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遠用の両眼PDは、オートレフラクトメーターを使用し、度数と共に自動で測る事も出来ます。
実際に被検者と対面し、PDメーターや定規で実測する等により、片眼PD(モノキュラーPD)を測る事も出来ます。
近用PDの測定は、遠用PDの測定とは少しやり方が異なります。知識として理解しておくと良い内容となります。
近用PD測定の手順
近用PD測定の正確性は、固視ずれが正常であるという事が前提となりますので、片眼ずつでの固視状態を確認する必要があります。
上図のように、黄斑部中心窩で固視していない状態では近用PDは正確に測定できません。
視標を上下左右や回転させるなど動かしてみて、眼球運動なども一緒に確認する事が望ましいです。
近用PDを実測する場合ですが、被検者の眼前12mmの位置に定規を位置し測定します。
以下の図のように、検者は40cm離れた距離にて、固視点となる指などを被検者に見てもらいます。
検者は、被検者の右眼を左眼で観測し、その目盛りを読み取ります。
また、被検者の左眼の観察も左眼で観測します。
その距離が、近用PDとなります。
遠用PDを実測する時との違いは、被検者の瞳孔を同じ眼で観測することで、固視点を動かしたりもしません。
近用PDの計算値
今から、三角形の相似関係を用いて、近見時のレンズ光学中心を通る位置(近用PD)を求めます。
角膜頂点の位置~固視点までの距離をd[mm]とすると、
(遠用PD):(13+d)=(近用PD):(d-12)、から
(近用PD)=(遠用PD)×(d-12)/(d+13)となります。
仮に、d=400[mm]の距離とし、遠用PD=60cmとした場合の近用PDは、56.37cmとなります。
上の表にあります、遠用PDと近用PDの差をみますと4mm前後になります。
ですので、近用PDを定規で実測される場合には、輻輳不全が無く、固視ずれも無ければ、遠用PDから4mm程度小さい値となります。
輻輳の復習
輻輳の種類には、緊張性輻輳、調節性輻輳、近接性輻輳、融像性輻輳・・などがあります。
近見PDを測定する場合には、それらの輻輳が働いての結果となります。
- 緊張性輻輳・・解剖学的安静位から生理的安静位(もしくは、融像除去状態)へ視線を移動させる輻輳
- 調節性輻輳・・調節の変化に伴い生じる輻輳
- 近接性輻輳・・近見での固視点、または目標物を近くに自覚することにより誘発される輻輳
- 融像性輻輳・・調節の変化なしで、融像刺激(複視を生じさせる状態にある二つの網膜像)により生じる輻輳
これらの輻輳が総合的に働いておりますが、何らかしらの不良がみられる場合には、視機能問題が表れることがあります。
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