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近年、PC作業だけではなく、スマホ画面などを見る事が急激に増えました。
近方視が適正に行われるほどに、その作業効率は良くなります。
作業効率を上げる為には、適正な作業環境も大切ですし、眼鏡装用が必要であれば、適正な度数である事も大切となります。
適正な作業環境とは
例えば、『理想的な姿勢』と『照明』などがあります。
理想的な姿勢
画面は眼の位置よりも低い位置が良いですし、楽な姿勢が良いです。
高さを調整できない椅子の場合は、クッションを敷いて高さを調整するのも良いですね。
頚部の痛みや、腕のだるさなどの症状を引き起こす理由の多くはこれにあたります。
近方視する時に必要となる調節力ですが、『上方視した時』には低下します。
実は、『直視した時』と『下方視した時』とでも調節力の低下が生じます。
下図は、平均年齢26.4歳の80人によるデータです。
つまり、下方40度での調節力と比べますと、上方視になるほど調節力が低下します。
ですので、上目になるほど調節しづらくなりますので、画面などは下げた位置で見るようにする方が良いです。
照明
照明は明る過ぎても、画面の反射で眩しく感じる事もあります。
勿論、不十分な照明は不快感を感じさせます。
照明量よりも、照明の方向などの配分が考慮されないといけません。
適正な度数
眼鏡度数が弱いと見えづらいですが、単純に強ければ良いというものでもありません。
『適正な度数』というのがあります。
それを、ご自分の独断で見極めるのは正直難しいと思います。
その理由として、例えば、
既製品である『手元用眼鏡の度数』を自分で選ぶ場合、『見える』か『見えない』かのみで決めている場合が多いからです。
画数が多く細かい漢字などを『一文字』だけ見て、距離を近づけたり離したりして『見える距離』を確認して選んではいませんか。
ここに落とし穴があります。
『見える』か『見えない』かの判断は簡単ですが、それが使いやすい度数であるとは限りません。
画数が多い『一文字』のみを見て度数を決めてしまいますと、度数が必要以上に強くなり易くなります。
そうしますと、視野が狭くなり、見える距離の幅も狭くなってしまい『作業効率』が下がってしまいます。
プラスレンズの仕組み
凸レンズを装用すると、見える範囲が全体的に手前になります。
その度数が強くなり程に、明視域が近く寄りになりますが、見える範囲は狭くなります。
そして、像の倍率が拡大されます。
倍率が大きくなる一方で、視野は狭くなります。
光量は少なくなる為に、暗くなります。
物を見る為に必要とされる、眼球回旋量が大きくなります。
図にすると、以下のようになります。
単純に、プラス度数が強ければ良いとはいえなくなります。
明視域
プラス度数が強くなる程に、見える距離の範囲が狭くなります。
そうなると、一定の距離での作業以外では使いづらい眼鏡になります。
例えば、より近い距離であれば、ご自身の調節力を使い手前にピントを合わせることが出来ますが、デスクトップ型のパソコン画面等で少し離れた距離になると見えなくなってしまいます。
視野
プラス度数が強くなる程に、全体的に視野が狭くなります。
そうなると、実際に文字を読んだり、書いたり、手元の作業をする時に、見たい所を探すのに時間が掛かり速さが落ちます。
余分な眼球運動が必要となる為に作業効率が悪くなります。
一定範囲が見える事が大事になります。
顕微鏡で見たい物を探す時に、見付けづらく時間が掛かった経験は無いでしょうか。
拡大されて、小さい物が見える反面、視野が狭い事が原因となります。
上図の文字を読む時に、『拡大された範囲のみ』の使用で読むのは時間が掛かります。
例えば、映画館の前列と後列では、前列の方が眼を動かさないとスクリーン全体が見えませんよね。後列では、前列よりも眼を動かさなくても視る事が出来ます。
こういう眼球運動量が増える事での疲れは、普段は裸眼で生活されていて、たまにしか掛けない方に良くみられます。
眼の動きにも、ある一定の慣れが必要となります。
乱視補正
近距離では、相対距離的に『乱視補正』をあまり気にしなくても見えやすくする事自体は、遠距離よりも容易となります。
しかし、『見える』にもピント合わせに掛かる時間の違いはあります。
乱視補正をする事により、焦点合わせが容易になります。
ピント合わせに必要となる調節の負担を最小限に抑える事が出来ます。
一方で、乱視補正の見え方に慣れていない方には、『机が曲がって見えて気持ち悪い』などの返答がある事もあります。
どちらが良いのかは、使用される方に選んで頂くのが良いと考えます。
年齢と調節力の関係からのお手元用度数
年齢と調節力には、ある一定の平均的な値があります。
裸眼視力1.5位の『正視眼』の場合ですが、あくまでご参考程度にして下さい。見たい距離や、眼の屈折異常値にもよるからです。
大まかに、45歳は『+1.00D』、50歳は『+1.50D』、55歳は『+2.00D』、60歳は『+2.50D』、65歳は『+3.00D』・・前後が目安です。
一般的に、老視は45歳頃から始まります。
裸眼で、近くが見えていても『老視』にはなります。
老視状態とは、より近い手前の距離にピントを合わせる力が一定よりも少ない状態をいいます。裸眼で近くが見えていても、より近い距離は年齢と共に見えづらくなっている筈です。
まとめ
既製の老眼鏡度数は適当に決めるのではなく、測定をしてもらい作製する方が良いです。
これは紛れもない事実です。
但し、既製品の老眼鏡はお手軽に使用できますし、良い所もあります。特に、ご自身の度数がわかっている方には便利だと思います。
ただ、本当にその度数で良いのか、左右の度数差はあるのか、乱視補正はどうか、レンズの光学中心はどうか・・・など
気になるようであれば、一度は測定だけでもしてみる事をお勧め致します。
『良く見えている』と『快適に見えている』という事は違うからです。
そして、眼鏡度数の決定権は『被検者』で間違いは無いですが、『検者』が処方の根拠を持って、双方が納得して決める。全ての決定権を『被検者』に委ねないというのが持論です。
ただし、『本当にどっちでも良いから早く決めてくれ・・』という場合も多々ありますが・・。
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