眼鏡処方箋の確認で来られたケース

一般消費者、眼鏡作製技能士を志す方に向けて

Last Updated on 4か月 by 管理者

「眼鏡処方箋で作製された眼鏡度数が合っているかを確認して欲しい」というご依頼がありました。

勿論、処方箋通りに作製されているかどうかの確認ではなく、処方箋度数が本当にこれで良いのか調べて欲しいという内容です。

顔出ししていない私のことをどこで知ったのか、、、ご指名が最近増えてきて嬉しいやら忙しいやらの毎日。誰か労って欲しい。

私を指名してくる方の多くは、「色んな店舗で眼鏡を作製したものの、どうしても合わなくて藁にもすがる気持ちでお願いしたい。」というのが殆どですので、詳しく眼の状態を調べたり問診などで時間が長く掛かります。

本社のカスタマー担当の知り合いが退職してからは、「○○というお客様をお願いしたいんだけど、名前教えてご案内して良い?」というイレギュラー案件が無くなってホッとしてたのも束の間の休息でした。

◎ 眼鏡処方箋で作製された眼鏡の相談例↓

相談者
相談者

処方箋の度数だと遠くが見えないんです。

でも、眼科ではこの眼鏡で合ってるから掛けなさいと言われた。

意味がわからない。

わたし
わたし

念のため眼鏡度数を確認してみましたが、処方箋通りに作製されているようです。

裸眼視力が両眼で0.1ぐらいですけど、普段は眼鏡掛けていないんですか?

コンタクトレンズの使用はありますか?

相談者
相談者

眼鏡の常用はしてないです。

コンタクトレンズは使ってますけど、メガネにしなさいって眼科で言われました。

わたし
わたし

わかりました。それが原因なのかもしれませんね。

測定してみましたが、少し視力が出づらいようです。

vd=(0.7×S−1.50 C−1.00 Ax180°)
vs=(0.6×S−5.00 C−0.50 Ax90°)
コンタクトレンズ装用の原因による最高視力低下かな??

処方箋よりも度数を強くしたとしても、ほんの少し視力が上がるくらいですよ。

強くして見えやすく感じますか?

相談者
相談者

見え方は多少良くなるかな⁉️ぐらいで、正直あまり変わりません。

それよりも、これ以上はクラクラして眼鏡を掛けていられなくなります。

わたし
わたし

処方箋度数より強くしてもそこまで視力が上がりませんし、違和感が出て掛けられないようですね。そういう経緯で今回の処方箋になったんじゃないですかね?

コンタクトレンズと眼鏡とで装用距離が違うことによる違和感(プリズムや不等像など)かな??

それと、眼鏡フレームは小さい枠にすると歪みが軽減されます。

金額が高くなりますが、非球面設計のレンズがおすすめですね。

でも、先ずは新しく作らずに今の眼鏡で見え方に慣れるか様子をみてみましょうか。

相談者
相談者

いえ、折角ここまで親切にみてもらえたので新しく眼鏡を作りたいです。

是非、お願いします。

まぁ、妄想ではなくて、、、こういう案件を日々こっそりこなしてます。

ご指名、ありがとうございます。

これからも精一杯がんばります。

コンタクトレンズが原因で視力低下することはあるのか

コンタクトレンズの装用自体が直接視力低下を引き起こすという医学的根拠はありません。しかし、誤った使い方や不適切なケアが原因で視力低下を招くことがあります。

例えば、以下のような場合に視力低下のリスクが高まります。

  1. 度数が合っていない:度数が合わないコンタクトレンズを使用すると、目の疲れや眼精疲労を引き起こしやすくなります。
  2. 装用時間が長すぎる:長時間の装用は目の乾燥や酸素不足を招き、目の健康に悪影響を与えることがあります。
  3. レンズケアが不十分:レンズの汚れや雑菌が原因で目のトラブルを引き起こし、視力低下につながることがあります。


視力低下を防ぐためには、定期的に眼科を受診し、適切な度数のコンタクトレンズを処方してもらうことが重要です。また、装用時間を守り、正しいレンズケアを行うことも大切です。

眼鏡度数の左右差がある場合の見え方

有名なのが不等像視ですが、それよりもプリズム作用による影響の方が違和感につながると私は考えます。

眼鏡の左右度数差が大きい場合に、視線を動かさなくとも左右の見え方が合わないのは不等像視による影響が考えられますが、視線を動かした時にピントが合いづらいのはプリズムの影響と考えられます。

不等像視

眼鏡度数が強くなるほど像の倍率が大きく変化します。左右で大きく度数が異なる眼鏡では、その倍率も左右で大きく異なります。

片眼では気にならない場合でも、両眼で見たときに、左右差が大きくなるほど網膜像を1つに融像することが難しくなっていきます。

度数の違いによる像の縮小

不等像視による症状の頻度は、頭痛(67%)、眼精疲労(67%)、羞明(27%)、読みづらさ(23%)、吐き気(15%)、複視(11%)、いらいら(11%)、めまい(7%)、疲労(7%)、空間の歪み(6%)などが挙げられます。「不等像視の患者500人が訴える症状(Bannon&Triller:1944)」。

但し、眼球の大きさ(眼軸長)による左右差で起こる軸性不同視は、Knappナップの法則(Knapp’s law)によると眼鏡補正しても不等像視が少ないとされています。

そして、軸性不同視は屈折性不同視よりも多いとされています。

ナップの法則とは

補正レンズを後頂点位置と眼の第一焦点が一致するように装用すると、Shape factor(レンズの中心厚などによる要因)を無視した場合には、軸性屈折異常に対しての網膜像の大きさは変わらないという法則です。

プリズム作用

眼鏡度数が強くなるほど、視線を動かした時に像が大きく動きます。

度数の違いによるプリズム作用

左右で度数差がある場合には、像が移動して見える量も左右で変わります。

水平方向では輻輳や開散により多少は適応できますが、垂直方向でのずれの違いは頭位を横に傾ける(眼の高さを左右で変える)などでやっとピントが合うくらいで水平方向と比べると慣れづらさがあります。

実際に、眼鏡加工時の心取り誤差に対する許容範囲(RAL-RG915)でも、水平方向よりも垂直方向に対するプリズム誤差の方が厳しい値となっています。

心取り許容誤差(RAL-RG915)

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