加齢による度数変化
加齢に伴い、眼の屈折異常値が変化する事は良く知られております。
例えば、小児期では、眼軸長が約17mmから約24mm位まで成長に伴い伸長します。屈折度数は屈折力を弱め、正視化現象が起きます。
22~23歳位で単純近視は進行が止まるともいわれますが、近年はVDT作業の増加に伴い、30~40代でも後発近視が高確率で見られます。
40代で近視の弱度化(加齢性遠視)が見られる事もあります。理由としては、水晶体の全屈折力減少や、毛様体筋の生理的緊張の減少、眼軸長の短縮・・などがあります。
他にも、核白内障や皮質性白内障・・などもありますね。
角膜の形状変化により、乱視度数や乱視軸も変化します。
今回は、その乱視度数の変化について、より詳しく見ていきたいと思います。
加齢による乱視軸の変化
幼児期では倒乱視が多く、20歳位までは徐々に直乱視が増え、そこからは再び倒乱視が増加し、40歳位では直乱視と倒乱視の頻度は逆転します。以後60歳位までは倒乱視が増加する傾向にあります。
20代~60代の40年間で、一般的に、およそC−1.50 Ax90°もの補正度数への影響が関与します。
倒乱視化の原因としては、加齢に伴う眼瞼圧の減少が関係していると考えられております。
瞬目時に強い眼瞼圧がかかる若年層は、角膜の垂直方向の曲率半径が小さくなり、直乱視となる傾向があります。
加齢に伴い眼瞼圧が減少することで、今度は逆に、角膜の垂直方向の曲率半径が大きくなり、倒乱視化が起こると考えられております。
倒乱視化は、『C−1.50 Ax90』もの度数への影響変化がありますが、斜乱視では少し異なります。
斜乱視眼の倒乱視化は、乱視度数と乱視軸方向の変化として現れます。
乱視軸方向は、90°方向へと変わっていきます。
斜乱視の、度数と軸方向の変化
C−0.50 Ax45°で補正される斜乱視眼に、0.50Dの倒乱視化が起こる場合を考えます。
これは、C−0.50 Ax45°の眼鏡に、C+0.50 Ax90°の眼鏡を重ねると疑似体験が出来ます。
グラフでは以下のようにC−0.71D Ax67°の倒乱視となります。
乱視度数が多少強くなり、軸方向が90°寄りに変化しています。
次に、別の例を見てみましょう。
C−0.50 Ax20°の直乱視が、0.50Dの倒乱視化した場合は以下のように、C−0.34 Ax55°の斜乱視となります。
乱視の補正度数は減少しましたが、軸方向が90度寄りに変化しました。
更に、また別の例です。
C−0.50 Ax100°の直乱視が、0.50Dの倒乱視化した場合は以下のように、C−0.98 Ax95°の斜乱視となります。
乱視の補正度数は増加し、軸方向が90度寄りに変化しました。
今回、使用したグラフはExcelで私が作成しました。
以下からダウンロードできますのでご活用下さい。
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