもとらえる事が出来てしまいます。
問診の時に『私、近視で乱視なんですけど・・・』とかも教えてくれますが、測定すればわかります。わからなければ眼鏡処方は出来ません。そして『乱視があるんです・・・』とかいう人に限って乱視がない場合は多いですね。
例えば、病院に行って『風邪なんですけど・・・』って言う人と同じですね。風邪かどうかはお医者さんが判断する事であって、症状を答えれば良いと思うのですよね。
乱視があるかどうかの簡単な確認方法は、夜に星や街灯の明かりが、ある方向に伸びているかどうかで確認出来ます。そして、顔を横に傾けると一緒にその方向が動きます。乱視が無い場合は方向が無く全体にぼやけて見えます。
調光レンズ(フォトクロミックレンズ)を、変光レンズ(こんな漢字ではありません)と勘違いしている方もいますよね。偏光レンズ(ポラロイドレンズ)は反射を抑えるレンズです。『紫外線で色が変わるレンズですね?』と確認すると、怒り出して『色が変わるへんこうレンズだよ』『知らないの?』と言われた時は困りました。
こうはなりたくないと思いました。人の話しを聞いていないですね。話の途中で『これだ』と決めつける人も話しを最後まで聞かない人ですね。
ここで、近視と遠視と調節力を理解できれば、『見たい距離で度数が変わる』その理由もわかると思います。
近視で遠くを見たければ、マイナス度数を強くすると良いですが、その代わりに、近くを見る時には、自分の調節力がより必要になりますよね。つまり、遠くは見えるが近くが疲れる眼鏡になります。
遠視の方は、常に遠くを見ていても裸眼では調節力を使っているので比較的疲れやすいです。遠くが見えていて視力1.5とか見えていても眼鏡を掛けた方が、遠くも近くも楽になります。視力が良いから眼鏡が必要ないというわけではありません。視力が良い方の方が、近くは早くから見えづらくなります。逆に、近視は度数によっては老眼鏡は必要ないかもしれませんね。
眼鏡装用状態で、視力の差がある場合は合っているのでしょうか?
左右差が気にならなければ、左右の視力を同じにする必要はありません。両眼バランスとは、視力のバランスでは無く、調節のバランスを左右等しくした方が楽だと思います。片目だけ調節するという事が出来ないからです。
左右の度数が2.00D以上差がある(不同視眼)場合には、違和感が少なく掛けられるように、意図してそのような処方にしているかもしれません。当然、視力の左右差は出ますよね。
不同視の方はコンタクトレンズが良いでしょう。屈折性の不同視は勿論ですが、眼球の大きさによる軸性不同視もコンタクトレンズが良いでしょう。
補足ですが、近視などの屈折異常の理由には、角膜や水晶体の屈折が強くてなる『屈折性近視』と、屈折系は強く無くても眼の大きさ(眼軸長)が大きくてなる『軸性近視』があります。眼軸長1㎜の違いで約3.00D変わるといわれています。
綺麗に良く見える眼鏡と、使っていて楽な眼鏡では、処方の仕方が異なります。使用用途によっても合っているとかは変わりますね。
他には、見えるからといって、他人の眼鏡を長時間は掛けない方が良いですね。見えれば良い訳ではありません。
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